第17話 撮影開始
文化祭の準備が始まって一週間ほどが経っただろうか。どのグループも企画が練りあがったようだ。今日からはいよいよ撮影の段階に入る。各自で衣装も用意してきてくれたようだ。すごく頼もしいメンバーだ。
松田先生か副担任の山下先生のどちらかが同行するのであれば、学校外での撮影も可能ということになった。ただしその場合は一般の人が映らないように配慮が必要だ。それに撮影に夢中になるあまり周囲に迷惑をかけてもいけない。
安全な場所で撮影することを強く言われた。私有地については事前に先生が許可取りに動いてくれるそうだ。生徒が知り合いであれば、その人が話をするほうが早いということはあるだろうけれども。
記憶媒体はそれなりの容量のものを用意できたので、素材集めとして少しでも多く撮影しようということになった。材料の動画は多いほうが絶対にいい。みんな精力的に撮影に取り組んでくれているようだ。
オレと賢斗はというと、撮影できた動画を随時送ってもらって確認している。先生と話し合って決めた遵守事項をもとに使えるかどうかを判断していく。そうすることで、各グループがすぐに編集作業に入っていけるからだ。
どのグループも順調に撮影が進んでいるようで、それなりの数の動画が送られてきた。遵守事項は事前に伝えてある。あくまでもダブルチェックの意味だが、みんなしっかりと意識してくれているようで、使えないものは一つもなかった。
撮影の内容を踏まえたうえで、動画編集が得意な1人が先に編集作業を始めているグループもあった。もちろんその人自身も撮影には参加するようだけども。グループのメンバーそれぞれができることを精一杯頑張って貢献する。それが何よりも大切なことだ。きっと今回の経験が将来に生きていくことだろう。もちろんクラスのきずなも深まっていくに違いない。
オレはこのクラスの一員になることができて本当に良かったと、改めて実感することができた。おそらく賢斗も同じことを考えているのだろう。今回の企画、何としても成功させたいものだ。
オレと賢斗は当日のタイムテーブルを考えていた。こちらで時間の割り振りを決めることは事前に承諾を得ている。当日に部活や何かのイベントに参加予定の人は事前にヒアリングしている。みんなが納得できるように作りたいと思う。
文化祭では自分たちが楽しむこともすごく大切だ。まあ、撮影の段階で既にみんな存分に楽しんでいるような気はするけれども。
オレはやっぱり、侑衣との時間を大切にしたいと思っている。それは言うまでもないことだろう。侑衣との思い出を、少しでも多く作ることができればいいなと思っている。限られた時間をしっかりと楽しみたい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます