第21話 至福の文化祭
それぞれが食べたいものを買ってきて、飲食席に座った。オレと侑衣は全く同じものだった。たまたま一致しただけだが、少し嬉しかった。みんなで仲良く会話しながらご飯を食べた。保護者有志の手作りだそうだが、すごく美味しかったし、見た目も色鮮やかで綺麗だった。
みんな満足げな表情をしていた。オレも少し食べすぎたかなぐらいに思っていた。午後からも楽しいイベントがいっぱいある。睡魔に襲われないよう、食後のコーヒーを飲んでいた。
するとそこへみんなの親がやってきた。相変わらず親同士も仲がいいようだ。オレの母さんも得意の手料理を売り出していた。それが学校中の評判になって、人気者になっていたそうだ。午後からも親グループ8人組で回るそうだ。
しばらく休憩していると、先生たちがやってきた。母さんの料理を食べてすごく美味しかったのでお礼に来たそうだ。母さんも得意げになっていて、調理実習に来てほしいなんてところまで話が飛躍していた。
オレは嬉しさもあったが、それと同じくらいに恥ずかしかった。当の本人は気にしていないようだけど。すると先生がオレの方に話を振ってきた。幸せ者だねと言ってくれたが、正直に言ってかなり恥ずかしかった。とはいえ、否定はしないでおいた。
十分に休んだ後はまた校内を回ることにした。自分達の当番まではあと1時間くらいある。時間を考えて、茶道部に行ってみることにした。賢斗たちも一緒についてきた。みんな茶会は初めてだそうで、ワクワクしていた。
ちなみに、副担任の山下先生が顧問をしている。そういう縁があって、茶会のチケットを買うことになった。もちろん強制ではなく任意なのだけど、せっかくの機会だからと買ったのだ。日本の伝統を体験するのはいいことだと思う。
実際に茶室に入ってみると、すごく落ち着いた雰囲気だった。本来なら正座するのだが、慣れてない人も多いだろうからということで無理はしなくてもいいということだった。
1杯のお茶と、茶菓子2つを食べることができる。正直言ってそれが目当てで来たのだ。だけど茶道部の人が実際にお茶を点てているところを見て、動きがキビキビしていてすごいと思った。いわゆる「静と動」がはっきりと分かる。茶道がこんなにもカッコいいものなんだなというのが分かった。
そして当番の時間が近くなったので、教室に戻った。前の人と引き継ぎが必要だ。ちょうどペンライトの光が弱くなっていたので、協力して交換した。来場者集を記録に残しているが、それなりに来てくれているようだ。任意で感想を紙に書いてもらっているが、それもかなりの数集まっている。それについては後日まとめたものをみんなで共有したいと思う。
オレたちが当番をしている2回の上映でも、教室いっぱいに人が来てくれた。感想も書いてくれたし、直接よかったと言ってくれる人もいた。やっぱりこの企画をやってよかったと思えた。きっとみんなが当番をして同じように感じてくれていることだろう。
無事に当番を終えることができた。観てくれた人に喜んでもらえたのが何よりも嬉しいことだ。きっと大成功で終わることができるだろう。近くにいた松田先生もすごく誇らしげで、嬉しそうな表情をしていた。
そして文化祭は無事に終了した。最後の閉会式では、最優秀のクラスと部活がそれぞれ表彰された。その投票は来場した保護者や関係者が行ったようで、なんとオレたちのクラスが表彰された。
ダントツの人気っぷりだったそうで、投票してくれたみんなが絶賛していたそうだ。そのため、DVDに焼いて全個配布することが決まったらしい。他のクラスにまで需要があるのか謎だけども。
とにかく、今年の文化祭は大成功で終えることができた。クラスの絆もすごく深まっただろうし、大切な思い出として残ることだろう。次は体育祭だ。このクラスならきっと素晴らしいものになることだろう。
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