第32話 アフリカでミーティング
夜にホテルで食事した後で部屋に集まってミーティングをしている。
「標的になる司令官のいるキャンプと支援している国の要人の潜伏先が見つかった。」
今なら容易く片付けられるだろう。
この間、かき集めた400人を始末したから、次に集まるまでの間に時間がかかっているはずだ。
「ここから北へ80キロのところに潜伏している奴が一番近い。ここから潰そう。」
地図を広げてペンで印を付けながら
「それから、更に東へ110キロのところにキャンプがある。
規模は100人程度だから、慎重にやればやれるだろう。」
「次は何を使うんです?」
何か強力な兵器を使うつもりなのだろう。
100人をまともに相手をしてたら、厳しい状況になりかねない。
「輸送機を頼んである。大砲を積んだ奴な。それから空軍が使うような爆弾もな。」
皆、へっ?と言う顔をしている。
「騎兵隊を呼んである。って言えば良かった。」
みんなわからないという顔をしている。
「えーっと。輸送機に大砲?爆弾?」
曹長がみんなの代わりに質問する。
「キャンプを爆撃するという事ですか? 輸送機?とは?」
「爆撃機はたけぇから、輸送機でいいかと思って。500キロも積み込めたらいい。」
はぁ?
そんなのうまくいくのかな?
「もちろんそれだけじゃないぞ。多分。」
多分ってなんだよ。
エッカルトは何か隠してる。
みんなジト目で見ていると観念してしゃべりだす。
「わかったよ。あれだ。アメリカで開発しようとしている新兵器を持ってくる。」
開発中の兵器を使うなんて、そんな金ないはずだけどな。
「それで・・・何を持ってくるんですか?」
殆んどエッカルトに対する尋問のようになってくる。
「政府には金が無いから、あり合わせで作ることになった。」
「だから何を?ロケットか?」
「いや、油だ。ここは石油が採れる。石油を空から降らせる。それで大量の20ガロン缶が乗ってる。」
「・・・・」
「見ただろ。丘の向こうで重油が燃えた奴。あれは一種の実験だ。」
「すさまじかったからな。それで、空軍に戦果の報告とかしてたのか。」
「あっ。それで軍への要請もすんなり通ったのか。」
僕はなんとなく納得した。空軍の高官があんなにもあっさりと承諾したのは、根回しにそっちの協力もしてたからなのか。
「まあ・・・。そういうこった。」
皆、何の話か分からなかったが、掘削機の輸送の件で、アベルが軍に要請しに行ってたのは知っていた。
それにしても貧乏過ぎる戦争になったものだ。
表立って戦えないという事で、軍は使えないし、金は無いからという事なのだろうが、飛行機は民間だろうか?
ロケット弾でも食らったら終わりだから、誰も協力しないと思うけどな。
みんな少し不安になったが、面白そうな作戦という事もあって、詳しく聞きたがった。
「面白い案だけど。どれくらい撒くんだ?」
「良くはわからんが、5トンくらいかな。」
まだ何かありそうだ。
「ほほう。それはまた、たくさんだな。」
「今、榴弾の信管を缶に取り付けているところだ。空中で爆発したら、森でも畑でも火の海になるさ。」
エッカルトが歯切れが悪い時は、何か隠しているときで、まだ面白い事を何か隠し持っているに違いないと、皆が勘繰っている。
ジトーっ。
「さあて。このくらいでまた明日にするか。なぁ、みんな。ははは。」
「あやしい・・・。」
多分だけど、こういう貧乏くさい作戦だと、妙に隠したがるというか、昔からそういうところがある。
意外と見栄っ張りというか、装甲車を手に入れた時は機嫌が良いのに、トラックだとムスッとしていたりよく見かけたものだ。
そういえば、一般兵の小銃も嫌がってたっけ。
将校が持つ拳銃とか、サーベルとか以外は特に持ちたがらなかったし、スナイピングはうまいのに、小銃は必要な時にしか持たなかったな。
今回の場合は爆撃機じゃないから?
爆弾じゃなくって、油の缶だから?
なんか・・・エッカルトが子供に見えてきた皆だった。
まあ・・・なんか楽しそうでいいじゃないか。
空蝉の世ぞ 夢にはありける もも吉 @momokitisan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。空蝉の世ぞ 夢にはありけるの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます