第15話倉持は約束した

なんやかんやありながらも、倉持は高校生活を楽しんでいた。

霞を始めとした理解者たちのおかげである。


始めは唯一の男子生徒にして主席合格ということで、浮いていた。

しかし、霞たちが声をかけてくれるおかげで、倉持の周囲には適度に人が集まっていた。

霞たちとはまるで友人のように楽しい時を過ごせていた。


校内でのラッキースケベはパンモロやパイもにゅぐらいで済んでいた。

毎日10回程度の遭遇でおさまっていた。


寮でのお風呂ブッキングも3カ月で6回程度で済んでいた。

共同トイレブッキングも12回ほどであった。


そのため、倉持は内心喜んでいた。

そもそも倉持はノーマルであり、女の子が好きである。

ワザとお風呂を覗いたり、トイレに侵入したりすることは決してないし、ラッキースケベが極力おこらないように配慮はしているが、それでも、ラッキースケベを素直にラッキーと受け止めていた。

このほどほどのラッキースケベ状態は、嬉しいものであったのだ。



夏真っ盛りのある日、事件が起きる。

霞の部屋のエアコンが壊れた。

心配する倉持に対し、霞は心頭滅却などと言うが、無理な話である。


となる真夏の夜の日深夜0時

霞はネグリジェのみの状態で廊下に倒れていた。


霞「死ぬううううう」

霞「エアコンんんん」


霞は倉持の部屋を開けて侵入した。

というのも、倉持の部屋は急ごしらえであり、鍵がついていないのだ。


倉持「うわおう」


いきなり扉があいたものだから、倉持は驚いた。

倉持は薄手の毛布で体を包んだ状態で、霞の方を向く。


倉持「か…霞さん。 大丈夫ですか? どうしたんですか?」

霞「はぁー… 涼しいぃぃ」

倉持「やっぱり、心頭滅却できなかったんですね」

霞「やっぱムリ―… ああん… 生き返るー」

倉持「えーっと…」

霞「ZZZZZ」

倉持「ちょ… ここで寝ないでくださいよ」

霞「ベッドで寝る」


霞は床をコロコロと転がり、倉持のベッドの真下に到達した。


霞「…ん?」

倉持「…な…なにか?」

霞「…んーーー。 まあ、仕方ないか… 男子だし」


倉持は赤面した。


倉持「な…何を言い出すんですか」

霞「でも、ベッドの下にエッチな本はないわねー」

倉持「ありませんよ」

霞「じゃあー… 何を使ってるの?」

倉持「いや…なんでそんなこと…というか、霞さん…こっちといる時のキャラ砕けすぎてませんか」

霞「いいじゃない… こんな姿見せられるのは倉持だけなんだから」


倉持は内心喜んだ。


倉持「…じゃあ、こっちが霞さんの部屋に行くので、ここで寝てください… あと…すみませんがちょっと、向こう向いててもらえますか」

霞「ヤダー… この部屋一人コワい―… この部屋いわくつきなんだもん」

倉持「初耳だぁ… もう3カ月過ごしちゃったよ」

霞「大丈夫だとは思うけど… 一人じゃ怖いもん」

倉持「…もん じゃなくて…」

霞「…ねぇ…倉持…」


霞の口調が急にしおらしくなる。

倉持もその変化に気が付き、色香を感じた。


霞「倉持は… 私の事どう思ってる?」

倉持「どうって…そりゃあ、魅力的だし…頭いいし…綺麗だし…面白いって思ってるよ」

霞「最後が面白いなのー」

倉持「え…あ…いや…うーん… いや…あー」


倉持は空気をかえようとごまかすが、失敗に終わった。

霞がすくっと立ち上がる。

窓から差し込む月明かりが、霞を透かす。

白いネグリジェ姿の霞。

胸の部分は突起があり、薄暗くてもその色がなんとなくわかる。

ネグリジェの下の部分にはボヤっと黒い影が映る。


霞「ねぇ…」吐息交じりに霞が囁く

霞「どう…思う?」


倉持は毛布にくるまったまま、しっかり霞を見据えた。

胸の突起ははっきりとその場所を示している。

黒い影はより濃ゆく。


倉持「…綺麗…かな」


霞は倉持を包む毛布にそっと手をかける。

焦らすようにめくっていく、倉持のムスコはむき出しになっており、その先端は泣きはらした瞼のようである。

