第2話 憧れの異世界へ

「ぇ、、ねぇ、、、起きて」


夢と現実の間で声を聴く


「大丈夫?」


俺はまだ夢か現実か分からなかった。


分かるのは、、、ただ寝心地が悪いということだけ。


「、、なんだ、、、?」


「やっと気が付いた!」


目の前にいる人物を見て、俺はまだ夢の中にいるのだということが分かった。


「テンプレみたいなこと言ってんな、つまんねえ」


「つまんないって、、何が?」


あくびについてきた涙をしっかりと拭いてから、俺は現実を見た。

まだ夢の中にいる。


「やべ、俺これ転生しちゃったかな」


「ねえ、大丈夫なの?」


「知らん。ここが夢かどうかだけ教えてくれ」


「え、、現実、、だけど」


「え?」


「え?」


え?


現実?


今そう言ったの?言ってたよね、この子。


「まじ?」


「まじって、なんでそんなこと聞くの?」


「いや、俺、君みたいな衣装の子見たことないし、絶対に家のベッドで寝たはずだから、、、」


「そうだったんだ、、」


「こりゃ完全に転生したやつだな」


(確信は持てたはずなのに、現実味を感じない。それにしても可愛いなこの子。)


「転生、、?」


「そう。ライトノベルっていうあり得ないことを書いた小説で出てくるんだけど、俺がいた世界だとそれが流行ってたんだ」


ここが現実だということを証明するために、俺は淡々と説明をした。


「みんな転生してるってこと?」


「いやいや、小説で出てくるってだけ」


「ならあなたはなんで出来てるの?」


現実味がどんどん増してゆく。


「分からない、、、あ、でも寝る前に神様にお願いしたから、多分それじゃないかな」


「てことはバミティア教の人?」


「へ?」


(やっぱりあるんだ、そういうの。)


「あ、でもそうだもんね、違う世界の人だから知らないもんね」


(この子も中々に順応するのが早いな。俺が異世界人だってことにこんなにすぐ慣れるなん、、、あれ、待てよ)


「待って、転生のこと知ってるの?」


「うん。オカルトチックなことだけど、今じゃどこの国でもやってるらしいよ~」


(まじか。え?結構転生者いる感じなの?)


「あ、そうだ。自己紹介忘れてた!私はミミル。君は?」


「あ、俺は透也(とうや)。トーヤって呼んでくれ」


(女子慣れしていないのにこんなに話せるなんて、、なぜだろうか)


「よろしくね、トーヤ!」


「あぁ、よろしくな、ミミル」


違和感が体を駆け巡っている。

何か、何かがおかしい。


だが、俺はその違和感に対して何も抵抗できなかった。


ミミルと出会ってまだ三十分と経っていないだろう。

そろそろ知りたいことがある。


「この世界のことを、、教えてくれないか」


「もちろん!でも何からがいいかな、、」


最初に聞きたいことは、もう既に決まっていた。


「この世界って、、魔法とかスキルとかって、ある、、、?」


「あるよ!」


「よっしゃ!」


「でも魔法はお金がかかっちゃうから、裕福な人じゃないとあまり使えないかな」


「えぇ?!」


考えてもいなかった。まさか魔法にお金がかかるなんて。


「まじかよ、、」


「だからこの世界だと、スキルの方が重要だよ」


「どうやったら分かるの?」


「こうするの!」


(この感じだとステータスオープンって言うんだろな)


「ステータスオープン!」


ブゥン!


「うおっ」


なんと、彼女のだけでなく俺のも出てきた。


「便利だな~」


肝心のスキルを確認する。


「私のは〔ドリーマー〕。夢で見たことを現実にできるスキルだよ」


「強そう」


「なんか雑!!笑」


「さて、俺のは、、、」


ステータスを見る。


トーヤ・サトウ


スキル〔寸刻の装着者〕

スキルレベル:1


「何これ?」


「あー、これは特殊スキルだね~」


「特殊スキル?」


どうやら通常のスキルとは違うらしい。


「そう。普通はスキルにはレベルがなくて、その代わりに本人にレベルがつくんだけど、特殊スキルの場合は本人にレベルがなくて、代わりにスキルにレベルがあるの」


「何か変わるのか?」


「うーん、特殊スキルは中、長距離タイプが多いくらいかな。あと基本的なMPとかがスキル持ちより高いけど、結果的にはレベルで抜かされるから、一長一短って感じだよ」


(なるほど、別にチート能力なわけではなさそうだ。)


俺は少し残念な気持ちになった。


「内容はどうやったら分かるの?」


「それが使わないとみんな分からないんだよね~」


「そりゃ不便だな、、でもそれなら一度使ってみるか」


俺はスキルを発動、、どうやるんだ?

やり方を模索しようとすると突然、体が黄金色に輝き始めた。


「うわっ!」





ーー次に目覚めた時は、宿のベッドの上にいたのだったーー

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