第二章〜復讐遂行〜
【成人式】
成人式の会場に着いた。
もうあいつらは私たち双子のことなんて忘れてるんだろうけど、私はあいつらを見たらそれだけで吐き気が込み上げてくるんだろうな。
なんてことを考えながら席に着いた。
「ねえねえ、あいつ、三井じゃね?」
「うわ、ほんとだ。姉の方は生きてたんだね。」
少し離れたところからこっちを見ながら嗤っている気持ち悪い元クラスメートの女達。
これから自分たちがどうなるのかも知らないで。
あいつらはいじめの主犯の取り巻きだ。
そして、復讐の最初のターゲット。
式が始まり、何かの権力者たちのどうでもいい話を長々と聞かされた。
式の途中、さっきの取り巻きの女がトイレに行こうともう1人を誘う声が微かに聞こえ、会場を出ていった時、私は『協力者』にメッセージを送った。
本当は私の手で、いじめた奴らは全員殺すつもりだったが、成人式に振袖で参加している以上、しかも式の最中、下手に動くと失敗するかもしれない。
『協力者』は、ハナカの死後、最初に線香をあげに来てくれた人間だ。私は彼を信頼している。
待っててね。ハナカ。
もうすぐ仇が2人死ぬから。
【殺戮開始〜白崎龍鋭〜】
「ちょっとこれ見てよ。匿名で大量に送られて来たんだけど…」
女子トイレに入ってきた不細工な女は、もう1人のブスに俺が大量に送信した画像を見せている。
「なに…これ?!遺書…?!ちょっとヤバくない?」
「ホント何なの…気持ち悪い…」
よく言うよ。人1人殺しておいて、罪悪感どころか記憶も無いのか?本当ゴミだな。死んだほうがいいよ。
俺は慣れない金髪のツインテールを鏡の前で整えるフリをしながら女どもの様子を見ている。
俺は白崎 龍鋭(シロサキ リュウト)。
三井 花那香と学校は違ったが同じ塾に通っていた。
個別指導の塾だったんだが、三井と俺は同じグループで授業を受けることが多く、それがきっかけで仲良くなり、当時俺は三井から学校でのいじめの相談を受けていた。
家族に心配はかけられないと言っていたから、ただの塾の友達である俺にしか言えなくて、ずっと苦しんでいたんだよな…
俺は慰める以外何もできなかったけど…
いや、何も出来なかったから、今からやるんだ。
俺の手で…否、三井花那香の手で、この雌豚どもを殺す。
金髪のツインテールのウィッグに黒いパーカー、黒いTシャツ、黒いズボン、黒い靴、そして、黒い手袋。
顔にはネットでやり方を覚えた女装メイクをして、俺は側から見たら完全に女子だ。
元々そんなに男っぽい顔をしていないからな。
俺にとってはコンプレックスなんだけど、こんなところで役に立つとはな…
俺はフードを深く被り、女達に得意の女声で話しかけた。
「ねぇ…私のこと忘れたの?
草津莉英香(クサツ リエカ)、剣持藍那(ケンモチ アイナ)。」
いきなり知らない相手にフルネームで呼ばれ、驚いた顔で俺を見る2人。
「は?!アンタ誰…?!」
「…ちょ、嘘でしょ?ヤバイよリエカ!こいつ…」
俺が画像を大量に送った草津は喧嘩腰だが、剣持は察したのか、怯えた表情になった。
「な…なんであんたが生きてんのよ…三井花那香!!」
大人になると顔が変わるとはいえ、フードで顔を隠しているとはいえ、初対面の相手を…しかも男を、自分がいつも付きまといいじめていた女の子と間違えるなんてな。
それにしてもとんだ間抜け面だ。
剣持のセリフを聞いて、草津も思い出したのか、怯えた表情を見せた。
「み…みつい…はなか…?うそ、でもあいつは…」
「死んだよ。あんた達のせいでね。だから、
今度は私の番♪」
俺は隠し持っていた拳銃のレプリカを2人に向けた。
馬鹿で無能な2人は案の定怯えた顔をした。
「一番奥の個室に入って。」
俺は2人に命じた。
2人が命令通り動いたのを見届けると、女子トイレの入り口のドアに『使用中止』の札をかけた。
さて、拷問の時間だ。
「ねえ、確かさあ…」
俺が一言発すると、2人はビクッと縮み上がった。
「草津さん、私の顔便器に押し込んだことあったよね?」
そう言いながら、俺は剣持を引っ張り、首筋にナイフをピタッとくっつけた。
ひっ…と、小さく悲鳴をあげた剣持。
「あの時すごく苦しかったよ?だからさ、
草津さんも同じ目にあってよ。」
俺は草津の目を真っ直ぐ睨みつけ言った。
