04.ひまわりの花言葉
よく晴れた日。
久々に出会う友人達と、向日葵が咲き誇る丘に出かけた。
尚も一緒に来ていたが、あの日尚を抱きしめた日から仕事以外で会うことはなかったから少しだけ気まずかった。
それでも辺り一面綺麗な向日葵を前に、尚は目を輝かせて屈託なく僕に笑いかけてくるから、気まずさは自然と無くなり夢中でカメラのシャッターをきる。
クルクルと変わる表情を見ているだけで、僕も楽しくなった。
そんな尚の写真や、友人達を撮った写真をカメラで確認していると、尚に名前を呼ばれた。
顔を上げて声のする方を向くと、尚は大きな向日葵に顔を近付けて、僕に向かって写真を撮れとアピールしてきた。
仕方なく1枚撮ると、尚は走って近付いてきて、僕が撮った写真を見て笑いかけてくる。
その笑顔は反則だ。
尚がずっと僕のそばで笑ってくれたら・・・
「・・・尚。・・好きだ。」
思わず出た言葉に僕は口を塞いだ。
尚は目を丸くさせて僕を見ている。
あぁ、言ってしまった。どうしよう、そう考えていた時。
尚の瞳から滴が零れ落ちる。
キレイな尚の頬に滴る涙は軌道を歪める。
尚は照れたように笑って、僕の言葉を受け入れてくれた。
信じられなくて何度も聞き返したが、そんな僕を見て尚は僕に近付いてくる。
あの日僕の背中に回ることのなかった尚の手の温もりを僕の背中で感じた。
僕はこの日を忘れることはない。
ずっと言えずにいた好きの2文字が、たとえ意図してなかったとしても尚に伝えたことで僕の世界は大きく変化した。
あの時、大きな向日葵と一緒に尚の写真は今でも僕たちの家に飾られている。
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