#08 アリゾナ爆沈戦果
救助された敵乗員たちをレイクッドの案内で艦内に通した後で赤や白のワインで湯浴びをしてもらった後、第2居住区画から第4居住区画までを1次避難所として開放した。その後、あの時の女性士官が居る部屋に向かい、軽く3回ほどノックをして「ノヴェラスだ、入って良いか?」と聞くと鍵が開いて中から赤髪の女性が姿を現した。
○○〇
女性の名はネルス・ネラ――彼女曰く、元女子高生らしい。転生してきた場所は日本国の横浜だってさ、まぁ・・・日本旅行中に刺殺魔に襲われたらしい。
「――それで?貴男は?」
「俺は元日本人だ、米海軍のシールズに数年と帰国してからは海自に所属していた」
「へぇ・・・、じゃあ。私からすれば3人目の
「その理論だと、
「そういう事になるわね。ところで、この部屋に来るっていう事は私の身体望みかしら?」
モデルのような
「いや、少し確かめたかっただけだ。下心や君に対する気持ちは一切ない、じゃ。ごゆっくり」
部屋を出て数歩歩いたところで、後を追いかけて来たであろうネルスに手首を掴まれた。
「待ちなさい!――私達は貴男やエウランド皇国にとって、敵なのよ?分かっているの⁉」
「ああ、知っている。それに君達にいつ“
「・・・」
「俺は――俺達は、君達がナームス傭兵国に帰った後にここに残っても何にも言わない。しかし、ナームス傭兵国のためにその命を捧げるのなら、現時刻を持って君達を“
ノヴェラスの問いかけに押し黙ったネルスは頭を掻き、「わかったわ・・・。部下に相談してみるわね、捕虜になるか自由になるかを」と呆れながら返事した。
ネルスが部屋に戻って行く後姿を見ていた俺は、「これは・・・、特殊強襲部隊が出来そうな予感だな」と誰にも聞こえることの無い声色で言った。
深夜02時00分、エウランド皇国沖に浮上し航行をしていたアディス級潜水艦は異世界に似つかわしくないアメリカの超弩級戦艦の反応がソナーに映っていた。
「――レーダーチャート上に
「潜望鏡深度に、緩浮上」
「・・・現深度10メートル、潜望鏡よし」
接眼鏡に目を近づけて覗き込むと、舷側にネヴァダ級戦艦1番艦ネヴァダを示すBB-36という白い文字が辛うじて見えた。
「――ネヴァダと・・・2番艦のオクラホマだな。ノーヴァ。艦首1番と2番発射管に、二酸化炭素魚雷を有線誘導で装填しろ」
「・・・装填した」
「シュート!」
魚雷発射ボタンをノーヴァが強く押し込むと発射管から、航跡を残さずに二酸化炭素魚雷2本が誘導座標に向けて流れて行った。
「着弾、今」
レイの報告が聞こえると同時に、斜め前に座っている砲撃長のルドゥリアに指示を飛ばした。
「――全主砲、榴弾装填!」
「1番と2番砲塔、そして3番砲塔――榴弾装填!」
「撃って、撃って。撃ちまくれぇ!」
「一斉射撃‼」
腹に来る轟雷音が聞こえてくると、「弾着まで約15秒!」とレイが全周囲ディスプレイを見ながら告げて来た。
「・・・――5秒前・・・3、2、弾着、今!」
砲弾を弾いた時に出る火花と同時に、水柱が2本上がるのが見えた。
「ネヴァダ中破――他は3隻とも艦橋構造物に火災」
「次弾装填、誤差修正マイナス3度」
「全主砲塔、準備よし!」
「撃ち方、始め!」
「撃ち方、始めぇ!」
アディス級潜水艦の主砲である40口径62・6センチ連装主砲塔3基から発射された6発の砲弾が、こちらに主砲を向けているネヴァダとオクラホマの2番と3番砲塔である連装砲塔を機能停止させた上に
「っ!敵戦艦、爆沈!」
レイが報告を上げる時には、左倒しでアリゾナが沈んで行く光景が広がっていた。
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