第9話

※レマイア領 買い物中

 

俺が計画した買い物無双の結果だが・・うん、出来なかった。物価の波が異常だったよ。店が悪かったのかな?魔法具店の他で魔法具は売ってないから・・合ってるな。そりゃそうか。

何かねぇ、毒を感知する指輪とかが有ったのよ。


その魔道具一つで金貨20枚もしたのさ。中々そこまではふん切れなくてさ、その性能を詳しく聞いてみた。詳しく・・ね。毒を感知する・・だけだった。


俺の(アルアル)に無いチートだよ?解毒の指輪とが毒感知の銀皿・・バクってないか?この世界。感知したら直ぐに対応するばいいけど、取り敢えず避けとく系は不味くなる予感。


どうでもいいけどお試しはしたよ。毒草で有名なダチュラを近づけてみたが反応なし、どの範囲からなの?即死級じゃないとダメって事?これはいらんな。


「何でそんなあぶない物を」


「これって香料とかにするんだよ。それなりに売れるから」エンゼルトランペットとか有名じゃね。手が荒れそうだけど。「液体でないと」と、店主さんは言ってます。液体に生成した次点で、被害者が発生しますがなにか?


あーマジで使えない。完全な液体の毒に敵対する状況が想像出来ない。植生でそれに触れたりするから、意表をつかれて毒に遣られる訳でしょ?そんな認識しか出来ないんだけど。


その辺に気を使っていなかったが、毒草を持っていたのはメイサリス的には納得出来なかったみたいだ。


それも丸っと剥き実のままだから、毒草って言葉だけで毒に冒されるのを想像したらしい。ここでそれは無いからと安全宣言するのは、かなり時間を有するので流れに従って誤魔化そう。


直ぐにナイナイしなさいと目が言っている。今は遣りたい事がオシオシなので、優先順位に関わって行きます。ペイっと隠した。疑らないで。男は危ないくらいが受けるのさ。


この毒草の使い道にも考えがあって、喜ばれる香料が作れたら俺もついでに喜ぶからな。それに妄想の中なら出来上がっていて、多いに喜ばれて色々とお世話に成る感じだ。至れり尽くせりがイッてしまうのは俺仕様だけど。


それでも真面目に、中級のポーションを1つ銀貨15枚で購入した。ふぅ、何日分の食費になるだろう。思わず、遠い目をしてしまったぜ。


当初の予定とは違ったが、次後の予定に含まれていたので問題ない。高い高いとは思っていたが、冒険者の必需品だと認識し直したからな。いざに遅かったけど。

 

ポーション、[アイテム①]に入れたら面白い結果が出たのだよ。といっても家で持っていた初球のポーションなのだが。


{初級ポーション・魔力を含んだ聖水とブーティ薬草を煮詰めた物}そこで聖水って何だよ?こんなの簡単に手に入らないよね?すごーくすっごく考えて、その辺の水を煮詰めてみた。


そう、不純部分を取り除いた蒸留水を[アイテム①]に入れたよ。はい、聖水来ましたーおかしいけどいいよね?


 ついでに知識もきたー{初級ポーション=聖水2割+魔力3割+ブーティ薬草4割}ほら、足りねーし!後は気合か?って、作ったら出来たのよ・・中級って表示がされたけど。足りないと中級?



よくは解らんが、そんな昨夜だったので市販の中級ポーションを買った訳さ。因みにこのポーション作りを実家でやったのだが、台所で煮詰めたらさー大変!くさいとサナーに追い出された。それで俺の部屋も臭くなったんだけど!


今更だが、今日の目的は全く違うのだ。昨日までの俺は世を忍ぶ仮の姿と言えるだろう。得にエロ魔人などではない。そこそこの範囲内ではあったが。


改めて、ちょっとだけ本気を出す必要を感じている。部屋のくささを何とかしないといけないからだ。使用人から見られる視線が痛い。


それらも真面目な話なので、今の俺は別人だと思ってくれ。何度か入れ替わった人格が、回数が多くて元に戻ったのは内緒だけど。


あーくさく成った俺の部屋は必死に喚起をさせたけど、においが消せたかな?風通しをしただけでは無理かも知れない。


俺がくさいとか言われても絶対に拒絶だな、俺ファブリはまだ作って無いよ。そのくさいは俺のにおいで対抗するから、何処でも俺くさく成るだけなんだけど。何かの匂いに似ている・・そんな噂が立ったら完全な引き籠りに成れるぞ。においも消せていないし。


ここ数日何度となく荷役屋の建物の様子を伺ったが、荷役屋には不穏当な雰囲気で殺気みたいな物を感じる。さらっと[空間範囲探知]で建屋を探ると、その場を動かない者達が20人程度が控えて居る。


その様に待機中な奴等は、動かずとも仕事を熟している訳だ。体を使う事でナンボが貰える奴等なのに。何の為?彼等を何かに使いたいのだけは解ったが。その出番も或るとは限らないが。少なくとも街中を時間を見測っては警邏が行われているのにだ。


「今日は何処へ行くの?」


メイサリスの質問にはちょっと答え難い、最初の現場には既に着いているのだから。とは言ってもご都合宜しく、次なる目的地がこの先にあるのだから問題もない。


「・・穀物の取り纏めをしている問屋だな。そこでもちょっとした話を聞く事になるかな」


この穀物問屋は、この領の全ての穀物の取り纏めをしている。それでも集積場はここに置いていないので、その場で行われるのは事務処理が大半である。問屋と思っているのは俺だけで、その手の知識は撒かれていないから似た何かであるだろう。


それも端的に表すのなら、総人口1万人強の食の管理者と言えるかも知れない。領公館がその上を担っている訳だが。遠い昔の只の開拓地の頃は、近隣の領がここを片手間の中で収めていた場所でもある。


