宿泊 ー⑤

-宿泊

- [x] 400文字コピペ移動15こ。(12行

- [x] 1080(2枚)=3000

- [x] 2000文字分夢をかく 武者で夢のお告げ

- [x] 布石をいれる、ピンク怪異

- [x] 1000文字


夢。それを認識した。


それを認識した。

まずは、抜き身で、(刀を抜いた状態という意味。白い空間で)赤拵えの武者が立っている。私を見ているのだろうか。カーン、カーンと鉄を金槌で叩いているような甲高い音が規則的に、間延びしたように鳴る。どこでだ?自分の体の存在がわからず、耳を傾けているのか、目を開けているのかもわからない。ゲームの一人称視点というやつだったか。動かせないからVRの体験みたいだと思った。


そんな視界しか動かない私の意識は、前の甲冑を注視するしかない。その手に持たれた刀が気になる。太刀ではないなとそれが収まっていた甲冑の持つ鞘を思い出した。私の趣味ではないが、刀が出てくるゲームに詳しい友人が、見分け方まで教えてくれた。この刀に、銘はないだろう。なんとなく格好良いから言ってみた。


微動だにしない目の前の相手を私が、恐れていないのは不思議だった。美術品のようにそこにある。存在する人ではないもの。だけど、その手は刀を握り込みこちらが「少しでも動けば斬ってしまうぞ?」と言いたげにこちらを見ているようではないか。相変わらず貌はない。


「何故、私を?」そう問いかけたくても相手に合わせる目がなく、目玉もない。私という人の形があっても引き摺り出された罪人のように、首を斬られるのを待つのだろうか?相対しているが、私は罪人ではない。座して死を待つ立場ではない。「カーン」と鳴っていた音が止まっている。武者が下段に構える。私には白い死装束もゴザも敷かれず、顔を隠すものもない!真っ直ぐ見る。首部もたれず、武者に立ちはだかる私。無手、何も武器がないな。これは夢。ここまでの夢を夢とわかる。明晰夢。


半分覚醒しているんだったか?それならさっさと起きたいなと暢気な感想が出た。武者に顔はなく、身もない甲冑の中身がなければ斬られないか?いいや、人形なら操られて動くではないか!目の前の標的は私。殺意もなく動くかもわからない武者。その前に試されるように前に置かれる私は、「何故?」という問いさえ口にできない。


武者の口を覆う黒い覆いがよく見えるようになった。そう、ズバッと感触とともに無音で斬られ、「逆袈裟斬りは片方だけ?」と考えた頭。目に眩しさを感じれば、部屋に朝日が入り込んでいるの見た。


なんでそんなこと思ったんだという答えは、「両袈裟斬りだわ、バッテンに斬られるのって」という確認事項だった。夢がはちゃめちゃなのはいつものことだ。内容は、昨日の時代劇を見た影響なのか。武者が出たのは。喧嘩を売ったしっぺ返しなのだろうか?今日は、入り口近くで宿を護る武者に、謝ろうと思った。悪戯がすぎたらしい。斬られるほど怒らせていたとは気づかなかった。


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