第一章〜中学時代〜

【いじめ】


「あいつら双子ってさあ、なんかキモくない?」


いじめは、クラスメートの女子のその一言から始まった。


「分かるー!姉妹のクセにいつも仲良くくっついてさ!超キモいんですけど。」


「しかも2人揃って暗いしさ!クラスの雰囲気悪くなるわ。」


確か、中学2年の2学期くらいからかな?

その女達が私達の悪口をクラス中に広めて、やがていじめは他クラスにも伝染していった。


最初はただ主犯の女達が悪口を言ってくるだけだった。しかし、そいつらに便乗したクソみたいなクラスメート達が次々と増殖し、他クラスの奴らを含め、沢山のゴミどもが私達を蔑んだ。


いじめは更にエスカレートし、私やハナカの私物を盗る奴まで現れた。


「こいつの物とかきたねーから触りたくない」


って言ってたクセに、私達の物盗むとか、本当に頭おかしいんじゃないの?って思ったし、矛盾にも程があるだろって思いながら見下してた。


でも、私は気づけなかった。


あいつらが私とクラスが離れたハナカにもっと酷いいじめをしていたということを…




中学3年に進級し、ハナカと私はクラスが離れ、私はイラスト部に所属していた事もあって、一緒に居られる時間は少なくなってしまった。

私が付いていないのをいいことに、あいつらはハナカへのいじめをエスカレートさせたのだろう。


その頃、私も同じようにいじめを受けていたが、下らない悪口や物盗りにも慣れてきて、呆れた顔でいじめっ子を見下していた。


家でハナカと再会しても、いつもと変わらない表情でいつも通り振舞っていたから、私は気づくことができなかった。


あいつらは、私の知らないところでハナカを恐喝したり暴力を振るったり、度を越したいじめをしていたのだ。


ハナカは私と違って純粋で優しい子。

気の強い私が居ないのをいいことに、過激ないじめをされたのだ。


私がそのことを知ったのは、

中3の冬休み。

ハナカが自殺した日だった。


お風呂でリスカして死んでいるのを、私が見つけた。遺体の傍には、遺書があった。



【証拠】


ハナカが死んだ後、私は学校や教育委員会に、いじめの証拠であるハナカの遺書を見せ、いじめた奴らに制裁を下すよう必死に頼んだ。


遺書にはハナカがどんなことをされ、誰にいじめられたのかもはっきりと書いてあったから証拠としては十分なはずだ。


しかし、汚い大人達はこの事実をもみ消した。


「こんな紙切れ1枚どうとでも偽造できるだろ」


「あんなにいい子達がそんなことするわけないわよ。ハナカさんは進路のことに悩んでたんでしょう?」


と、いじめっ子の肩を持つ無能な教師達。


そして、教育委員会の権力者がいじめっ子の親戚ということもあり、ハナカの自殺がいじめのせいだという事実はあっけなく消された。


ハナカが自殺してから、私は季節外れの転校をした。

ハナカを殺した奴らと同じ空気を吸うなんて考えただけで虫唾が走るし、お母さんも、あんな学校にこれ以上娘を通わせたくないと言った。


そして、私たちがいじめられていたことに気付けなくてごめんなさいと、私に泣いて謝った。


5歳の時、お父さんが病気で亡くなってから、私たち双子を女手一つで育ててくれたお母さんに心配をかけたくなかったからいじめのことは相談しなかった。

きっとハナカも同じ気持ちだったのだろう。


でも今では、お母さんにちゃんと相談しておけば、ハナカは死ぬことはなかったし、お母さんを傷つけることもなかったと後悔している。



【復讐心】


私がハナカのこともっとちゃんと見ていたら…

私がハナカを助けていたら…

私がハナカだけでも別の学校に転校させようってお母さんに言っていたら…


ごめんねハナカ…

ごめんねお母さん…


悲しみと絶望に染まった私。

しかしやがて、絶望は復讐心へと変わった。






殺す。







ハナカの遺書をネットで拡散すれば、あいつらは即人生終わりだ。


しかし、私はそんなものでは納得しない。


ハナカは死んでしまったんだ。

ならあいつらも死ぬべきだ。


ハナカがされたことよりもっと傷付くことをされて

ハナカがされたことよりもっと痛いことをされて

ハナカがされたことよりもっと辛いことをされて

ハナカがされたことよりもっと酷いことをされて

ハナカがされたことよりもっと惨いことをされて

ハナカの何億倍も地獄を味わって心も体もズタズタに切り裂かれて死ぬべきだ。


私は高校3年間、お母さんに内緒で殺人の方法などを具体的に調べ、大学2年の成人式までに、全ての準備を整えた。

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