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授業中1
今日も厳しくも自分の為になる授業の最中、ふと、先生がこんなことを言った。
「……そういえば、お前達、健康に気は使ってるかい?」
あたし達は眉をひそめた。
「睡眠や運動、それと食事。リニア、出来てるかい?」
「うちは実家なので、食事は母が用意してくれてます」
「うちもです」
「先生! うちもー!」
「親御さんに感謝するんだね。一人暮らしはこの中でどのくらいいる?」
あたしと数名が手を上げた。
「一人暮らしの奴は気をつけな。時間がある時は筋トレくらいでいいからやっておくことを勧めるよ。よく寝て、よく食べる。これは魔法使いになる上で基本だからね。だけど、いいかい。よく食べるのはいいけどね、うちの馬鹿弟子みたいな馬鹿な食事の取り方は絶対にするんじゃないよ。昨日、それで喧嘩になってね」
「先生、またお弟子さんと何かあったんですか?」
「今の若い子はみんなそうなのかね。最近あの小娘、冷やし中華にハマっててね」
「美味しいですよね」
「俺もめっちゃ好きです」
「生麺に冷やし中華のタレをかけて食べるのが美味しいんだとさ。まあ、美味しいよ。一日目は。別にそこから、まあ、そうだね。一週間後に同じ冷やし中華を出すならまだわかる。あいつはね、次の日にも冷やし中華を出すんだよ」
「次の日なら良くないですか?」
「マイク、話は最後まで聞きなさい。確かに私も二日目、そうだね。長くて三日目まで許そうじゃないか。だがね、どうする? 冷やし中華が四日目も五日目も六日目も出てきたら」
「えっ」
「一週間出たんですか?」
(あたし平気だけどな。毎日納豆食べないと生きていけないし)
「流石にあいつもわかってたんだろうね。四日目の夕飯は私の分と自分の分で分けてたよ。でもね、私はびっくりしたんだよ。なんであいつ十日間も同じもの食べてんだい」
「「十日間」」
「朝昼含めてですか?」
「いや、朝はパンで、昼はおにぎりだったと思うよ。でも、夜は冷やし中華さ。昨日、買い出しの際に冷やし中華のタレを3本くらい籠に入れたのを見て流石に止めてね。体に悪いから同じものばかりじゃなくて、栄養のある食事をしなさいって言ったら、あいつなんて言ったと思う? ミルフィー」
「(えー、なんだろう……)……そうっすね。冷やし中華に野菜を入れたとか?」
「正解は、わかりました。バラではなく、2リットルのを買います」
「「2リットル」」
「強者」
「その発想はなかったっす」
「店の中で言い争いだよ。こっちだってね、体調を心配して言ってるのに『ミランダ様の食事はきちんと用意してるじゃないですか。好きなものを食べて何が悪いんですか』って逆ギレだよ。子供じゃないんだから。あの馬鹿」
(毎回思うけど、ミランダ先生ってお弟子さん大好きだよな)
「そういうわけで、みんなは好き嫌いせず、ちゃんと栄養のある食事をすること。いいね」
「「はーい」」
「……しまった。どこまでやったかね。ああ、そうそう。ここからだった」
鐘が鳴って先生が教室から出る時、「しばらく料理禁止にさせるかね……」と呟いていた。
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