8話


泣きそうな俺に、雪音は優しく話しかける。

「そんな絶望した顔しなくても大丈夫だよ。サメ三郎には、光るオーブがあるじゃない。」


(光るオーブ?あんなの何の役にたつんだ?」

俺は、目をパチパチさせる。


「光るオーブはね、成長すると魔眼になるんだよ。

魔眼には、特別な力が宿るんだ。私の魔眼は、氷の魔眼。魔眼は、その者の体を変化させる。または、特殊な能力を与える。説明するの難しいから、見てもらった方が早いや。」


雪音の足元の水面が凍る。氷の上に着陸する。

すると嘴で自分の心臓を貫いた。


「えっ」

戸惑いの声が出る。


雪音の胸のあたりに、空洞ができている。しかし雪音は生きている。理解ができない。そして、空洞がだんだん小さくなっていき、完璧に治ってしまった。


「私は、氷でできた鳥。物理攻撃は、全く効かないんだ。魔眼は、その者の体を作り替える。理解できた?」


俺は頷くことしか、できなかった。


「魔眼には、ランクがあるの。

四大元素が関係する物+光と闇がSSクラス。

火や水。私の氷もSSランクね。

体は、作り変わるけど、四大元素に関係しない物がSランク。

相手を状態異常にする魔眼は、Aランク。

魅了とか、沈黙とかね。

そして最後にBランク。世界で1番多い魔眼よ。体の一部を変身させる魔眼。右手が熊になるとか、足が馬になるとかだね。変身するとステータスが、物凄く上がるよ。Bランクだからって、気を抜いたりしたらダメだからね。そんな事したら、すぐ死んじゃうよ


それと、もし全身を変身させることが出来たら、SSランク以上かしら。そんな者おとぎ話でしか聞いたことないけど。」


俺は食いつくように話を聞いた。


「俺は、どんな魔眼になるかわかりませんか?」


「ごめんね、それはわからないわ。ただ自分の本質が、魔眼に影響するらしいわ。」


(そりゃ、わからんか。自分でも、自分の本質なんてわからないし。)


「そして、おまけみたいな能力も貰えるわ。魔眼を持っている者同士は、会話が出来るようになるの。魔眼は、知能がある程度ない者には現れない。魚や鳥などには、滅多に現れないわ。

私たち転生者は、例外。基本人間に近いものに光るオーブが与えられるわ。何か質問は、あるかしら?」


「はい。この世界に転生者は、どのくらい居ますか?」


雪音は、少し悩んでから答えてくれた。

「んーとね。私が把握してる範囲だと5人。

会ったこと有るのは三人。その内の一人は、死んじゃった。神聖パラランド帝国の皇帝も転生者らしいわ。

そして、転生者が生まれる時に、大きな光の柱が立つわ。私が異世界に生まれて来てから2回ほど確認しているわね。2年前に一回、そしてつい最近の光の柱はサメ三郎ね。2年前にもここら辺に、光の柱が立ったけど、転生者を見つけられなかったわ。生きてるといいのだけど。」

雪音は顰めっ面をしていた。




「余談なんだけど、転生者をこちらの人間の間では、神の子って呼ばれるらしいわ。それ以外の生物は、悪魔の子って呼ばているよ。人間は、どこの世界も変わらず自分勝手なものが多いから、エルフや獣人、人魚などの他の種族を奴隷のように扱う。ほんと最悪。」


どうやら雪音さんは、人間が嫌いなようだ。

エルフや人魚絶対に会いに行かなきゃ。


「教えてくれてありがとう。人間には、気をつける。」

話を聞いてる限りこの世界の人間って、かなり危ない種族なんだなぁ。


「で、話を戻すね。魔眼は、同じ時代に同じ魔眼は発生しない。サメ三郎は、氷の魔眼は絶対現れないってことね。そして、魔眼は二つ以上持つことが出来ないわ。一人一個ってこと。聞いた話によると、人の魔眼を奪って、二つ目の魔眼を移植した人がいたの。

移植した瞬間、体が破滅したらしいわ。」


まじかぁぁぁ。沢山の魔眼で俺最強!とかは、出来なんだなぁ。


「体を作り替えるSSランクSランクには、物理攻撃が効かないとされているけど、例外もあるわ。例えば氷に向かって火を当てられるとダメージを喰らう。また、魔眼に傷がつけばダメージ入るし、破壊された時、取り出された時は即死するよ。

力の源であるけど、弱点でもあるんだ。

そして、魔眼持ちを倒すと経験値が非常に多い。

ドラクエで言うとメ◯ルキングって所かな。

命知らずが、襲ってきたりするから注意。

大体これで魔眼の説明は、終わりかな。

それで質問。このままサメ三郎放置しちゃうと死んじゃいそうだから、もし良ければ、修行受けてみない?」


修行かぁ。雪音に修行をつけてもらえるのは、凄い嬉しい。でも美味しい話には、裏がありそうで怖い。拒否する事も可能だろう。

拒否すると死ぬ可能性が上がる。

話に乗るしか無さそうだな。


「修行よろしくお願いします。」

俺は勢いよく頭を下げる。

(絶対強くなってやる。)


「これからよろしくね。それで安全に光るオーブを覚醒させる為にかかる年月は5年。死ぬかもしれないけど、サメ三郎次第では最短1日で覚醒出来るかもしれない方法どっちを選ぶ?」


どっちかなんて、考えなくても選べる。

早く強くなれた方がいい。このままじっとしていたら、他のやつに殺されてしまう。


「1日でお願いします。」


雪音は、ニヤッと笑う。


「そう言うと思った。また会えると良いな。

おやすみ、サメ三郎。」


一瞬にして、自分の体が凍る。

サメ三郎は、意識が刈り取られるのであった。




〜〜〜〜〜〜〜〜

作者レポート


長かった。この話に繋がるまで、ものすごく長かった。

ふぅ。ここから本編と言っても過言では無いw





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