9 終焉のサクリファイス ~暁の約束と交錯する運命~


【タイトル】

 終焉のサクリファイス ~暁の約束と交錯する運命~

 https://kakuyomu.jp/works/16816700426931711417


【作者】

 月影 様


【ジャンル】

 現代ファンタジー


 ※あとがき(第一巻終了時点) まで読んだ時点での感想です※


【あらすじ】

 ある冬の夜、八神零はフーデットケープに仮面を被った人物と、黒髪碧眼の少女が争っている場面に遭遇する。常人の理解を超えた力、魔法を駆使して戦う二人。ここまで見て見殺しにするのも気が引ける――零は仮面の人物を退け、結果として碧眼の少女を助けることになった。その再会は春……高校の屋上で八神零は碧眼の少女・水瀬優香と邂逅する。水瀬は語る、自身が「幻影」という組織に所属していること、それは魔法を不当に扱う者から人々を守ることを目的としていること、そして零を見込んで自身の相棒になってほしいこと。零は自身の目的を果たすため、水瀬に協力することになる。


【魅力】

 八神零という男のミステリアスさが、この物語の雰囲気をそのまま表現しているような気がします。この物語は主人公・八神零による一人称の語りがメインになるのですが、彼は感情の起伏がそれほど大きくなく、クールで冷静、あるいは感情を押し殺しているように見えます。だから文章も淡々と綴られるのですが、それでもエモーショナルな文章だなと感じるのが面白いところです。一見矛盾するようですが、要所要所でモノローグだったり精神対話が挟まれるので、彼の影の部分や葛藤もしっかり見ることができます。シリアスで重厚な、かっこいい物語であることに相違ないのですが、謎を残しながらもある程度の暗いバックボーンは垣間見ることができる。そういった意味でも引き込まれる物語だと思います。

 語り手の話ばかりしてしまいますが、零が当然のように語っていることが常人にはできないとすぐわかるのもうまいなと思いました。プロローグで魔法を駆使して戦闘する二人に割り込んでいくのも、東雲との練習試合も、ただの高校生にはできないことばかりです。彼自身の口から語られなくても、彼には何か特殊な事情があるとわかる。冷静な語り口と、それが自然のように発揮される卓越した戦闘能力。それらの組み合わせが相性が良くて、個人的には非常に刺さりました。戦闘シーンがかっこいいのは言わずもがなです。


【その他】

 伊波くんが飄々としていて好きです。ですので読んでいて色々と衝撃的でした。彼について多くを語るとなるとネタバレになるのが口惜しいです。

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