第7話


※レマイア領 買い物中



冒険者ギルドから移動した俺達は、捥げない為への贖罪へと走った。まあ、(あるある)を感じつつの衣類の調達だ。


メイサリスの装備の軽装は、あまりにも露出が多く大胆過ぎなんだ。そんな彼女の側にいるだけで、俺の妄想ランクがウナギ登りなのだよ。それは他人でも同意を得られるんじゃないか?


女のフェロモンを巻き散らしていたら、誰彼構わず突貫してくるからな。発情期に関係なくムラムラさせるのは、何かの薬みたいな効果があるかもだし。俺の発情は永遠に続くが。


これから俺は保護者に成る!他人に見せたくないからだ。俺の言葉に彼女は納得した、物理的でない俺の束縛は好まれたらしい。


縛る事に全く興味が引かれない俺は、全ての物理的な開放を求めるからな。陳列しないけど。


購入したメイサリスの、下着一枚一枚の確認をしてから[アイテム②]に放り込んだ。誤解を招かない為に言い訳を許して貰おう。


確認しないで入れてしまうと、服としか認識されないのだ。メイサリス専用の衣装箱を用意しても、(木の箱)程度ではないだろうか。


樫木などの名称が表示されるのだから、被らない衣装の入れ物を今度探してみよう。

「下げ渡しの服を沢山もらえたけど」それはそれだから。


メイサリスに与えられた下げ渡しの服とは、俺の身内・・貴族が自分の為に誂えた物で、それが何度も着ないのも貴族所以なのさ。


それらは時によって色々な者達へと、手直しされて下げ渡される。只の端切れになっても平民へは届かないが。


ここで種類が少ない下着を、沢山買え揃えるのも不自然だと思われたりする。この世界で服の洗濯なとは、殆どなされない。


そこは最新に導入されるゲームのお決まりで、生活魔法が存在しているからだ。とても便利だ!なんでも使える。


用足しは・・{洗浄}で快適環境になるからな。{点火}{浄水}は必需品だと納得するけど、[浄風]これは誰得なんだ?すべてを試してみたが、{洗浄}は頗る感激ものだった。


メイサリスをガッツリ舐め回してから、ちょっとだけ堪能した。舐めて感激しただけだが後悔は無い。


でも直ぐに後悔する事に成った、メイサリスが俺の母親に相談したのだ。俺の行為を・・

生活魔法・・誰にでも等しく使える快適魔法だ。誤魔化せていないな。世の中を舐めてたわ。


若い息子夫婦の赤裸々を公開するなんて・・扱いがいつの間にか夫婦に成っていた件。俺は貴族の息子だが家は出ている形なので、嫁も貰いで婚姻するのは簡単なのさ。


この婚姻は肉体関係が結ばれてたり、同棲的なものでもそう扱われる。俺は宿か実家に寝泊まりしているけど、遣る気満々で勤しんでいるからそれに当たっているらしい。


いや下着、ドロワーズとズロースの違いが・・似ているから同じ名前でよくないか?


当のメイサリスの人柄が両親に認められている所が、一番の重要ポイントだと思うが。とにかく付いたり離れたりが自由な平民は、そこは厳密に扱われないのだと。


嘘です・・農耕者の領民は納税義務が生じるので、管理はかなりきっちりとされている。だから自領を離れるのは難しい、それを誤魔化せるが冒険者登録になる。


ただの日雇い人夫と思われがちだが、扱いはそれ以下に感じる。税も先取りが普通だし。


移住先で農耕者に戻ったら、そこで年払いの税が要求される。掛り過ぎじゃね?ぜえぜえだよ。芸人ならば・・取られ放題だったりして。






※レマイア領中央商業ギルド



翌日、俺は領公員の制服・・プラス家紋も配している制服を着て、メイサリスを伴ったまま商業ギルドへと訪れた。メイサリスの役割は、今日から数日は俺の護衛を依頼してある。


因みに俺のチームの残りの2人は、我が家の従卒を受け継いだ家系であり、従士兵として領の勤務についている。


突然で驚いただろうが賃金が出るので問題ない。無賃な俺がブラブラしてる訳でなく、筋はしっかり立たせている。だが頭が煮えそうだ。前の俺が特別な料理の特許登録をしていた。


その手の扱い場所が、商業ギルドの仕事の一端でもあるらしい。


だが、ほんと誰得としか思えない、食べる者を限定し過ぎる料理だった。もしかして年に2~3度、この領内かこの王国内で作られるかも知れないが、そんな商売が何の為になるのだ?


作りがゴネ過ぎだ、焼いて蒸してそこから燻製とか・・料理人が瞑想するかもな。


「・・これは又簡素な・・以下の穀物の米ですか」


天変地異で真逆を貫き、ここはやっぱり米で押すのだ。愛するお米!


