新九郎 今の日本に必要な男! 〈独断と偏見〉
ハナス……今日は新九郎様をお招きして、色々とお話を伺いたいと思います。新九郎さま、お会い出来て嬉しいです。お忙しい中、インタビューに応じて下さりありがとうございます。
ジジイ、もとい、お年を召されてもめちゃくちゃカッコいいですね。本当は
新九郎……こんにちは、ハナスどの。タイトル? 何じゃ?───聞きたい事があれば何でも聞いてくだされ。
ハナス……ではさっそくですが、新九郎さまは伊豆国と相模国を平定されましたね。天晴れです。それが出来たのは、新九郎さまが幕臣であったのも大きいと思いますが、政治的駆け引きの手腕の良さ、善政も大きいと聞きました。ぜひその点を自慢しちゃって下さい。
新九郎……うっ、コホコホッ。ハナスどの、それは
ハナス……慎みですか。あっ、自慢しない事って北条家家訓でしたね。失礼致しました。では次の質問に移ります。えーと、じゃ、好きな食べ物は?
新九郎……ハナスどの、食べ物聞いてどうする! ちょっと、言ってみただけじゃ。……実は戦国大名として、初めて検地を実施し、農民が保有している農地の量を正確に把握したのはワシじゃ。ハハハ。
ハナス……わぉ! 新九郎さまが初めてだったんですね。太閤検地って偉そう言ってた秀吉のオッサンだと思ってました。新九郎さまは、そこを把握していたから、それまでは五公五民の税率だったのを四公六民による減税に出来たんですね。さすが新九郎さま。出来る男です!
新九郎……(//∇//) 武士の農作物の取り分を減らせば、農民の生活が楽になる。農民は疲弊せず気丈に働く。さすれば国は豊かになるんじゃ。守護大名の中には七公三民、八公二民で取り立てる者もいて、まことに可哀想じゃった。
ハナス……そんな事したら一揆が起きますよね。馬鹿なのかな。新九郎さま、飢饉の時は一時的に納税を免除したって聞きました。まじ神です。今ですね、日本も大変なんです。収入は増えないのに、納税は変わらないの。一時的に免除して欲しいんですけどね、手続きが面倒なんですよ。さらに年金たくさん払ってきたのに、貰える額が引き下げられるんですよ。まったく、もう。
新九郎……年金とは何じゃ? 新種の米か? まあ、ワシは幕府の財政を知っていたし。ハナスどのは金閣寺や銀閣寺を知っておるか? あっ、あんまり言うと悪口になるかの。ハハハ。
ハナス…… ハハハって新九郎さまってユーモアありますね。いつの世も贅沢出来る人間と出来ない人間っているんですよね。うちは毎日納豆ともやしです。ハハ。
新九郎……ハハってハナスどのも笑えるではないか。見事な前歯じゃ。いずれにしろ、領主も領民も心が豊かでなくては国が滅びる。笑いは大事じゃ。
ハナス……あっ思い出しました。新九郎さまは領主として器が大きくてユーモアがあるって聞いていますよ。そのエピソードについて聞いていいですか?
馬泥棒の裁判の時、領主の新九郎さまがその馬泥棒に指さされて「向かいの席に座られているお方は国を盗んだじゃないか!」って言われたんですってね。新九郎さまはそれを聞いて怒りもせず、その通りだって大笑いして、馬泥棒の罪を許したとか。本当ですか?
新九郎……そんな事もあったような。なんせ今年六十四才だから物忘れがひどくてな。ハッハッハッ。
ハナス……新九郎さまって寛大ですね。病の人がいれば医者を遣わし、自分の部下に世話させたとか。圧政で逃げていた領民が「今度の領主様は情け深いお方だ」という噂を聞きつけて帰ってきたらしいですね。領民を愛し、愛された男です。小田原城奪取の時は農民が主力だったのも頷けます。みんな新九郎さまに感謝していたんですね。
新九郎……ワシは私利私欲の為に戦を仕掛けたことなどないからの。欲のためではなく、義の為の戦いじゃ。全ては領民を圧政から守るためじゃ。
ハナス……そうでしたね。ヤンチャ小僧茶々丸の圧政は酷かったですね。弱きを助け強きをくじく。新九郎様みたいな人が今の日本にいたら、どんなにいいかなって思います。トップに立つ人が私利私欲ではなく義の為に働いてくれたらいいなって……あっ、私もあんまり言うと陰口になるので慎みます。
新九郎……よいよい。不平不満をためるのは身体に毒じゃ。ハナスどの、それでこの新九郎を今の日本に必要な男だと言うてくれておろう。タイトルにして貰いかたじけない。
ハナス……タイトルの意味分かってるじゃん! あっ、話を変えますね。新九郎さまは「早雲寺殿廿一箇条」という家訓を書き残していますが、こちらはビジネスマンの参考、人生の指南書になりますね。
その点についてお伺いしたいのですが、少し休憩に入りましょう。
新九郎様、奮発してイチゴのショートケーキ十個買っておいたんです。
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