第6話


※レマイア領 たまの仕事中


何だろう、念願の彼女が出来て毎日イチャこらしてるのに、自前で作った弁当を食べるのは侘しく感じる。彼女を実家に預けたのは俺だけど、稼がない旦那じゃ不味いもの。


何かアレだよね、目を離すと危ない事が起こりそうで、少しでもましな場所に置きたくなったりするじゃない?その本人は実家に成れないので、非常に切ない目をして俺を見ていたんだよね。


良い子だから我慢しなさい。保育所に子供を預けて仕事に行く、お父さんみたいな気持ちになったな。


メイサリスは大人だから、放置すると勝手な行動をするのは間違いない。危険の水準がかなり高い・・俺より強いCランクだから当然なんだが。


夜に戻ってその話をすると、俺が過保護過ぎると訴えていた。互いの我慢は乗り越えましょうね。

それも一応は今日までの約束なので、明日からは一緒に行動する。


俺のチームは人の補充等が全く進展してないから、暫くは求人募集活動って感じなんだよ。ずご腕だけどトラブル体質が無い人。多少の変顔も可です。俺の腹筋が鍛えられるなら。


それはそれであれだな、[アイテム②]の使い方もだいぶ解ってきからさ。この中を把握出来るのは、俺の知識に関連されるのか。


例えば・・かまきり=フォレストマンティス=フォレストマンティスの消化液袋と。知っていれば知っている表示になる訳だ。


つまり・・ギルドの資料室で調べなさいって事か。ならばそれらしい雑草を片っ端しから掘りこんで、それが何なのかを調べればいいと。石とかも行っとくか、木は・・凄いのは無さそうだからパスだな。


その換金先は・・昨日までは素材屋に降ろしたんだが、少しはギルドにも入れるか。物が物だから、気楽には持ち込めないよな。無難な奴を少し・・。


これも悩んだ末の処置なんだが、突然強い魔獣をバッタバッタと狩って来る様になるのは可笑しいよね?パーティが壊滅寸前の被害を受けているのに、その後にソロに成った俺がそんな成果を出すとか。


でもね、お金稼ぎは必要じゃない?もう一人のままじゃいられない。それこそ男の責任は取らなきゃいかん、誰かが疑問に思っても・・ちょっと―どこ見てんのよ!オカマもおネエも居ません。





※レマイア領中央冒険者ギルド


「・・こちらは、ソロで討伐をしたのですか?」


「いいや、たまたまソルジャーアントが、数匹でフォレストマンティスを襲っていたんだ。運よくこいつが残ってたから、折角なので失敬して来たって訳さ。他にも少し素材に成りそうな残骸もあったけど、売れそうなのはこれ位かな?大きな群れとかじゃ無かったけど、報告は大事だと思ってね」


「討伐としての報告で無くて宜しいのですね。それならば脅威の報告として報酬をお出します。素材の換金と合わせてお持ち帰り下さい。不利な報告ですので虚偽な報告かの詮索も・・」


「・・えっ?」


「・・素材の解体にしては鋭利な切断ですので、ヘタでは固唾けが難しい・・それもそれで結構です。それよりも、こちらで断ってもいるのですが、どうしてもと2件の勧誘がありました。お気持ちは変わっていませんよね?」


いつもご迷惑お掛けしてます。あはは・・そんな気持ちでしっかりと肯いておいた。このギルドの受付嬢であるラーレルさんは、そこそこの年上らしく俺が新米の頃からもとても優秀だった。


