#07 ファースト・コンタクト
艦名は確か・・・1914年の米墨戦争時にベラクルス上陸を指揮し名誉勲章を受章したフランク・F・フレッチャー提督に
フレッチャー級駆逐艦は第二次世界大戦時にアメリカ海軍が保有した175隻の同型艦を誇る、重武装駆逐艦だ。主兵装は38口径5インチ単装砲5基5門と副兵装に21インチ5連装魚雷発射管2基という武装に、ボフォース40ミリ連装機銃5基とエリコンFF20ミリ単装機銃6基という武装だ。
「(そんな
潜望鏡越しに沈んで行った駆逐艦を見ていると、海面に
「あれは・・・、敵の乗員か?」
「レーダー上には反応ないですよ?」
「ああ、それはそうだ。金属か帆船しかヒットしないからなぁ――という事は・・・あ」
「「「「「「「「あ」」」」」」」」
人だという結論に至った俺達は、すぐに浮上して人命救助活動を始める事にしたのだが・・・妹のレイクッドが反論したため少しだけ遅れた。
「――でも!中の構造を知られたら――‼」
「一刻を争う事態だぞ?自分の立場になって、もし味方が自分を助けてくれなかったらどうする?」
「そ、それは・・・」
「つべこべ言わずに、ウィンチを用意しろ」
「は、はい・・・」
結局、口論に勝てないと察したレイは「わかったわよ・・・」と小声で呟きながら、ウィンチを出しに艦尾に向かって行った。
レイの言いたいことは、兄である俺も分かっている。でも、救える命がそこにあるならたとえ敵兵だろうが、関係ない。同じ命を持っている生物だ。見捨てるなんて、
○○〇
敵の乗員たちにはその意味が伝わらなかったのか警戒していたが、たった一人の女性が今言われたことを即座に翻訳して伝えてくれていた。
「かんちょぅ!準備出来たよぉ~‼」
カトリーナが真下にある発令所で待って居たノヴェラスはその声を聞くと同時に「総員、救助活動に励め!」と号令を出した。その声を合図に
「あー・・・聞こえているかな?ようこそ、アディス級潜水艦へ。俺がこの艦の艦長、ノヴェラス・ディルスだ」
拡声器を手に持ちわらわらと集まって来る敵乗員たちに向かって自己紹介を始めたが、この世界とは異なる
「感謝するわ、ノヴェラス・ディルス」
しかしその時、士官と思われる女性が俺に顔を向けて声を出して来た。いや、日本語だぞ・・・。
――あっ。ふーん、察した。
やがてウィンチを動かしている音が聞こえ始めると、一気に甲板上が怪我人や呻き声で騒がしくなった。
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