特殊スキルの最強勇者

神田々 氷月

第1話 プロローグ

「ねぇ今日の課題やった?」

「昨日一万も課金したのに爆死してさぁ~」

「お前そろそろ英検の勉強しないとヤバイぞ!」


俺は周りにいるクラスメイトたちの会話をBGMに、お気に入りのライトノベルを読んでいた。


かつては孤独でいることに対して不安を覚えたこともあった気がするが、今となっては一人でいることに特別感すら感じている。


それもすべては、このライトノベルのお陰だ。

俺はこの本に夢を教えられた。


「転生」。


ライトノベルを読まない人間でも、耳にしたことがあるだろう。

実現しないと分かっていても、どうしても夢に見てしまう。


(あぁ、俺もチートスキルが欲しかったなぁ。)




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現実とは、思い通りにならないものだ。


(周りはあんなにも幸せそうだというのに、俺ときたら、、、)


卑屈な思考が頭を支配する。

俺はよくこうなってしまうことが多いのだが、みなこうなるものなのだろうか


電車でスマホを覗く時のように、自然とライトノベルへ手が伸びる。


「転生」

「チート」

「ハーレム」

「転生」

「仲間」

「転生」

「友人」

「転生」

「転生」

「転生」


ありえないことにばかり囚われる。

理想に対してあまりに現実的な目で見る自分がいる。


神に願いながら、俺は夢へとおちていった。

















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