俺の弱点のお姉さん体質もバッチリだから、メイサリスとのお付き会いがバレてる今はちょっと直視が厳しい。


そんな彼女の魔の手が俺を・・無理くりな妄想でむむを膨らませると、痛い姿勢で引かれる事になるからお暇しよう。中々の収入が続いた成果で、預金が金貨30枚を突破した。


俺、大金を手にしたら豪遊・・なんて細やかな夢を抱いていた奴だったのか。メイサリスに土産を買おう、俺もセットです。


ラーレルさんの勧誘の件を断ってるのは俺が他へと誘われと、こっちのパーティは完全な解体となる訳さ。


ナウな俺はちょっと人気が出ているらしいが、領主の子息を違った思惑で狙っているのだろう。他にも直接誘惑に来る色っぽい冒険者もいるのだ。


そいつは今回の事が起きる前からだから、そんな彼女は結婚退職をしたいらしい。男の俺にはそんな退職は無いから、多様な旦那の役目を果たすとしよう。今日も結構稼いだから男らしい所を・・も、出す?気満々だぜ。




※翌日もレマイア領中央冒険者ギルド




今日は朝からメイサリスと二人で、冒険者ギルドへと顔を出した。冒険者の朝は早くノリも違うが、予定通り事が進むのはそう多くは無い。


前日に打ち合わせをしておいてはいたが、つらい立場に成ってるメイサリスを誠意をもって労った。それが昨晩なので今日の朝は又別だったらしいが良い仕事をしてる筈。


それはそれこれはこれ。よく解らない頑張りは俺のモットー・・友か相棒?アレに任せたのでやはり問題ないと元気に答えていた。


ここで一応は冒険者らしく、ボードで依頼状況の確認をするアルアル魔物の暴走とか?こちらは起きないと聞かされてるし緊急なのも無いけどな。


あった。昨日の俺の報告から、身辺の調査に数チームを使ってやるみたいだ。


「・・ソルジャーアントがフォレストマンティスを襲うなんて、森の奥の食べ物が減ったのかしら」


「・・そんな感じには見えなかったけどな」


「・・あなた・・見ていたなんて話、全く聞いてないんだけど!」


おふぅ、墓穴じゃんか。俺はメイサリスの肩ら辺を片腕で抱えこんで、引き攣った笑顔で愛想を振り撒いた。


メイサリスが俺の腹にショートブローをその同時に叩き込んで来たので、女を無理強いする嫌な男の絵面が完璧に決まったな。


彼女が直ぐに俺に抱き付いて、優しくしたわよ!のアピールは微妙だったが。報告しなくてすみません。秘密塗れです。


ここは事無きを得るために、ギルドの外へと出て行く。差しあたっての予定は、いつも泊まっている宿の確保だ。


メイサリスは言わないが、実家に泊まり続けるのは中々のストレスだろう。知り合いの目というものは、曖昧に無視するのも其れなりに疲れるからだ。


宿の予約はお約束もなしに取れた、そのまま部屋でニャンニャンとかな。盛りが過ぎたらサルまっしぐらだ、先祖は猿かもだけど。


それでも俺はご奉仕の予定を組んで行く、これから溜まりに溜まる秘密を誤魔化すために。だって・・今は序盤とは呼べない当初なんだよ。波乱万丈じゃね?何もしないと直ぐに死にそうだから。



※レマイア領中央領公館



俺たちは次に領公館に向かった、そこで領主のロブント・レマイア伯爵に面会を求める。理由をメイサリスには話たが、冒険者ギルドとは連携しないが騎士達の足並みは揃えつもりだ。


大森林の中の探索で多くの冒険者が入るなら、縄張りを荒らされる魔物も気分が悪くなるだろう。そこから漏れ出て来ても、慌てずの備えが欲しい所だ。そこで何をどう説明するかだが。


「この所、慌ただしいな」


「はい。俺たちが狩出された依頼が、始まりとは思えません。その前からの目撃情報では、低位の魔物しか確認されておらず、ソルジャーアントやフォレストマンティスなどが近場にくるとは」


「間違いないのだな?」


「はい。王都へと素材を運んでいる業者が、数十の素材を搬出いたしました。その業者は正規な手続きを踏んでいますので、そちらの問題は無いのですが、街の中が手薄には成ります。ここは騎士団および従士兵を、臨時で駐在させたほうが宜しいかと」


