第12話 プレイヤー2と3 「ゲーム実況配信者」姉様と妹様
集まったメンバーの中でひと際目立つ存在があった。
まるで立っているかのような長身の体格、緑色のブレザーにグレーのスカートを履いている女だ。スカートはその丈に見合う長さを保っているが、ブレザーの方は腕捲りをしているかのように丈が短い。学生時代の制服を着古しているようにも見える。
目元が切れ長で肌が少し浅黒く、前髪をパッツンとそろえた黒髪のショートヘアは、絶世の美女クレオパトラを思わせた。だがいかんせん雰囲気がどんよりとしていて精気が無い。あまりの不愛想にせっかくの美人が台無しだ。
「どうもこんばんは。忙しいところ来ていただいて申し訳ないが自己紹介を――」
その時、テーブルの下で何かが動いたような気配を感じた。
「ん?」
不思議に思い、ボクは腰を折りかがみこんでテーブルの下をのぞき込む。
薄暗い長机の下で何やら小動物のようなモノと目が合った。
「うおッ! 何だ? 何かが床にいるぞ?」
「これは司令官殿、失礼いたしました」
モゾモゾと音を立ててテーブルから出てきた人間を見て驚いた。
体形は矮小で、隣に佇むブレザー女と比較すれば背の高さは半分ほどしかなかった。
加えてマッシュルームのような色と髪型が彼女をさらに幼く見せた。そのギャップに反して胸の膨らみが大きく、迷彩柄のパーカーがはち切れんばかりに膨れ上がっていた。
愛らしい笑顔とアニメキャラのような声質が、履いているワークブーツと相まっておもちゃの兵隊を思わせる不思議な子であった。
「動画の撮影を隈なくしておりましたら、机の下より出てくる機会を逃してしまいました」
小さい女はなぜか片手にハンディカメラを手にしていた。
「キ、キミは何者だ? それにここは撮影禁止なのだが……」
「あ、これは失礼いたしました」
そう言って持っていたカメラを背中へと隠した。
「お初にお目にかかります。オイラの名前は
指先をきっちり揃え、手を額に当て敬礼をしながら彼女は妹様と名乗った。
「姉様と妹様……?」
また意味不明なヤツが現れたと思った。
「ゲーム実況界で最も有名な動画配信者です。姉様は【パンデミックハザード】のようなサバイバルホラー系を。妹様はファーストパーソンシューティング、通称FPSの世界でその名を知らぬ者などいない著名なゲーマーです。特に妹の
「なるほど、で、姉の方は学生服を着ているみたいだが、二人は学生か?」
「そこまで詳しくは……」
樟葉クンが首を傾げた。
「司令官殿、よろしくお願いするであります!」
妹様が頭を下げたあと、「ほら、姉さんも」と背中を押されて姉様もチョコンと頭を下げた。
プレイヤー2
【ハンドルネーム】姉様 【年齢】不詳
【得意ジャンル】サバイバルホラー
【特徴】なぜか学生服 長身
プレイヤー3
【ハンドルネーム】妹様 【年齢】中学生?
【得意ジャンル】FPS
【特徴】迷彩柄のパーカー おチビちゃん
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