第10話 キャンプ旅行

 みんなの部活がない都合のいい日に、家族ぐるみでキャンプに行くことになった。高校生とはいえ、大人が複数人居た方が安全だ。家族で付き合いがあるというのはいいことだ。お互いに助け合って力を合わせて生きていくほうがいい。

 侑衣の家族がよくキャンプに行くそうで、オススメの場所を紹介してくれた。しっかりと準備をしておくように言われた。たとえキャンプといえど、相手は自然だ。甘い考えでは大変な事態にもなりかねない。

 父さんと母さんに話したところ、最近は行っていないが、2人の馴れ初めがキャンプ場だということが分かった。オレが生まれる前までは休みの日にいつも泊りがけで遠出していたそうだ。

 この際だから思い切って用具一式を新調することになった。今までに見たことがないくらいに2人とも気合いが入っている。下手に口を挟むと怒鳴られてしまいそうなほどだ。新婚ほやほやのころに戻ったかのようだった。


 キャンプまでは1週間くらいある。用具は大人たちでやってくれるらしい。オレたちは献立やゲームを考えることになった。景品を各家庭から持ち寄って準備する。みんなに行き渡るようにするので、実質的にはプレゼント交換のようなものだ。

 早速みんなで集まって考えることにした。まずはキャンプ場について調べることになった。どういったものがキャンプ場にあるのかを知るためだ。

 調べてみたところ、釣りやアスレチックなどいろいろあるみたいだ。釣りは道具をレンタルできて、釣った魚を焼いて食べることができるそうだ。釣り大会やアスレチック競争など、いろいろな企画を考えることができると思う。せっかくだから、大人も子供も楽しめるほうがいいだろう。

 夏なので肝試しもできればいいなと言っているが、オレは怖いものが苦手だ。できればやりたくないが、みんながすごくやる気なので仕方がない。やるからにはできる限りカッコよくありたいものだ。


 泊まりがけでキャンプに行くが、あまり荷物を増やさないため、また無くさないために勉強はしないことになった。その分、前もって進めておくことになる。

 午後からそのままみんなで宿題をすることにした。毎日コツコツとやっているので、だいぶ進んでいる。他の人もすごく進んでいるようだった。

 夏休みは8月末までだけど、上旬くらいにはみんな宿題を終わらせることができそうなペースだ。もちろん、その後も自習だったりといった時間を積極的に作った方がいいのは言うまでもないけど。

 夏休みの間に時間を作って一学期の復習、苦手の克服をしっかりとしておきたい。高校生のうちに取れる資格があれば、ぜひ挑戦してみたいと思っている。その勉強も時間を確保しなければならない。

 時間というものは、ただ待っていても過ぎていくだけだ。自分で時間を作って、充分に確保しなければならない。効率を考えて進めていきたいところだな。


 みんな熱心に取り組むことができた。だいぶ進んだようだ。かなりの達成感と疲労感があった。侑衣のお母さんがおやつを用意してくれた。アップルティーとケーキだった。ケーキは街で一番美味しいと言われているお店のものだそうだ。アップルティーはおろしたリンゴを溶かして、スライスしたリンゴを浮かべて作ったらしい。

 みんな癒されたようで、とてもいい笑顔だった。どちらも、すごく美味しかった。夕方までのあと数時間、ラストスパートだ。みんなすごい集中力で頑張っている。全力を出し切って取り組むことができたと思う。








 いよいよキャンプ当日になった。侑衣のお父さんがマイクロバスを借りてきたそうだ。みんなで乗り合ってキャンプ場へ向かう。今からすごく楽しみだ。オレは今までにキャンプをしたことはない。初めての経験だ。

 窓を開けて風を感じながら、バスは走っていく。気持ちいい風だ。侑衣が自然豊かな風景を写真に収めている。すごくいい風景だと思う。

 休憩のために立ち寄ったサービスエリアに恋人の縁結びスポットがあった。カップルで金属の網にカギを取り付けて幸せを願うのだそうだ。オレと侑衣もさっそくやってみた。侑衣とずっと一緒に居ることができればいいなと思った。そう思って何も疑わなかった。ずっとそばに居るものだと思っていた。

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