〇〇と俺の愛情物語。 1日目
帰る途中だったのに、また会社に呼び戻された。最悪だ。上司からお叱りお言葉と、パワハラですと言わんばかりの仕事をいただいた。
何が『いただいた』だ。ふざけるな。俺はやることがあるし、帰ったら忙しいんだよ。と思いながらも書類に目を通し、キーボードに指を預ける。早く上がらなければとは思うものの、いつも帰るのは朝方(会社で寝泊まりして、また出勤)だ。俺はいつまでこんな生活を続けなければいけないのか......。
困った。俺の愛しい恋人に会えないじゃないか。また会いたい。また会えたなら、もう一度愛を囁いて欲しい。キラキラとした綺麗な顔、その割には太陽のように笑い、俺を魅了する。
いつもあの時間帯に帰っているのだろうか。制服を少し着崩していて、俺を誘っているのか?あの胸元はなんだ。絶対俺を誘ってるに決まっている。
『はぁ......』
目元を抑える。集中しろ、自分。まずはまたあの駅で帰ろう。そこでまた会えたら話して.....
ふと、紙袋に目をやる。
彼の飲み捨てたペットボトルが入っている。その中にはスマートフォンも入っていた。全く、間違えて紙袋に入れるなんて掃除員が間違えて捨てたらどうするんだ。困ったやつだな...ふふ。.......○○の所持物がある。それだけで興奮するし、一日を頑張れる気がする。別につけてなんか居ない。ただ方向が一緒だっただけだ。靴はブランド品だったな、ワックスを付けているのか、いい匂いがしたし。触りたい......。
ただひとつ気になることがある。
俺はあの光景が許せなかった。鳴り響くスマホ。その着信には女の名前。
『誰なんだよ、アイツ.........』
書類をくしゃりと握る。
着信音がなった。自分のスマホだった。
『はい、○○です.....』
『あっ、やっと出たわね。相変わらず残業パーティーなわけ??...まあ、いいわ。次の家族同士の会食、私は絶対に嫌。断っておいてよね??こっちもなんとか言っておくし......』
『ああ、わかったよ。悪かったな、連絡させて』
相手の相槌と共に。スマホを閉じる。
今、○○のスマホを持っているがパスワードが分からないので中を見ることが出来ない。次はPINEを交換してもらおう。きっとOKしてくれるはずだ。高校の名前は聞いたのだから、偶然を装って聞き出すことにしよう。自然と顔が綻ぶ。
......俺以外を見るなんて許せない。早く救い出してやらないと。○○、○○、○○.........。
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ダストシュートの中をいやいや漁る。
たしか前見た時と景色は変わらないし、ゴミは捨てられていなかった。なのに、自分が捨てたゴミがないのだ。駅員さんにも聞いてみたのだが、見つかっていないという。
『あっれ〜...?!どこやったかなぁ。そんなに奥に突っ込んだわけじゃねえけど....』
おかしい、先程間違えて飲みかけの紙袋と一緒にスマホを入れてあったはず。まったく、俺ったら何やってんだ!この忘れん坊めっ...!
と言いつつもそんなこと考えてる場合ではないと、焦りつつあった。友達にはPINEで電話を掛けてもらったが、リュックなど身近な物の近くからは音の反応はしなかったのだ。
『しょうがないなぁ、学校いる時は(彼女)か○○にスマホ借りるかぁ.....』
なんて思いながら、家を後にした。
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