後にロブント・レマイア伯爵がこの地を納め、多様な政策を施して現在に至っている。当初はとても大変だったと聞かされた、簡単な聞き齧りでは寄生貴族の両親達がこの地を管理していたらしい。形的には委託を受けた代官みたいだ、それから頑張って伯爵にまで登りつめたのだと。


その途中は各々に任せ過ぎて脱税等と腐敗も積もった・・Ⅰ強なら尚更と思うかも知れないが、穀物相場は領公館が状況を精査して決めている。それらが有るので小売業者の努力が、廃棄率の軽減にも繋がるのだが。


ここの領の税収は消費税のみで、人頭税や通行税も設けられていない。ただ、その手の管理が出来ない者は、余分に税を納める事には成るが。因みに他領の話に成ってしまうが、そんな不当な税が適当に発生している所もあるらしい。




※ではではのガサ入れです、マルサの男だけど。髪も肩まで伸びちゃってますが何か?




それは兎も角現に直面している問題が、地味な脱税を3年近くも続けられ、そのしわ寄せで苦しんでいる者がいるから正す・・そんな状況だ。


生産者から小売までが完結された税制だけど、小売りから仕入れする逐次業者を上手く・・恫喝に近い手際が行われたのだ。この世界でもバックマージンを模するとは、悪知恵は結局その身を滅ぼさないか?


「ご免下さい。領公館の者ですが、当主様は在宅ですか?兼ねてから通達して折りました、監査報告の件で」


今回の件は以前の俺の遺産だと言える、持ち持ちになってた半端仕事に目処を付ける事にした。その為に詐欺師みたいな訪ね方に成ったが、売り物を持っていないので問題も起きない。それにリフォーム業者でもないから、あの部分がちょっとなんて建屋の様子を誤魔化さないし。


こいつら・・この処理をどうするか、其れなりの期間を費やしてこれの判断の熟慮も済んでいる。だが悪い結果を公表しても、得に出来る程の見返りは難しいだろう。それでも準備らしきものと思い、メイサリスの安全を考え屋敷の外で待機をして貰った。


ちょっとだけ張り詰めた空気に変わった所で、ここの当主が待つ場所へと案内される事になった。当主の待つ部屋に入ったので、継続しておいた[空間範囲探知]で回りの状況を確認する。この手の魔法は、いきなり使うと大抵は感知されるからな。魔力ごり押し・・神に付けられたゴリの渾名はどうなの?


その魔法を屋敷に入る前から使い続けて置けば、余程の手練れで無ければ感知しずらい。これに関して言うと、魔法を使い続ける奴はそうそうに居ない。個人の魔力量の問題に成るからだ。俺には関係ないけど。


こっちの世界に来るのにお約束で、下級ドラゴン並みの魔力量を貰った。よし!って思ったが、すぐ変更して貰ったのだ。下級ドラゴンとか言われてもよく解らんし、減った魔力がどう溜まっていくのも知らんし。


そこは人族上位者でいいよ、ちょっとは遠慮しました・・てな感じ?でもでも、8割まで減ったら直ぐ戻してね。その無限ループのお願いは蹴られた、8割は無理で5割にしろと・・めっちゃグズられたけど、間って事で?7割にして貰った。


一応はこっちに来てから確認したけど、体感的にぐんぐんと戻るのでいい感じだね。ヤッホー


それはそれとして目の前に座してる当主、その横に立った執事と思われる者の2人以外に部屋の外に隠れて居る10人近い囲み役が配備されてる。その場で促された俺は、対面の椅子へと腰掛ける。中々儲けている感じで、よい座り心地だと思った。ちょっと欲しいかも。くれ!


「本日は・・」今一度、本日に赴いた経緯の説明をした。それでも、お前脱税してるだろ!等とは言ってない。名目上見せるのは、領公館からの監査の書類云々だけになる。


相手も出された物に全く目を通さずな事は出来ない、不備が無い様に本人達が作って出した物だけど。


「今日は荷役場にも、結構な人が集まっていましたね」


「・・・」


そこを無言で返されてもねぇ、とは思っても期待は無かったけどな。だが状況判断は、ちゃんとして欲しい。こっちはそっちの手の内を把握していて、それでも単身で乗り込んで来たわけだ。解り易くメイサリスは外に待機させ、別任務だけど定時間隔の警邏隊が通りを巡廻している。


ここでひと悶着を起こせば、何も隠せなく成った状況しか想像出来ない。そんな中、何をどう隠すかをひたすら考えている様子は、いかにも切羽詰まった表情だと丸わかりだ。


ほんと、仕出かしてから慌てて最後に後悔する。ならば最初から遣らなければ、躓いたりしないのに。こんな時は、特に事の大きさが響くものだから、何を今更感が満載なんだよ。


まあなんにせよ3年分の脱税は大きい、それに金額だけでなく罪の大きさも関わって来る。隠した税金は納め直しとか出来なくて、それこそ相応の罪の賠償になるからだ。勿論どんな脱税の仕方なのだと問われ、それが巧妙で悪質なものであれば最悪は極刑に結びつく。


それに付随して身内に広がる波状攻撃だから、地獄の釜がお出でお出でと呼ぶのだよ。その蓋を開けたり締めたりするのは俺じゃないが、その場に道案内するのはこっちの仕事だ。派遣なのに凄い事に関わっている。


そんな俺の報酬は時価であり出来高次第だから、ここからは床の叩き方で決まるだろう。負けや引き分けも無いから、紙相撲よりお気楽さ。ひたすらトントントンと叩くだけ、そこでモグラが出てもピコピコハンマーは無いけどな。


俺のは自作なんだぜ?操り次第でどうとでも動く。俺の隠れた相棒は、好き勝手をしまくるけど。

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