#32 地揺れと津波
その後、空挺部隊所属部隊長メシア・ナームスの部下であるカティア・レーナスらの部隊がM16A4やAK-12、AR-15、M4A3、銃剣を付けたMP5-Kを装備してアディス級潜水戦艦から派遣されたMV-22――通称オスプレイと呼ばれる輸送ヘリから降下してきた。
「カティア小隊は彼らの
「了解です」
「メシア、先に戻っていろ。そして、万が一のために艦砲射撃準備を伝えてくれ」
「了解」
その後、ゆっくりとオスプレイに宙摺りにされるかのように退却していった。
ノヴェラスは彼女らを見届けた後インカムの電源を入れて、「こちらノヴェラス、メシア隊を一時撤退させた。 援護部隊は暫く要らなくなりそうだ」と妹であり戦術長のレイクッド・ディルスに連絡を入れた。
『――コピー』
「それと
『――コピー。あ、さっき海底から微弱な揺れを感知したよ。 地震に気を付けてね』
「微弱な揺れだって・・・? 間違いないのか?」
『――うん。
「あ、ああ。気を付けるよ、じゃ。(地震だって・・・? しかも微弱な揺れって、一刻を争うじゃないか!)」
インカムを切って、もしかしたら地揺れが起きるかもしれないという事をトポスやネルスに言うと2人は慌てるどころか、冷静になって居た。そして、それぞれの部隊員達を集めてその事を伝え始めた。
○○〇
陽が傾き、空が赤色に染まり始めた時、インカムからレイクッドの慌てた声が聞こえて来た。
『――聞こえている⁈ ねぇ‼』
「はい、はい! 聞こえているよ、レイ。どうした?」
『――レヴェルから報告よ! マグニチュード9の地震が間もなくそっちに!』
「マ、マグニチュードが9だって⁉嘘でしょ⁉ つ、津波は、来るのか?」
『――間違いなく来るよ!そっちに緊急でオスプレイを上げたから、それに乗って上空に退避して!』
「分かった、連絡。助かった」
インカムの回線を切り替えてオープンチャンネルにした後、「総員、よく聞け! 地揺れが来るぞ、マグニチュードはおよそ9だ!」と叫ぼうとした時・・・。地面が呼応するかのように、静かに揺れ始めた。
奥に見える山肌が土煙を吐き始め、鳥や魔物達が逃げようとその山から逃げてくるのがうっすらと確認できた。
「――来るぞ! 今すぐ、地面に
「(
地面に
『――オスプレイより地上部隊へ、エクストラクションロープで回収します!』
その時、インカムからオープンチャンネルで声が聞こえて来たので仰向けになり真上を見ると後部ハッチの柱に手を添えているレイクッドの姿があった。
『――無事ですか?』
「無事に見えるか、この状況が」
『――ははは、あ。 もう間もなく津波が来ちゃいますよ! レヴェルの予想では、推定で10メートル越えかと』
「10メートル越えの津波か・・・、ヤマト皇国は
『――なぜです?』
「それは機内に上がってから言うよ」
3秒後、オスプレイに宙摺りにされるかのように地面から離れるとさっきまで居た場所が地割れを起こして谷のようになった。
「――あっぶな!」
「危機一発でしたね、隊長ぅ・・・」
「し、死ぬかと思ったあぁ!」
ネルスとトポスが胸を撫で下ろして安心していると、水平線の向こうから
○○〇
津波が次々と木造建築物や人々を飲み込んで行き、街を更地に戻していった。
「これは酷いな」
「そうですね、ここまでとは・・・」
「・・・レイから見て、この国の国民全員が無事だと思うか?」
「恐らくですが――、死傷者と行方不明者が多数出るでしょうね」
「街の復興も皇国だけでは、間に合わないだろうな」
「そうですね。 この国だけでは――って、まさか・・・?」
「フッ。 俺の言う事が、何か察したか?」
「まさか、復興支援を始めるなんてことを言いださないでしょうね?」
「そのまさかだよ、レイ」
「はぁ・・・。兄様ったら、またトンデモナイことを・・・」
レイは呆れながら、ブツブツ言っていたがこの
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