#20 行進

 一行はノヴェラスを先頭として、ただひたすらナームス傭兵国城を目指して移動を始めた。


『ノヴェラス隊長、こちらネルス。 敵国の女王と王女を検挙しました』

「分かった。 俺達がそっちに行くまで、監視しろ」

『了解』


 ネルスがインカムで戦争開始首謀者と考えた女王と王女を検挙して現在、地下にあるおりに隔離中という連絡を寄こして来た。


 それを受け取ったノヴェラスは側面格納庫のハッチを開けて、「総員、乗車!」と指示を出した。

 ノヴェラス隊は陸自が使用している軽装甲車両LAVや10式戦車に搭乗し、レイクッド隊は水陸両用強襲輸送車AAV7や96式装輪装甲車、エセス隊は支援攻撃に特化した203ミリ自走榴弾砲や75式155ミリ自走榴弾砲、75式の改良型である99式155ミリ自走榴弾砲に乗り込みLAVを先頭として格納庫から出発した。


 暫く走り続けていると、目の前の空に緑色の煙が見えて来た。


『隊長、こちらトポス隊。 緑色りょくしょく発煙筒を炊いた、目印として』


 無線機からトポスの部下の声が聞こえて来たと共に、開け放たれた城門前に到着した。中に入ると任務遂行部隊達が、瓦礫がれきや敵兵士の亡骸を別々の場所に運ぶ作業をしていた。


  ○○〇


 軽装甲車両LAVから降りた後ネルスの案内の元、監禁されている女王と王女の場所に来たノヴェラス・ディルスは語り掛けるように「まずは、エウランド皇国を攻めるように言った愚か者は、何処のどいつだ?」と王女の顎に指を這わせた。


「・・・アキラ、村雨旭よ」

「アキラ・・・? ああ、日本人か」

「彼が言ったの、私は悪くないわ!」

「分かった。 じゃあ、一つ聞くが首謀者はどこだ? まさか、逃がしたという訳ではないよな?」


 王女はそこで黙った、つまり共犯となって犯人を逃がしたという事だ。


 ノヴェラスはそばに居たネルスに「ネルス、部隊を分けて首謀者を逮捕して来い。 半殺しでも構わない」と指示を出した。


「了解」


 ネルスが地下牢から出て行くタイミングで、「おっと、名前を伝えるのを忘れていた。 今は潜水戦艦だが、アディス級潜水艦艦長のノヴェラス・ディルスだ。 これから、妹で戦術長のレイクッドが尋問するから。よろしく、ナームス傭兵国王女と女王さん」と言った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る