終わりの始まり ②



「何?話したいことって」



周りに人がいないのを確認しルーセルにきく。



「君は…この建物のことを元から知っていたのか?」



「…なぜそう思うの?」



「…最初は確信がなかった…けれど君と共にしてきてだんだん確信が出てきた。俺は君とサンザリカとの会話を聞いていた。それらを聞いて君たちはここにくる前から知っているのだと分かった。そしてこの建物のことを話していた」



「やっぱり、あんた聞いてたんだね。それで?私に何かよう?」



ルーセルの、目は光がなくなり怒りの目にへと変わった。



「…数年前、俺の家族はある日行方不明になったんだ。俺が夕食の準備をするために買い物に出て、帰ってきた時にはどこにもいなかった。その頃いろんな人が行方不明になっているのを聞いた。俺の家族も誘拐されたのだと思って必死に探した。けれど手がかりとなるものは見つからなかった。それから何ヶ月か経ったある日俺は見たんだ。人が誘拐されているところを。俺は気づかれないようにそいつらに着いていった…」



「…そこでこの建物を見つけたってわけね」



「ああ、俺は中には入れなかったが近くに窓があったから覗いて中を見たんだ。目を疑ったよ。あまりにも残酷すぎて…その時俺はある一つの死体を見つけたんだ…それは、行方不明になっていた母さんだった」



ルーセルは家族を殺されていた、だから私と同じようにサンザリカに復讐しようとしていたんだ。ようやくルーセルへの不信感が消えた。



「君もぼくぼくと同じような目に遭っていたんじゃないのか?」



もう隠し通す理由もない。ルーセルも自分のことを話してくれたから自分も話そう、カナリヤはそうおもい口を開いた。



「私も大切な人を殺されたわ。目の前でサンザリカに切られたの。その場ですぐ亡くなったわ」



躊躇いなくスラスラと話した。大丈夫。震えてなんかいない。動揺せずに言えたはずそう思っていたが組んでいた腕に水滴が垂れた。目からは涙が溢れていた。



「そんな…だ、大丈夫か?」



「大丈夫よ、それで、あなたは何がしたいの?」



涙を拭って言う。



「もちろん復讐だ」



「復讐って何をするつもりなの?」



「サンザリカに同じようなことをしてやるのさ」



「そう…だけど、最初に言っておくわ。サンザリカが全ての事をやったわけではない。もう一人、これら全ての元凶がいるわ。そいつにも復讐しなきゃね」



ルーセルはまだアイの存在を知らない。これまでの事の元凶はサンザリカだと思っているが違う。アイだ。



「それは誰なんだ?今すぐにでもそいつを…



「やめときな。あんたが相手できるような奴じゃない」



「…君はどうするんだよ」



「さあ、どうしよっかな」

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