第12話 キャンプの楽しみ

 みんなでコテージに戻った。今日の夕飯はバーベキューだ。肉や野菜、シーフードなどいろいろな食材が用意されていた。母さんたちが方々を回って少しでもいいものを探してくれたそうだ。決して安くはないものが多いのだろう。オレたちのためにそこまでしてくれて、すごくありがたいと思った。

 父さんたちが火を起こす作業をしていた。まずオレたちは食材の下ごしらえを手伝うことになった。新鮮なものばかりですごく美味しそうだった。

 その後はテーブルやイスのセッティングをした。女子2人が飾りつけをしたいと言うので、それを手伝うことにした。2人で相談して材料を持ってきていたらしい。完成してみると、すごく綺麗になっていた。大人たちも笑顔があふれていた。


 無事に火を起こすことができたようで、父さんたちは得意げになっていた。とてもたくましい姿だなと思った。父さんのことをカッコいいと思ったのは久しぶりだ。小さい頃はいつもそう思っていたが、いつの間にかそんなこと考えもしなくなっていた。成長するにつれて独り立ちしつつあるのかもしれない。

 バーベキューの準備がすべて整った。かなり強い火で危ないので、焼くのは父さんたちがしてくれるらしい。オレたちも何か手伝いたいとおもったが、子どもは遠慮せずにたべていいのだと言われた。みんな食べたいものをリクエストして焼いてもらった。まず最初はお肉からだ。タレがいろいろあるのでそれも楽しみのひとつだ。

 野菜もたくさん用意されている。トウモロコシやカボチャ、ピーマンなど栄養をたっぷり摂ることができそうだ。シイタケやイカ、エビなどもある。とても充実したバーベキューだと思う。炭火で焼くのですごく香りもいい。みんな美味しそうにほおばっていた。自然と笑顔になっていた。

 おにぎりがあったので、しょうゆをつけて炭で焼いてみた。すごく香ばしくて美味しかった。みんなもまねをして焼いていた。味噌をつけて焼いている人もいて、焼きおにぎりっていいものだなと思った。


 バーベキューを楽しんだ後、順番にお風呂に入った。みんながお風呂から出た後、寝るまでにまだ時間があったのでカードゲームをして遊んだ。すごく楽しいひと時だった。オレたちは最高の夏休みを満喫していた。

 消灯の時間になったので布団に入った。明日はいよいよ最終日だ。夜までには家に到着できるように、昼食を食べたあとに出発することになる。最後までみんなで楽しむことができればいいなと思っている。









 翌朝、キャンプ最終日を迎えた。朝食はレトルトで済ませる。みんなが起きてきてから、どれを食べるか仲良く選んだ。オレと侑衣はカツ丼にした。タレがしみ込んでいて、レトルトとは思えないくらいに美味しかった。

 朝食を済ませた後、予定を確認した。片付けの手伝いをしようと思ったが、子どもは最後まで遊んでいていいと言ってもらえたので、ゴミ出しだけして遊ぶことにした。もちろん最後までみんな裸足でいるつもりだ。すでに足の裏は真っ黒によごれているが、そんなことは誰も今さら気にしていない。

 ゴミを捨てに行ったあと、みんなでフカフカな芝生を走り回った。やっぱり裸足だと気持ちいい。ますます裸足が好きになってしまった。そのまま鬼ごっこをすることになった。みんな元気いっぱいで走るのが速い。必死に逃げ回っている。


 そのあとはサッカーをした。裸足なので、やわらかいボールを使うことにした。ホントはみんな普通の硬いボールでもいいと思っているのだが、念のためやわらかいものにした。2対2で分かれることになり人数が少ないので、ずっと走りっぱなしになるだろう。必死になってボールに食らいついた。

 結果はオレと侑衣のチームが勝つことができた。思わず侑衣を抱きしめて、喜びを分かち合った。賢斗たちも悔しそうにしながら抱きしめあっていた。


 だいぶ疲れてきたので、休憩することにした。川まで歩いていき、冷たい水を飲んだ。そのついでに真っ黒になった足の裏を洗うことにした。オレと侑衣はくすぐったがりなので、もちろん自分で洗った。水が冷たくて気持ちよかった。

 そのまま水のかけ合いになった。夏の水遊びはすごく気持ちがいい。暑さで苦しいのがウソのように生き返った気分になる。プールと同じことだ。いつの間にか、みんなびしょ濡れになってしまっていた。夏の昼間だし、風邪はひかないと思うけど。

 川の水は冷たくて綺麗に澄んでいるし、緑に囲まれた自然豊かな場所だ。都会ではほとんど見られない光景だろう。この国の将来を担う存在として、この豊かな自然を守っていかなければならないなと、4人とも強く心に誓った。


 お昼になってコテージに戻った。今回のキャンプ最後の食事はカレーライスだった。大人たちが全部作ってくれていたようで、オレたちは感謝を伝えた。カレーに始まり、カレーで終わる。そんなキャンプも悪くないかもしれない。オレたちは水遊びをしてびしょ濡れだったので、ひとまず着替えることにした。

 着替え終わってから、みんなで盛り付けをした。全員そろって食べ始めた。カレーライスとコーンスープ、どちらも美味しかった。やっぱり外で食べると違った美味しさを感じることができる。みんな速いペースで食べ進めていった。


 昼食が終わると、最後の片づけをした。大人たちが荷物の積み込みをやってくれている間に、オレたちはごみを捨てに行った。このキャンプでは最後の裸足を満喫していた。もっと裸足で楽しめればいいのにと思って名残惜しかった。また必ず来たいとみんなが思っていた。

 ごみを捨てた後は直接マイクロバスまで来るように言われていたので、駐車場へと向かった。大人たちは荷物を積み終えてすでに乗り込んでいた。オレたちは自分のサンダルを探したが、見当たらなかった。じっくり考えると、荷物の中にしまってしまったのを思い出した。親に伝えると、すぐに取り出せる場所ではないという。

 時間がないので、早く乗るように言われた。正直ためらいがあったものの、オレたちは足をしっかりと綺麗に拭いて、裸足のままバスに乗り込んだ。いざ乗ってみると、肌触りが悪くはないなと思った。やっぱり裸足のほうがいいと思ったし、すごくうれしい経験ができたと4人とも思っていた。

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