霞は右足をそっと、毛布に入れる。

徐々にベッドに侵入していく。

倉持は壁の方に身体を移していく。

やがて、霞は全身をベッドに入れて、毛布を自分自身にかけた。

倉持の方を向いて、悪戯でもするかのように、眼を細め、口角の両端を上げた表情を作る。


霞「ビビってる?」

倉持「そりゃあ…ね」

霞「…」

倉持「…」


コオオオオオオとエアコンがうなり声を上げる。


霞「…」

倉持「…」


霞「…しないの?」

倉持「…したいよ」

霞「でも…手は出さないんだ…」

倉持「…うん」

霞「どうしても?」

倉持「どうしても」

霞「どうして?」

倉持「…理由は言えない…けど…言われてるから…」

霞「なんて?」

倉持「ヤルなって…」

霞「…なんで?」

倉持「…」

霞「…まだ、そんなに日は経っていないけど… 私…ちゃんと倉持のこと…好きだよ」

倉持「こっちも…す…すき…だ…と思う… だから…だからこそ…できないんだ… しちゃダメなんだ」


霞「…」

倉持「ごめん…」


霞は上体を起こし、ベッドに腰掛けた。


霞「ごめん… 知ってて、やった… 千秋さんから…それとなく聞いてた」

倉持「…」

霞「でも…だけどさぁ… それでも… ワンチャンあるかもって… 思うじゃん」

倉持「…ごめん」

霞「…いい… こっちこそ…ゴメン」


霞はベッドから立ち上がる。

その瞬間、足を滑らせて前に倒れる。

倉持はとっさに抱き起そうと、手を伸ばすが、間に合わない。

だが、捨て身の覚悟で、勢いをつけて、霞よりも先に地面に滑り込むことに成功した。


倉持は仰向けの状態で倒れている。

その上にぺたんと霞が乗っかっている。

倉持の視点からだと、倉持の局部のすぐ向こうにめくれた霞の局部がある。

霞はとっさに両足を閉じた。

すると、そのすべすべの太ももは、倉持の限界寸前の局部を挟み込んでしまった。


倉持「あ…」


と、その時、この部屋全体が上下にゴウンゴウンと揺れる。

まるでこの部屋自体が生き物であるかのように。

それにより、倉持の局部はこすりこすり上げられまくり、とうとう限界を突破してしまい。

ネグリジェよりも少し濃ゆい白、空に曲線を描く。

弧は霞の顔へ続く。


倉持は顔を覆う。


霞「…」

倉持「…」


霞は顔についた白いものを、ベッドの上にあるティッシュで拭き取る。


霞「ふふ…ふふふふ… はーはっはっはっ… ひーっ ふふふ」

霞「はは… ふ… Hはキリっと断っといて… その直後にスマタからの…ふふ… ははは…が…がん…ふふ…射精とか… おも…面白過ぎぃ… はは… は…はぁ…あー… あー」

倉持「ほんと… なにもかも… ごめん」

霞「いいよ。 私こそ… ごめん… けど、責任はとってほしいかなぁ」

倉持「え…いや…それは…」

霞「Hじゃないよー 添い寝… 添い寝だけしてくれないかな」

倉持「…」

霞「そうじゃないと… 私… きっと… 泣いちゃう…から」

倉持「…分かった」


倉持はベッドを整えると、限界まで端により、毛布をまくり上げて霞を迎えた。


霞「ふふふ」

倉持「変なことはしないでよ」

霞「それ、こっちのセリフ」

倉持「…だな」

霞「ふふふ」

倉持「はは」

霞「…」

倉持「…」


霞「…ねぇ… もしもさ…」

倉持「ん?」

霞「29才の最後の日に、さ…」

倉持「…」

霞「二人とも…まだ、気持ちがあったら…さ」

倉持「…」

霞「その時は…今日の続き… しよ?」

倉持「…後悔すると思うよ…」

霞「するわけないじゃん… というかできないでしょ?」

倉持「…そうか…そうだよね」



この日、倉持は霞が寝付くまで、ずっとたわいのない話を続けた。

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倉持氏はラッキースケベでいつも金欠 @konnto

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