第6話 休日のショッピングモール

 次の土曜日に侑衣や賢斗と一緒に出かけることになった。お互いに部活や塾などで忙しかったので、賢斗と遊ぶのも久しぶりだ。カラオケや映画、ショッピングを楽しむ予定だ。侑衣と遊ぶのは初めてなのですごく嬉しいけど、やっぱり緊張する。

 今日は現地集合だ。予定より10分くらい早く着いたけど、侑衣はもう到着していた。楽しみすぎて昨日の夜はあまり眠れなかったらしい。いつも制服姿しか見ていなかったので、私服は新鮮だった。ものすごく可愛かった。

 集合時間ギリギリになって賢斗と彼女がやって来た。仲良く手をつないで、イチャイチャを見せつけてきた。幸せそうで何よりだ。オレだってイチャイチャしたいけど......。


 みんながそろったところでまずは映画を観に行くことにした。賢斗はホラー系を観たいと言っていたが、オレは怖いものが苦手だ。女子2人も乗り気ではなくて助かった。そういえば、賢斗は小さい頃から肝試しとかお化け屋敷といったものが好きだったな。

 女子2人の要望で、恋愛映画を観ることになった。賢斗たちはカップルだからいいけど、オレは正直言って気まずい。侑衣がどう思っているのかは分からないけど。

 チケットを買ったあと、時間があるのでグッズコーナーを見てみることにした。いろいろな映画のグッズが置いてあった。それぞれが欲しいものを買った。

 みんなでフードとドリンクを買って、シアターの中に入った。若い人たちでほぼ満席だった。侑衣がとてもワクワクした表情だった。オレと一緒に観たかったと言われた。思わずドキドキしてしまった。

 映画の途中で、侑衣がオレの手を握ってきた。侑衣の方を見ると、ニコニコと微笑んでいた。それを見て、すごく可愛かった。オレも侑衣の手を握り返した。


 映画が終わって、ちょうどお昼になったのでご飯を食べることにした。近くのファミレスに入った。メニューが豊富ですごく迷う。いろいろ食べたいので、いくつか頼んでみんなで分けて食べることにした。

 どれも美味しかった。みんな満足していた。侑衣が美味しそうに食べているのを見て、思わずニヤついてしまった。


 ご飯の後はカラオケに行くことになった。賢斗はすごく歌が上手い。オレはそこそこといったところだろうか。みんなで1曲ずつ順番に歌っていく。

 侑衣の番になった。アニソンをよく歌うらしい。すごく綺麗な歌声で、思わず聞き入ってしまった。惚れ惚れするほどに素晴らしいと思った。心の中にスっと入ってきた。

 侑衣が歌い終わると、思わず抱きしめてしまった。しまったと思ったが、侑衣は嬉しそうにしていた。嫌がるどころか、お礼を言われてしまった。

 そんな光景を見ていた賢斗が冷やかしてきた。でもそんなことお構いなしにイチャイチャした。オレは、侑衣への思いをハッキリと自覚していた。

 でも伝えていいものか迷った。侑衣が無理に合わせてくれているだけかもしれないと不安があったからだ。

 迷っているだけでは何も始まらない。意を決して、後で話したいことがあると伝えた。侑衣も想像がついているのだろう。悟った表情でうなずいた。


 帰る前に、少しショッピングをすることにした。それぞれが欲しいものを見て回った。オレは侑衣にネックレスをプレゼントした。とても喜んでくれた。

 賢斗たちは寄りたいところがあると先に帰ることになった。賢斗から頑張れよと言われた。おそらくこの後を察して、気遣ってくれたのだろう。

 侑衣の方を向いて、自分の思いをしっかりと伝えた。侑衣は嬉しそうに聞いていた。即答だった。侑衣はオレと一緒に幸せになりたいと言ってくれた。

 侑衣のことをしっかりと抱きしめた。人目につかないところでオレたちは唇を重ねた。幸せな瞬間だった。

 この幸せがずっと続いていけばいいなと思っていた。ずっと続いていくものだと思って疑わなかった。

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