06.強がりと思い出の種

尚のお腹で育つ子供がもうすぐ10ヶ月を迎える時のこと。


僕は仕事で家から少し遠い場所に、数日出向かなければならなかった。

 尚の体調はとても良いといえる状態出ではなかったし、お腹の子供もまだ正期産には足りない時期。そんな尚や子供と離れるのは不安で、その仕事を受けるか悩んでいたが、尚の一声で行くことを決めた。



 玄関先で少しぎこちない笑顔を浮かべる尚。

 僕はわかっていながらも尚に






 「・・・・いってきます」






 その一言を放って、背を向けて家を出た。








 こんな状態で仕事ができるのかと自分でも疑うほどに、移動中も落ち着かない。

 ふと、外を見ると移動中の車窓から一面に咲き誇るあの向日葵の丘が見えた。

 目に飛び込んだその景色は、尚に告白した僕に向かって笑う尚を思い出させた。

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