シロノヒガン(白の彼岸/日願)

喜壱

01.心地よい幸せ

予報外れの雨が強く降る日。

なおは窓に張り付いて、外を眺めていた。

ちょっと不機嫌な顔。少し下を向き、唇を尖らして外を睨んでいる。




 可愛いなぁ・・・。




「そんなに外を睨んでも雨は止まないよ」



 そう言うと、振り返った尚は泣きそうな顔をしていた。



 理由を聞くと、楽しみにしていた僕の誕生日祝いの計画が潰れてしまったからだと言う。

 


 「僕は予定していたお出かけができなくても、尚と一緒に居れるだけで幸せだよ」



 すると窓際に立っていた尚は、ベッドの上に座っている僕に向かって飛びついてくる。

 バランスを崩した僕はベッドに倒れこんだ。尚は僕の上に乗ったまま動かない。顔も僕の胸にうずめて見えない。

 どうしたものかと尚を見つめているとバッっと尚が顔を上げる。




 少し照れた顔でへへっと笑う尚。僕もつられて笑った。



 「ねぇ、尚?」


 可愛く首を傾げる尚に、








 「・・・・・・・重い。」



 ボソッと言うと尚は近くにあった枕を僕の顔面に叩き込む。



 痛い・・・。



 恐る恐る枕をどかして尚の様子を見ると、尚は外を睨んでいた時よりもきつく僕を睨んで怒っていた。

 僕は面白くなって笑う。プイッとそっぽを向く尚を後ろから抱きしめた。

 鏡に映る尚は幸せそうに笑っていた。



 クルクルと表情が変化する尚。





 言葉に出して絶対に言えないけど、僕の自慢の彼女。

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