#33 災害復興支援
翌日、早朝。アディス級潜水戦艦発令所内で、簡易的な作戦会議が行われていた。
「――それでしたら、負傷者だけをアディス級潜水戦艦に輸送させて一時的な救護艦にすることを提案します」
「どうやって?」
すると今まで黙っていたノーヴァが、「LCVPなら海岸線に揚陸可能ですよ?」と言った。
「分かった、ネルス隊とトポス隊は救護活動に専念しろ」
「「了解」」
「それと、メシア隊は被災状況を空察してカトリーナに伝えてくれ」
「了解」
「最後に・・・、カティア隊は非番だがLCVPにありったけの水と食料の積み込み作業に従事しろ」
「ラジャー」
「作戦名は災害復興支援だ、
発令所を勢いよく飛び出して艦尾にある艦載機用格納庫と昇降機にカティア隊とメシア隊、ネルス隊、トポス隊が着くころには完全浮上しておりいつでも発艦可能状態になっていた。
「艦長、艦尾甲板より発艦要請が来ました!」
「よし、
偵察ヘリであるMH-6――通称リトルバード3機が次々と発艦した後、兵員輸送機であるAH-60Lのブラックホーク2機がネルス隊を乗せて飛びあがり、MV-22のオスプレイ3機とありったけの水や食料を乗せたLCVPがほぼ同時に艦から離れて行き負傷者やトポス隊輸送の任に着いた。
○○〇
海岸に揚陸したLCVPから水や食料を乗せた
ブラックホークがとある市街地上空に到着するやいなやホバリングして各機から2本の降下用ロープが垂れ下がり、次々と国際救助活動旗を背負った女性隊員達が降下してきた。オスプレイは皇都ヤマト上空でホバリングして、着陸場所が確保されるまではLCVPによって海岸まで運ばれた食料などを内地に輸送するという任務になった。
『――アディス級潜水戦艦から各隊へ、空撮が届いた。 北部は被害なしだが、南部や皇都が被害甚大だ。手が空いている部隊から救助に向かえ』
機内にある無線機からカトリーナの声が定期的に流れてくる中、オスプレイはホバリングを続けて兵士達を降ろしていた。
「大丈夫ですか?立てますか?」
「ありがとぅ・・・」
「助かるわぁ、ありがとうね。お嬢さん達」
「いえ、これが私達の任務ですから」
住民から感謝の声が津波のように広まって行く中、メシアは2人の子供の傍に居た。
「うぅ・・・、ママとパパが――」「うわあぁん!」
「落ち着いて、私がママとパパを助けるからね」
「「うわあぁん」」
そう言って落ち着かせようとした時、オスプレイからファストロープ降下で降りて来たノヴェラスがジャッキや毛布などを持って傍にやって来た。
「メシア、手伝ってくれ!」
「は、はい!ただいま!」
瓦礫の隙間にてこの原理を活かしながら長い棒を突っ込み、ジャッキを素早く入れて積み重なっている瓦礫の山を押し上げた。その後、男性が女性を護ろうと覆いかぶさっているのを発見したので2人の男女を外に運び出して2つの担架に乗せた。
「ママ!」「パパ!」
「――AEDを念のためにした後、人工呼吸を頼む」
「「「「はい!」」」」
ノヴェラスの指示で、赤十字架マークを背嚢に付けた衛生兵4人が2つの担架を運んで行った。
「よし、後まだたくさん居るぞ。 メシア、子供の傍で励ますだけじゃなくて照明弾で位置を知らせることぐらい出来ただろ? それに、空撮はどうした?」
「ご、ごめんなさい。子供が泣いているのを見過ごせなくて――」
「ふっ・・・。 人命優先だが、まぁ・・・。 次からは照明弾を炊けよ?」
メシアの頭を軽く撫でて、その場を立ち去って行ったノヴェラスの後ろには顔を赤くしたメシア・ナームスだけが残された。
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