02.瞳の先

 僕が初めて尚と出会った春。




 例年より冷え込んで遅咲きの桜が、少しずつ蕾から花を咲かせようとしていた。




 小柄で明るくて、どこかぬけてる尚はクラスの人気者。


 他クラスからも人気があった尚のことを僕も意識していた。


 尚とは3年間同じクラスで、隣の席や前後の席にもなったりしたから自然と仲良くなった。







 沢山話すようになってわかったことは、尚は子供みたいに人前でも素直に感情を出す女の子だということ。


 友達想いで、いつも誰かから相談されては解決するまで寄り添っていること。


 誰かの楽しさも、悲しさもまるで自分のものかのように笑ったり、泣いたりすること。














 好きな人や皆の前では強がって、弱さを見せれないこと。









僕は、ただ見ていた。尚に特別な感情を持ちながらも口に出して伝えることはなかった。




尚と、尚の横を歩く存在を遠くからただ見ていた。




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