「ええ。家畜の餌として使われている米ですね。この米の問題は、手間暇を掛けても然程美味しい料理には成らない、それに尽きますからね」


俺だって米の執着を問われれば、そこそこだけどそれ程ではない。まだまだこちらのパン食に飽きてはいないのだ。だが特別な料理を追い求めても意味がない事は理解出来た。


「そこに書き込んだ米粉パンのレシピで作った物は、銅貨1枚出せば10個は買えるのですよ。銅貨2枚で3個の小麦パン、お腹が膨れるのは検討するまでもありませんね」


それに飯屋の定食がおもにスープとパンなのだ。それで銅貨10枚が売り相場だが、銅貨7枚でも6枚にして出してもこの米パンなら利益率が向上する。


買い取ったパンが廃棄も出るけど、見合った数が作れる自家製の米粉パン、特殊な味は無いからスープに浸せば食べごろだろうよ。


「以前に届けたレシピは取り下げませんが、伯爵から美食に拘るなと棘ある雰囲気が時たま・・安くない食事で困窮する者を救う妙案になればと。月に一日でも二日でも、食事を絶やさないように」


「・・さ・さようでございますね」


ここは適当をこいとくよ!単価が高いレシピ程、毎年こちらが払う保護料が高い。このレシピの使用料は、使われてナンボだからな。


使われ無かったからこっちは持ち出しだし、ギルドは何の事務も発生しないので丸得じゃねえか。親の七光りでビビらせるしか出来ねぇし。


移動の道すがら過去の概ねを、メイサリスには語っておいてある。先程の商業ギルドの担当に上手く乗せられ、特別な食材をふんだんに用いてレシピを完成させた。


何乗せられてんだと思うが、数少ない趣味が大事な料理作りなのだ。育ちの問題もあるが、家ではそれなりの食材は集める自由は合ったからな。


しかも貴族の3男は、それ程の義務も生まれないので何となく放置状態だ。ぼっちの自炊も難しくない。


しかしここからだ、知識チートは無理でも価格破壊は出来そうだろ?手間暇が掛からない料理で、賄いチートを模索しよう。


だが中々難しいとも実感した。俺は思惑に駆られて買い物をし、その足で実家へ向かった。只真っ直ぐ台所へと。あれですよ、中身なしのただの米粉パンはちょっと・・色々あってもいいよね?



※レマイア領中央領公館



ここで米粉ナパンを利用した、餡入りパンの作成である。安価で出すには果実は無理そうだな・・個々が高すぎる。


その果肉たっぷりとかどうなの?パンが幾つ買えるよ。それを見ていたメイサリスは焼き果肉で黙らせる。ミックス焼き果肉、甜菜糖も炙ったので香ばさしが際立った。


「それ、食べ過ぎると試食できなくなるぞ」「自分でだしといて」当番の使用人がうんうんと肯ずきながらご相伴している。


結局、中身の餡に向いたのは価格を含めて2種の芋と、カボチャみたいな奴だった。どう見ても・・食べても菓子パンじゃねぇか。


銅貨1枚で5個はいけるか。銅貨の下に鉄貨というものが平民にはあるらしいので、問題に成らないだろう。後は人件費次第になるな。5個に4個に3個・・上げで止めたい。







今度は領公館の四囲にある飯屋にて、今回の米粉パンのデモを行った。やはり無難なのは塩で味を足すだけで焼きのみの奴だ。

 

菓子パンを定食に付けるのは流石にな・・スープに浸して食べるだけで十分な訳だ。安い価格帯の定食が広まれば、その飯屋は儲かり他の店は一時だが客が目減りする。

 

そうなる前に同じ定食も扱える様に準備をしざる負えない。だからギルドから扱いを乞う事に成る。この波紋は一気に広がるだろう。


これも一つの宿題と考えるか、この街に住む・・世界を覆っている文明の遅滞は、簡単には晴れたりしないからな。


そんな遅れた世界で人は簡単には富を得られないから、その者達の為に格差の是正はなかなか良い案件ではないか。


この領はそこを強く考えて民へと税金を還元しているのだから、これからも経済を沢山回して食い扶持を増やすつもりだ。


それが難しくない程に個々の人件費が安いから、少しでも多くの就労場所を開拓しなければ。


俺に一番大事なのは階段に激突しない道を作る事、何を遣るにしても大事にするのは自分さ。社会が安寧しても自分が揺らいでいたなら、最後は破綻に持って行かれてしまうだろう。


それにこの領の公共事業はそこそこ上手く進んでいて、最近はそのまま丸投げ出来る事が多く成った。


そこは聞こえが悪いが、手を放せそうな事業の推移が確認出来たら商会に売り渡す。その辺は商会もしっかり錬成されているから、今でも実利をさらに伸ばしている。


手が空いたこちらは新たな事業を開発して、新しい風通しを進める事に成る。


それでもこの経済産業が飛躍的に発展したりしないが、揺るがない土台がさらに強固になるのだから問題ない。その実例が農業改革であり、他領への輸出量も大きく成っている。


ありふれたその改革があり様に映っているのは、飢饉や飢餓で悲惨な所を直に見た者達が居るからだ。


この王国ではそれをしっかりと記述し、迷わない備えを各領に呼びかけた。定期時期に王都へ登城する勤めの中で、必要な情報を何度も確認させられる。


その文官達が農業者へと接触するのは難しいが、何もせずに怠れば大変な窮地に追い込まれるのだ。


不足な分は特定者を選出をして、費用を惜しまずに視察へと行かせている。その為にのちの成果を齎せないと大変に不味い事に成るから、視察に向かった者達はお気楽旅行には成らない。


それ以前に視察先の選定で、成果が確実に上がる領を必死に模索するのだが。


今回の目論見に成っている低価格帯への隙間商品は、この後の雇用促進への布石に成っている。


子供達や使用人・・その者達のオヤツ事情を改善させるのが目的ではない。イモ姉の増産もいらない・・。

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