#31 襲撃者

 首都ヤマトの門を潜り城下町風の街に足を踏み入れると、江戸時代のようで現代日本のような街並みが広がっていた。スーツ姿や着物姿、侍や武士が活気ある街を練り歩いていた。


「おおっ! 日本みたいだけど、異世界ですねー」

「ああ。文明の利器は何処どこまであるのか、興味を持つな」


 トポス・エフォーリアとノヴェラス・ディルスは地球出身なので、特にノヴェラスが感嘆かんたんの声を漏らしていた。


「・・・」

「相変わらず、無口だな。 行くぞ、絶対にあのお方に近づけさせるなよ?」

「・・・ん」


 一行を監視するかのように見ていた2人の人物が木陰から飛び出し急接近を試みたが、何かの気配に気が付き距離を取った。


「――止まれ!何者かを証明しろ」


 2人の目の前にM4-SGを構えたトポス・エフォーリアが、ノヴェラスを背にして立って居た。そこに残像を残す速さでやって来たのは、ノヴェラスから密命を令されたネルス・ネラだった。ネルスはトポスの右隣に着地すると、腰に差していた銃剣用ナイフを抜いて「ちーっす、2人で襲い掛かるなんて。 卑怯ひきょうじゃないの?」と相手を煽りながら刀身をゆっくり舐めた。


  ○○〇


「ふっ、俺達に匹敵ひってきするとでも? ご冗談を、ククク」

肯定こうてい。 身の程知らずの野蛮人、お引き取りを」


 2人がそう失笑していると表情が変わり刹那せつな、トポスとネルスを出し抜き「ノヴェラス・ディルス、主の命令により」「――ここでバイバイ」と短刀たんとうを抜き迫って行った。


 しかし、2人の短刀がノヴェラスの背に突き刺される事なく宙を舞い地面に突き刺さった。


「邪魔してごめんね。 ところで・・・誰の命令で、誰の考えかな?」


 そこにはHK417の銃口を構えてノヴェラスの背中を護るように、瞬時しゅんじに移動していたメシア・ナームスの姿があった。


「俺達の攻撃を直感で感じたのか・・・? ありえない」「――同意どうい。理解不能」


 ノヴェラスは2人が戸惑っている声を聞いて笑っていた、それはそうだ。一度、訓練を終えたメシアと模擬戦をしたがノヴェラスが本気を出しても負けかけたほどの実力だ。


 メシア・ナームス、彼女は強襲部隊所属の空挺部隊隊長だ。空からの強襲では精神と忍耐力を伴うから、まぁ・・・潜伏スニークというスキルではなく能力が必要になって来るのだろう。


「ネルス、彼らを拘束してくれるかしら?」

「わ、分かったよ。手柄泥棒――」

「ん? 何か言った?」


 ネルスの小声に反応したかのように、顔は笑っているが怒りのオーラがにじみ出ていた。


「あ、いえ・・・、何でもナイデス・・・。 アハハ!」


 メシアは地獄耳なンだよなぁ・・・。


「ん?ワタシ、地獄耳ですか?」

「あ、いや・・・(聞こえていたのか?)」

「聞こえて居ませんが、何となく察します」


 にこやかに笑って返事された、否。笑っていない、むしろ怖い笑みだ!


 女、怖い、超絶怖い!!


  ○○〇


 メシアとトポス、ネルスが協力して2人を拘束し終えた後、俺は「君達が言う主とは、誰の事かな?」と優しく聞いてみたが口を割らない。まぁ、当たり前だよな?


「仕方が無いな、拷問ごうもんタイムと行きますか」

「素人の拷問なんか、効く物か!」「――是。素人ドヘタ


 ちょっとムカついたから、青少年対象の危ないやつを取り出して変態極まりない笑みで「これを下のお口に×××あげようか? それとも、三角木馬に座らせて×××フックをしようか?」と遠慮がない程に言った。


 その想像をしたかのように青色に顔色が変わり、「サ、異常者サイコパスだ」「同意、××される未来が見える」と怯え始めた。


 ん?なにも無いですよ?これが報復という物ですよ、諸君。

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