終わりの始まり ①
「 」
誰かが呼んでいる。誰?私の名前を呼ば人は。私なんかを必死に呼ぶ人なんていないはずなのに。
私は死んだの?はぁ、失敗したんだ。ルリスの仇をとれなかったんだ。結局私は何にもできなかった。
ただただ時間の無駄だったのね。最初っから分かりきってたことなのに。仇をとれるわけない。
なのにあんなしょうもないことを始めて。だったら早く死んでルリスの元に行きたいな。
ルリスがいない世界で生きるなんて嫌だ。誰も信じれない。私な仲間なんて一人もいない。
このまま死のうかな…
『カナリヤ…あなただけでも生きて』
『いつだってカナリヤの味方だ』
『約束よ…カナリヤ』
「カナリヤ!」
パチパチ
目を開くそこにはさっきまでの空間はなく横に誰かがいる。
「ここは…地獄…?」
「違うよ…カナリヤは生きてるよ」
聞いたことのある声。徐々に顔を動かし横を見る。そこにはシャリングやルーセル、ハーネストがいた。
「…戻ってきたんだ…」
「良かったよ…本当に…」
「ほんとうに焦ったんだからな」
「…なんでハーネストがいるのよ」
「ミーシャが来て教えてくれたんだ」
「ミーシャが?」
今までミーシャのことも疑問に思っていたが何となく分かってきた気がする。ミーシャも精霊と何か関係があるのだろう。
そう考えれば人の言葉が通じるのもおかしくない。分かったところで驚きもしなかった。
コンコン
「どうぞ」
入ってきたのは二人の夫婦だった。
「お目覚めになりましたか?!良かったです…これ飲んでください」
女性はコップをカナリヤに渡した。その中からは独特の匂いがする。
「…ありがとうございます」
コップを受け取り一気に飲み干す。味はとても不味く口の中が気持ち悪かった。その顔を見て察したのか男性の方はどこかへ行ってしまった。
「ほんとご無事で何よりです。毒を飲まれたのだと思います」
「…そう…私はどれくらい寝てたの?」
「丸三日じゃないかな。みんな心配してたよ」
「丸三日⁈そんなに…」
「カナリヤさん。お茶を持ってきましたよ」
男性は戻ってくるやいなやカナリヤにお茶を渡した、お茶を一口飲むと心が落ち着いた。どこか暖かい温もりを感じる。前にもこんな温かくなった時があるような…
「それで…誰に毒を盛られたんだ?」
顔を顰めて立っていたルーセルが言った。カナリヤは体を起こし
「それはもう誰か分かってるから、待ってなさいよ」
「…そうか…その前にカナリヤ。話がある」
ルーセルはカナリヤに言った。
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