「お前も出張れるのか?」


「俺は予備の予備とお考え下さい。3年越しの事案も、この期に潰して置きたいと思いまして」


「・・解った。徴集の伝令は直ぐに出そう。そちらに手は貸せんぞ」「無き様に動きますゆえ」


そんな感じだが俺は悪くない、魔獣達との遭遇もそんなに近い場所では無かったが、死にそうになったオーク探索の時には結構な浅場で接触したからな。


俺はそれらも含めて冒険者としての探索を狙っていて、これが森林が荒らされると勘違いする魔物や魔獣もいそうだろ?そんな副産物の突然の奇行に対処は難しいから、先に警備を厚くして貰う事にした。


普段はサボってるとは言わないが、自分達なりの鍛錬ではまあまあな頑張りしか成らないでしょ?そこに緊張感をぶっ込んだ訳さ。魔獣など相手にした事がない者達が、そんな敵襲に何を考えて応戦するのか?脳ミソを活動させて下さい。


糠味噌と同じで放置して置くとカビが生えるから、毎日しっかりと使って欲しい。まあ、お金が貰える仕事の役にも立ちそうだからな。


あまり放置をすると、収集の付かない悪事に変わるからここらで止めるのさ。小物が大物に成る時は、大きな被害を呼ぶからねえ。




※レマイア領中央冒険者ギルド



領公館を後にした俺たちは、もう一度ギルドへと向かう。その途中も忘れないように飯屋で昼食を取った、緩慢な腹と共にギルドに戻り特別な事が起こってないかの確認をする。


「おまえ、メイサリスさんに何しやがった?」「この卑怯者が!絶対に汚い手を使ったに違いない」


さらに過激な暴言わ聞きつつ・・そいつは巡廻中の冒険者の警邏組に取り押さえられた。その後は色々の今までのメイサリスへの、忠義的な行動云々を訴えていたがどこか別のとこで頭を冷やして欲しい。


何者かを少し知っているメイサリスに聞けた話では、何回かは彼女を口説いて来た事が合ったのだと。違う特別を受けてしまった。


ぶっちゃければそんな奴等は結構居るので、彼もそんなモブ扱いに成ったらしい。それは仕方ないよね?ちょっとした所でナンパして来る奴等を、全て覚えて居たら大変だからな。


森の中の蜘蛛の巣よりも困るのは、見えない場所から突然現れるからだ。ストカーもスキルに属するのでは?バットステイタスしか成らないけど。


索敵が厳しいこっちの世界じゃ、そんなストーカーは良く目立つ。ここに居ますアピールかも?変質者として断たれたくないから。


この中央主街にある冒険者ギルドは、暴力の放置はされないので、巡廻する担当者も雇われている。これもこの領での政策の一部である。この時、メイサリスの事で俺が絡まれた形なのだが、彼女は俺の前で身を体し庇ってくれていた。


その時両手を後ろ手にして、ゴソゴソしていたのは秘密だ。そんな状況下で俺の心を抉った言葉は、警邏達がこちらにボソッと[捥げろ]である。


こっちに合っていい言葉じゃないよね?捥げねえよ・・押さえている人がいるもの。色々と良く解らない行動が多くないか、世間の時間は俺の知っている速さじゃないのかも。


当の加害者は今日はギルドでお泊りになり、延々と嫌な説教が聞かされるらしい。そんな諸事情を知っているメイサリスは、過去にも加害者を作った事があるのかも知れないな。


ふと思ってしまったよ、あっちこっちをフラフラしてたら犯罪者を誘導してしまった・・新しい商売には無理だよね?お金が全く動いてないもの。


建物の扉が開いていたら泥棒に入る感じ?やっぱりダメな奴はダメなんだわ。俺の下半身が得して無いか?濡れ衣でございます。むぎゅっと圧迫されてたし。皮パンツに負担が大きいからやめれ。

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