女の武器?!



『ねえねえ、あんたさ髪の毛に何使ったらそんなツルっつるになるわけ?ムカつくんだけど?!』


ふとした休日、唯一私の領域である部屋に入れられるこの生意気JK小娘。また私になにかイチャモンをつけたいのだろう。


『え、メリッタだけど....リンスインシャンプー.....』



顔が歪む今どきのJK。どうした、顔の化粧が崩れるぞ。


『はあああ?!メリッタとか、男の人とか子供も使えるやつじゃん?!ギッシギシにならないの?!えっ、さっらさら!.....はぁ...』


『なに、うるさいなあ...髪の毛細いからそれもあるんでしょ?』



『それにさ?!』


声でかいなあ......頬を触られる、まだ慣れていなくてビクッとしてしまう....でも嫌ではない。この子なら。



『あっ、ごめん。私、まじ!!○○の気持ち、ちゃんと考えてなかった....』


『ふふっ』


そう言って次は私から頬に触れる。


『?!?!え、え、!!』


『驚いた?生意気JK〜??』


顔が真っ赤だ。可愛い。

百面相していて、そんなところも可愛い。



『偉い!!めっちゃ成長してるじゃん.......』


『でしょ〜?私だってやれば出来んのよ!手袋なんてなくたってあんたに触れられる』


『あ!そうだよ、あんた肌ももちもちで何使ってるの?!洗顔は?!スキンケア用品は?!どこのブランド?!』



何を難しいことを言っているのか全く理解できない。まあ、まだ○○は高校生というなの思春期だから肌荒れもしょうがないと思うんだけど。


『というかさ、若いんだからそんな化粧品ベタベタ塗りたくらなくていいんじゃない?せっかく可愛いんだし』



『いやいや!可愛いコスメを使うことで私のモチベ上げてんの!!マジで女の武器だかんね?.....そうだ、いつも付けてる、赤いリップ!ほら!今つけてるやつ!どこの?』



『んー?この口紅?.....そこら辺の安いやつだった気がする、ていうかタバコ吸ってもいい?』


タバコをケースから取り出して咥える。


『ちょっと、やめてよ!匂いついてたらパパとママに勘違いされんじゃん.......』


『はいはい....』


『....いいなぁ、赤い口紅が似合う女。憧れる.......!』



また百面相してる、可愛いなあ。なんて思いながら吸うのを駄目と言われていたタバコに火をつける。



『はあ?!ちょ、ちょっと私の話聞いてた?!』


『......』



『んんんん?!っ、ちゅ、ちょっ、んっむっぐ!』


ちゅ、ちゅっと、これで合ってるのか分からないけど、とりあえずキスしてみる。まだ怖いけど、きっとこの子は汚れじゃない。昔の私はこんなこと絶対できっこない。でも、もっと、褒めて欲しかったから。やってみた、それだけ。


『.....はははっ、○○さ。私よりキス上手説ない??私産まれて1回もヤッてすらないから魔法使いになれそうな気がする、ふふふ、あー!恥ずかしっ』


『っ.....、』


『わっ.....』


抱きしめられた、強く。すごい、潔癖症なのに。私、人と接触してる。ドキドキする、でも...嫌などきどきとは違う。



『っ...かい』


『え?』


『もっかい』



ふと首を抱き寄せて、キスをされた。すごい、慣れてるのかな、目を閉じてる。キスって、目を閉じるもんなんだ....



『ふっ、んっ、あっ....』



そっと腰を引き寄せられる


『.......わ、私、キスとかも、初めてなんだけど.....潔癖症で、その』


『...へ、』


【あの、そういうの、とかいやだったら言って.....】


肩に手をがっしりと置かれ、

恥ずかしげに、ただ真っ直ぐに私を見据えて言う。


『え、うん.....』


『優しくする。絶対。ネイルチップ取ってくる。待ってて.........』


『あ.......あ、うんっ......』




あの子は女の武器を沢山持ってるのに、男の人とは付き合わず、女の武器を脱ぎ捨てて私と向き合う。


戻ってきた彼女はすごくかっこよくて、私はなんだか年甲斐もなく照れてしまったのだ。




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