第14話倉持は恋をした

小学校、中学校時代にもラッキースケベは起きていた。


しかし、程度は知れていた。


せいぜい着替えやトイレに遭遇する程度であった。


小学校時代の修学旅行で、事情によって遅れて一人でお風呂に入っているうちに、男女の入浴場所が入れ替わり、女子達と遭遇してしまったこと以上の出来事は起こっていない。




もちろん当時から家庭ではラッキースケベの対価は払っていたし、倉持にもラッキースケベに遭遇しやすいという認識もあった。


ただ、その効力は少しだけ…ラッキースケベに遭遇しやすい ぐらいの認識にとどまっていた。






だが、高校進学とともに、倉持の性質は一気に覚醒した。


倉持は中学3年生の時、進路に迷っていた。


県内一番の進学校に通うか、次年度から共学になる私立高校に通うか…について。


倉持は自分を迎えてくれた家族に恩義を感じるとともに、引け目も感じていた。


最初は中学校卒業後に働くことも考えていた。


しかし、当時倉持は学年10位以内に入る程度の学力は有しており、周囲はそんな倉持に期待もしていた。


母親を始め、家族、親族、皆、倉持に進学をすすめた。




それでようやく倉持は進学を決意した。


倉持は高校に行くならば、大学にも進学し、収入をしっかり得られるようになろうと考えた。


また、高校の学費も極力抑えたかった。




倉持が高校を探していると、男子生徒かつ成績優秀者は返還義務なしの奨学金を得られる高校を見つけた。


しかも、進学する大学によっては、その後の学費も保証してくれるという特典もあった。


悩んだ末に、倉持はその私立高校に進学を決めた。




だが、そこで倉持を待ち受けていたのは、男子生徒1名という事実であった。


というのも、その私立高校は非常に偏差値が高く、学費も高い。


いわゆるお嬢様学校であった。


故に、多くの男子生徒は尻込みし、またあるいは受験をするものの、合格ラインを超えることができなかった。




また、先ほどの奨学金についても、入試の成績が上位10位以内でなければいけないという非常に厳しいものであった。


それにもれれば多額の学費が必要であったのだ。


よって、辛うじて合格したものも10位以内には入ることができず、他の高校に行くことになってしまったのだ。




この狭き門を突破できた男子は倉持だけであった。


30名程度の男子生徒の入学が予定されており、そのための寮も作られていた。


当然のことながら、一人のために寮を運営するわけがない。


29名の女性徒がそこに入ることになった。


学校側としても苦肉の策であった。




この事実に倉持が気付いたのは、3月31日、寮に荷物を置くために訪れた時であった。


倉持の実家と同じ市内であるが、この学校は山奥にあり、交通の便も悪いことから、倉持は寮生活を


選択していた。


寮費も無料であった。






倉持は案内図を見ながら、寮につくと、鍵をガチャリと回し、自分の部屋に入った。


そこには一人の少女が何も身につけないまま、部屋の中央に立っていた。


肩まで届くストレートな髪、胸はツンと上向きで、その先端は綺麗なピンク色をしていた。


臀部はぷくりと膨らんでおり、ハリがある。


臍の下には、まだ無造作に伸びた薄い毛があちこちに向かって生えていた。


さらに下には、きれいに閉じた一筋の線がスッと伸びていた。




髪にバスタオルをあてている。


体中から湯気が立ち昇っていることから、シャワーを浴びたばかりであろう。




倉持「え… と… 失礼します」


