第二話「さよなら、またいつか!」
「ヒッ‼︎」
アルカはマクラマの威圧にビビりその場に座り込んでしまった。
「マラクマ様、、申し訳ございません。サメは、きえてしまって、、、」
声をなんとか絞りだす。
船内の騒ぎを聞きつけ、クルーがゾロゾロと集まる。
「アルカが一人でサメ食って酒飲んでたぜ」
一人のクルーが言った。
(ベロベロに酔っ払っていたクルーだ。
あいつは、俺に酒を飲んだこと擦りつけようと、、、 はぁ〜なんでいつもこうなるんだろう。僕は、いつも鈍臭いし。この船にいるのだって、転んでマラクマ様の服を汚してしまったから。はぁ。本当、、、いやになる。)
アルカはマラクマを睨む。
(マラクマ様は、怒ったら歯止めが効かない。僕殺されるんだろうなぁ。どうせなら最後に言ってやる。せめてもの悪あがきだ。小魚さん蓋開けとけば、あとは逃げれるよね。)
アルカは、サメ三郎の入ったビンを開け、地面に置いて立ち上がる。
(言ってやる。最後に一言言ってやる。)
「このクソジジイ!!深海から逃げ帰ったクソ雑魚野郎が!自分よりよえー奴しか居ないところで威張り散らかしやがって、お前なんかクソ雑魚だ!」
(あー。言っちゃった。クルーたちがマラクマ様に八つ当たりされないように、逃げていってる。ザマーミロ。今日僕死にます。)
マラクマは、怒りでプルプル震え顔が真っ赤になっていた。剣を振り上げ、力の限り振り下ろす。
(悔いはない)
アルカは目を瞑る。
(あれ、、痛みが来ない。何かあったのか?)
目を開くと紙の盾がマチルマの剣を防いでいた。
「ぶくぶくっ」(ペーパーシールド。)
「なっ!なんだいこの紙は!邪魔しやがって!」
マラクマが紙に向かって剣を何度も叩く。
スパッ!スパッ!スパッ!スパッ!
紙耐久なのですぐにペーパーシールドが壊れた。
マラクマがニヤニヤとこちらへ向かってくる。
「アルカ〜舐めたことしてくれるじゃねぇーか。」
アルカは絶望を浮かべ、サメ三郎を見る。
「小魚さん。助けてくれてありがと、さっさと逃げな。僕がマラクマから時間を稼ぐ。」
アルカは両手を広げ、恐怖に打ち勝ち立ち上がる。
力もないのに、小さな命を助けようとする姿は、まるで勇者のようだった。
(かっけぇー。こんなところで死んで良い奴じゃないよな。)
「楽に死ねると思うなよ?」
マラクマが剣を振り上げアルカの腕を切ろうとした。
「ぶくぶくっ」(ペーパーキャノン)
大砲の弾のように大きい紙の弾がマチルマの大きな図体を剣と一緒に吹き飛ばす。マラクマは、壁にぶつかった。
(LV1だから戦いたく無かったけど、言葉は通じねぇし、出会ったばっかだけど良い奴だからな。MP消費は、[ペーパーシールド]が20[ペーパーキャノン]が30...残りMP50。ちょっとキツイな。賭けに出るしか無い)
俺は瓶から飛び出す。
体についた水を落として、ペーパーキャノンの紙の弾を出現させた。
(10秒待ってくれよ〜。)
紙の弾がドンドン大きくなっていく。
「ありゃ〜少しまずいな。小魚魔眼持ちか。選ばれた魚ってか?ふざけるな。」
マラクマが立ち上がった。マルチマの敵意が俺に移る。マルチマが剣を俺に投げつける。
グサッ。
「出会ったばかりの小魚を助けるなんて僕って馬鹿だなぁ。でも体が勝手に動いちゃった。」
マラクマの投げた剣がアルカの肩に刺さっていた。
血がポタポタと落ちる。言葉は通じないはずなのにアルカが、話しかけてくれた。
「ぶくぶくっ」(ありがとう。)
自分ができる最大限の感謝の気持ちを言葉に込める。
「雑魚同士で馴れ合ってるんじゃねぇーよ。さっさと死ねや!」マラクマが吠える
(マルチマお前絶対許さねぇー。アルカのおかげで間に合ったよ。マラクマ!空の彼方に消えちまいな!)
「ペーパーーーハイキャノン!!!!!!!!!!!!」ドドンッ
紙の弾は、2倍ほどの大きさになりものすごいスピードでマラクマに迫っていく。マラクマは、避けようとするが間に合わず、勢いよくぶつかった。
「ヘブシッ!!」
マラクマは空高くそして、遠くに吹っ飛んで行った。
(MP切れだ。やべぇ。頭クラクラする。それと酸素、、、、)
「ありがとう。お魚さん。」
俺の体が持ち上がる。髭の生えたクルーだ。
髭の生えたクルーは、俺を瓶の水の中に戻してくれた。
「マラクマの恐怖は消えた!今日からは、海賊じゃなくて漁船だ!みな、よく耐え切ってくれた。マルチマにこの漁船を占拠されてから、沢山の辛いことがあっただろう。違法な取引、違法な略奪。辛かっただろう。私は、罪を償おうと思う!皆着いてきてくれるか?」
髭の生えたクルーが叫ぶと
「おおおおおおおおおおおお!!」
「船長についていきまっせ!」
周りから大きな歓声が起こる。
髭の生えたクルーは、乗っ取られる前の船長だったらしい。
「アルカ!お前さんはついてこなくて良い!」
元船長がそう言うと、アルカは寂しそうな声で
「なんで...」と呟いた。
「アルカは何もしとらん。入ってきたのも最近だ。してきた事も飯を作ってただけだ。アルカには、罪はない。」
元船長の言葉にアルカは反論する。
「僕だって村から略奪してきた物食べてました。船に「マルチマのバカ]って落書きだってしました。僕は、悪い子です。僕も一緒に罪を償います。それといつも少ない食事を船長は、分けてくれました。自分がお腹減っているのに「お腹いっぱいだ」って言って。恩返しがしたいのです。船長と離れたくありません。」
感情が溢れるばかりアルカは泣いてしまった。
元船長は、アルカの頭を撫でる。
「アルカ、お前にはこの船を継いで欲しいのだ。それがわしからのお願いじゃ。恩返しがしたいと申すなら、継いでくれないか?」
「そんな言い方、ずるいじゃないっすか。
わかりました。立派な船長になっていつかまたみんなで旅しましょう」
アルカは敬礼をした。
元船長は、「任せたぞ。」と一言呟き、アルカに罪をなすりつけようとしたクルーを見る。
「船長として最後の仕事をしなきゃな。」
一人のクルーが逃げ出そうとするが、他のクルーに捕まる。
ボコスカボコスカボコスカ。
元船長が俺に声をかける。
「世話になったな。ありがとう」
元船長が頭を下げた。
そして、俺にアルカも話しかける。
「小魚さんに会えてよかったよ。一緒には、いられないけど僕たちは一生友達だよ!」
アルカが瓶を持ち上げる。
(俺たちはいつのまにか、友達になっていたらしい。)同意の意味を込めて頭を振る。
「さぁ、行っておいで!深海まで。君なら行ける!」
そう言うと、アルカは瓶を海へ投げつけた。
(うぉぉぉぉぉ最後がザツーーーーー)
ぽちゃん。
「よかったのか?」元船長がアルカに話しかける。
アルカは泣きながら頷いた。
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作者レポート。
マラクマをマチルマに、間違えたw
書いてる途中でよかった。
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