第22話 文化祭〜後日譚〜
無事に文化祭を終えることができて、本当によかった。先生たちもすごく喜んでくれた。文句なしの大成功だったと言えるだろう。予算の余りでお菓子やジュースを買って打ち上げをすることになった。その際に振り返りをして、アンケート結果も共有できればと思っている。
現在は、オレと賢斗の二人でアンケート結果をまとめているところだ。その間に数人で買い物に行っている。二人で資料のまとめ方を相談しながら、分かりやすくまとめることができたと思う。出来上がった資料を先生にも確認してもらった後に、人数分を印刷してもらった。
しばらくすると買い出し組が戻ってきた。打ち上げの会場は自分達の教室だ。机や椅子を動かしてすでにセッティングを済ませてある。好きな飲み物をコップに注いで、大袋の菓子の中から好きなものを取った。
各自が自由に席についた。オレはいつもの4人組で座った。みんな楽しそうに話している。きっといい気分転換になることだろう。もう体育祭の話をしている人もいるようだ。気が早いように思うけど。
アンケート結果の資料をみんなに配った。ひとまずは各自で目を通してもらった。その後に先生から講評をもらった。どの感想もいい内容だった。中には保護者も参加したかったという人がいたくらいだ。
今回のことをきっかけに、そういった業界へ進みたいと思った人もいる。文化祭での経験が何かに活きてくるのであれば、頑張った甲斐があるというものだ。実行委員をやってよかったと思う。オレ自身も貴重な経験をすることができた。
侑衣もすごく楽しそうにしている。かわいい笑顔に思わず見惚れてしまった。すると侑衣と目が合った。お互いにニコッと微笑んで、手を繋いだ。とても幸せなひとときだ。
打ち上げまで無事に終了して、片付けをしっかりと済ませた。そして下校になった。いつものグループにそれぞれ分かれて下校した。オレたち4人も遅くならないように寄り道せず、まっすぐ家に向かった。
家に帰ると、ちょうど父さんと玄関で一緒になった。今日は文化祭で実行委員を頑張ったご褒美として好きなものを食べていいと言われた。オレはお寿司をリクエストした。流石に回転寿司だろうと思っていたが、なんと回らないお寿司を食べれることになった。
いつも頑張っているからと言ってもらえて嬉しくなった。家族で外食というのも嬉しいことだ。駐車場に車を停めて、みんなでお店に入った。店内は落ち着いた雰囲気で、照明も程よい明るさだ。職人さんも優しそうな顔だ。
席に座って待っていると、父さんがここの店主と同級生だと教えてくれた。今回の文化祭にも来ていたそうで、オレのクラスにも観にきてくれたらしい。動画の完成度が高いと褒めてくれた。
寿司ネタがすごく新鮮で、とても美味しかった。お世辞抜きで今までに食べたお寿司の中で一番だと思った。すごく幸せな気分になったし、おそらく顔にも出ていただろう。そのくらい至福のひとときだった。
接客もとても気持ちよかったし、大満足だった。父さんと母さんも、いつも以上に笑顔が溢れていた。家族の時間を楽しむことができてよかった。
家に帰ると、父さんから呼ばれた。ソファーに座ると、進路のことを聞いてきた。オレは素直にカウンセラーになりたいと伝えた。父さんはオレが自分で真剣に考えたことなら尊重すると言ってくれた。
そこへ母さんがやってきて、父さんと同じ考えだと言った。誰かに流されるのではなく、自分で考え抜いて決めたことであれば、必ず素晴らしいものになるからと言ってくれた。
学費のことは学資保険に入っているから心配ないということだった。将来のことを考えて備えてくれているのはありがたいことだ。自宅から通える距離で合いそうだなと思う大学があり、大学院もある。条件としてもいいだろう。
夢物語にならないよう、日々の復習を大切にしている。まとめて復習するよりも、毎日コツコツ頑張っている方がいいと思うからだ。繰り返し覚えれば、その分だけ記憶として定着するだろう。今のところ定期テストでは上位層に入れているし、間違えたところはしっかりと見直している。
入浴を済ませた後、少しだけテレビを観た。適度な息抜きも大切だ。両親も集中する時と息抜きのタイミングを理解してくれているから、何も言われることはない。その分のびのびと勉強を取り組むことができている。必要以上のプレッシャーを避けるというのも大事なことなのだろう。
お笑い番組を見てリフレッシュすることができた。家族みんなで爆笑していた。笑うと自然に元気が出てくる。無意識のうちに楽しい気分になる。確か笑うことで何かしらの免疫細胞が活性化すると言っていた。
そのくらい笑うのはいいことなのだ。なんでも、たとえ作り笑いであっても脳が楽しいと勘違いして同様の効果が生じるのだとか。人間の脳はよくできていると思う。心理学を学ぶ上でも重要な領域なので、知っておいて損はない。
その後は目標時間の勉強をこなして、遅くならないようにベッドに入った。楽しい気分に満たされつつ、眠りの世界へ落ちていった。
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