少女は声も上げず、その場で赤面した。


倉持はドアを閉め、何度も何度も案内図を見返すが、それが示す場所は今しがた可憐な少女がいた場所と同じであった。


倉持がドアの前でうろうろしていると、やがてドアが開く。




少女「…」


倉持「…ごめんなさい… 人がいると思わなくて…」




少女はじろっと倉持を睨み付ける。




少女「倉持さんね。 悪いけど、あなたの部屋はあそこよ」




少女は廊下の奥にある部屋を指さす。




少女「私、二人部屋は嫌なの。 だから、ここを使わせてもらうわ」




裸を見てしまったことに負い目があった倉持は、文句も言わず、前かがみのまま奥の部屋に進んだ。


その途中、倉持はハッと気づいて足を止めた。




倉持「どうして、こっちの名前を?」


少女「そりゃあ、たった一人の男子生徒だもの、一応確認はしているわ」


倉持「え? 一人? うそ」


少女「ホントよ。 …荷物置いたら、学校案内ぐらいはしてあげるから、早くしなさい」


倉持「あ… はい… えーっと…」


少女「…ああ、名乗ってなかったっけ、私は春日霞。 本当は隣の部屋だけど、さっきも言った通り、一人部屋がいいから、あなたの部屋使わせてもらうわ」


倉持「…そうですか…」




倉持は釈然としないものの、反論が無意味そうだと本能的に悟り、ひょこひょこと廊下の奥へ向かった。


荷物を置いた倉持は、霞の部屋をノックし改めて挨拶をした。


その際に500円玉を渡し、事情を説明した。




霞はすんなり受け入れた。




霞「じゃあ、行きましょう」


倉持「お願いします」




少女「よお、霞」


霞「あら、どうも」


倉持「こんにちは」




倉持は顔を窓の方に向けながら、挨拶をする。


気さくに挨拶をしてきた少女はスポーツブラと下着しか身に着けていなかった。




少女「ははは、あんたがたった一人の男子か、なかなかイケてるじゃん」


倉持「はは、どうも」




倉持は少女に100円を渡して、その場を後にした。


少女はぽかんとしている。




霞「あとで全体に説明するわ。とりあえず貰っときなさい」


少女「あーうん…分かった」


そう言うと少女はスポブラの中に100円玉をひょいと入れた。




霞はまず、倉持を校舎に案内する。


校舎はガラス張りの箇所が多く、開放感のある作りになっている。


玄関から入ると、広い吹き抜けの空間がある。


職員室へ向かう。


すれ違う人と会釈を交わす。


霞はツカツカと廊下を進んでいくと、理事長室の前で立ち止まる。




霞「どうぞ」


倉持「どうぞって…」


霞「理事長先生が待っているわ。 私は待っているから、行きなさい」




促されるままに、倉持はノックをして、合図を待ってから部屋に入る。




倉持「失礼します。 倉持徹です」


理事長「こんにちは、理事長の春日つぼねです。 ようこそ、我が校へ… どうぞ、座ってください」


倉持「春日… ひょっとして、霞さんの親族の方ですか?」


理事長「母です」


倉持「そうなんですね」




男子が一人である旨の説明を受ける。


その後、倉持は理事長にいくつか質問された。


倉持の性質について、どのようなことが起こりうるか、対処方法はあるか、等々。


倉持は正直に自分の認識する範囲で答えた。




理事長「じゃあ、部屋を奥にしたのは正解だったわね。 急遽で申し訳なかったけど、部屋を追加で改装したの。 本当は物置部屋のつもりだったから、日当たり悪いけど、勘弁してもらえるかしら」


倉持「いえ、何も問題はないですよ」


理事長「少し距離のある方が、安心だと思って」


倉持「ええ、こっちもその方が助かります。 迷惑をかけるのは忍びないので」


理事長「困ったことがあれば、何でも言ってちょうだい。 できることなら、力になるから」


倉持「ありがとうございます」






倉持は丁寧にお辞儀をして部屋を出た。




霞「いいかしら。 次に行くわよ」


倉持「はい」




職員室にいる先生一人一人に挨拶する。


教室、保健室、体育館、部活棟、校舎の隅々を回る。


霞「まあ、こんなところかしら… あとは…あと… そうね…せっかくだし行ってみましょう」


倉持「?」




屋上の扉を開ける。


空は晴れている。


雲はゆらりゆらりと移動する。


山の上の校舎と合って、たくさんの木々が見える。


その木々の先に、住み慣れた街がある。




霞「たぁ――――」




霞はおもむろに、寝転ぶ。




霞「疲れた~」




倉持は戸惑う。




倉持「どうしたんですか? いきなり」


霞「ん」




霞が自分の隣の空間をたたく。


倉持はそこに寝転ぶ。




霞「理事長の娘って疲れるのよ」


倉持「ああー」


霞「寮でもまじめにしなきゃいけないし…校舎内でも優等生じゃないといけない…」


倉持「プレッシャー…ですか…」


霞「まだ、敬語使われるし…」


倉持「…ああ、まあ、誰にでもこうですよ」


霞「なんか、堅苦しいな… あーあ、せっかく男子とお近づきになれると思ってたのに…」


倉持「ごめんよ。 こんなので」


霞「いいのよ… ファーストコンタクトで裸を見られたこと以外は…」


倉持「ごめん」


霞「まあ、話は聞いていたから… 私もうかつだったわ… けどもうしないでよね」


倉持「善処するよ」


霞「どうだか…… ちょっと、お昼寝しよっか」




そういうと、霞は目を閉じる。


よほど普段からストレスがあるのか、すぐにスース―と寝息をたてた。




倉持(本当に寝ちゃったよ。 よくわからないけど…大変なんだろうな)




倉持は上半身を起こした状態で空を見上げる。




倉持(でも、本当にいい天気だな…こっちも眠くなってきた…)




ぐいっと倉持の身体が引っ張られる。




倉持「うわっ」




倉持はバランスを崩して倒れる。


目の前で霞はすやすやと寝息をたてている。




倉持(…改めて、美人だなぁ… 綺麗な肌だし、髪もふわってしている)




霞「ん…んん」




霞はさらにグイっと倉持を引っ張ると、両腕で倉持の身体をとらえ、片足を倉持に引っかけて捕まえる。


倉持は抱き枕のように捕まってしまった。


スカートの裾から除くすらっとした足が艶めかしい。


肩に係る腕の重みに不思議と安堵した。


霞の熱が倉持に届く…


制服の隙間から漂う霞の熱が徐々に倉持に移っていく。




倉持は先ほどの霞の肢体を思い出していた。


このシャツの隙間の奥には、あの綺麗なピンク色の…


スカートの中の下着の奥には、あの清楚な一筋が…


倉持の股間は大変なことになっていた。




霞の吐息は、まるで媚薬のように倉持の理性を支配していった。


鼓動が聞こえる。


倉持は自分の胸が高まっていることに気が付いた。




霞の顔がさらに近づく。


倉持が少し顔をずらして、突き出せば唇と唇が接する距離である。


だが、霞の顔は持ち上がり、倉持の耳の付近に停滞する。


かと思えば、霞の唇より、赤い舌が伸び、その舌は倉持の穴近く到達した。


倉持は叫び出したい衝動にかられた。


しかし、起こすのは悪いと、必死に耐えた。


舌は、倉持の穴の周辺をほぐすようにはい回ると、徐々に穴に侵食していく。


それだけではない、柔らかな唇が穴の周りを挟んでいく。


倉持の意識は完全に持っていかれていた。


やがて、とうとう、倉持の穴は完全に犯されてしまう。


霞は倉持の耳をしゃぶりつくすと、再び眠りについた。




起きたのは太陽が頂点より、やや西に傾いた頃であった。


倉持は霞に1,000円渡した。






その夜、倉持は他の女子から抱き着かれたり、女風呂に落ちたりもしたのだが、それ以上に霞に犯されたことが強く印象に残っていた。




寝る直前、倉持は収まらぬ相棒にそっと手を添える。


もう片方の手で、耳を撫でる。




約30分後、やっと倉持は満足し、眠りにつくことができた。


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