「は…何言ってんの?そんなのするわけないでしょ?!」
案の定反抗するうるさい豚女。
「へぇ、…なら、剣持さん、殺処分するけどいい?」
「は?!」
自分を殺すと言われて思わず声を上げる剣持。
まさかの展開に戸惑う草津。
草津が便器と剣持を交互に見ていると、
「…よ…やってよ…ねえ!やって?!早く!私死にたくないの!ねえ、やって!突っ込んで!便器に顔!早くやってよ!ねえ、やって!やれ!早くやれ!…早く突っ込めよなあっ?!」
半泣き状態で凄い顔をした剣持が草津に命じた。
しかし、草津は応じない。
「はあ?!てめえ誰に向かって口きいてんだよ!言っとくけどさ、アンタがウチら一軍に入れたのって全部私のお陰なんだからね?やれ?何様だよてめえ!助けて下さいって土下座しろよブス!」
草津が剣持の胸倉を掴み、先程の剣持に劣らない勢いで怒鳴った。
しかし、そんな草津を剣持は蹴り飛ばし、草津は壁に思いっきり背中をぶつけた。
「いいからやれっつってんだよ!アンタが悪いんでしょ?三井にあんな事するから!!アンタが三井にトイレの水飲ませたりしなきゃ私こんな目に遭わずに済んだんだよ!いつまでも中学時代のカースト鼻にかけてんじゃねえよクソ豚が!」
泣きながら怒りながら剣持は発狂した。
「ぷっ…」
地声で思いっきり笑いそうになり、抑える俺。
いじめっ子同士の友情なんか所詮こんなもんだよな。いざという時には自分さえ助かればどうでも良いんだ。
「ちょっと、草津さん早くやってよぉ〜。便器に顔突っ込んでそこの水全部飲んでさぁ…………私の何億倍も苦しんでよ。」
俺は草津を見下しながら睨みつけた。
「やれよクズがあぁぁあっっ…!!」
泣き喚く剣持。
俺は更に追い討ちをかける。
「しょうがない。5秒以内にやらないと殺すよ。もう。」
「5」
「やれぇええ!!」
「4」
「クソアマがあああああああっ!!!」
「3」
「いやああああああ!!!」
「2」
「死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない」
「1」
「ぎゃああああああああああ!!!!!!!!」
グサッ
俺は剣持の首にピッタリくっつけていたナイフを
剣持ではなく草津の顔面に突き刺した。
そして、叫び声をあげる草津の体のありとあらゆる箇所をメッタ刺しにして、最後に脈を切り裂くために首を切った。
「…い、痛っ……………わ、わたし…い…いきて……ひっっ!!」
草津を殺すために俺がその場に突き倒した剣持が起き上がり、草津の悲惨な死骸を目の当たりにして小さく悲鳴をあげた。剣持の下半身は彼女の小便で濡れている。
「あはは!草津さんってホント馬鹿だよねぇ。私、カウントする前『殺す』としか言ってないから『自分が』殺される可能性だってあるわけでしょ?大人しく便器の水飲み干しとけばこんな悲惨な死骸にならずに済んだのにね…
ねえ!剣持さん…」
俺は再びナイフを剣持の首にくっつける。
汚い嗚咽を漏らすだけしかできない哀れな女。
「見てよ草津さんのこの顔、これじゃあトイレに来た人ビックリしちゃうよね。剣持さん、この顔見えないように便器に押し込んでよ。」
俺は剣持に命令した。
顔も体もメッタ刺しのグロテスクな草津の死骸。
剣持はその死骸を見ることすら出来ず、俯いて泣いている。
俺は、そんな剣持の頭を掴んで顔を無理矢理上げた。
「剣持さん、私にやらせたよね?『ゴミの処理』。
私の机に虫とかネズミの死骸入れて、「きったなぁい!捨ててこいよ。素手でさぁ。」って言ったよね?人にやらせるくらいなら、自分だって出来て当たり前だよね?…ほら、やってよ。このゴミ、便器に捨ててよ。……素手でさぁ。」
「いっ…いや…」
「5、4…」
「いやあぁっ」
俺がカウントを始めると、剣持はすぐに立ち上がり、草津の死骸を両手で掴み、そして、草津の顔面を思いっきり便器の奥まで突っ込んだ。
自分が助かるために友人の死体をめちゃくちゃにする剣持を、俺は冷めた目で見つめていた。
俺の命令に従った後、剣持は呼吸を乱しながら、立ち尽くしている。
そんな剣持を、俺は後ろから抱きしめた。
「ひっ……!!」
硬直する剣持。
俺は彼女の右手にナイフを握らせ、その手を上から掴んだ。そして、耳元で囁いた。
「じゃあね。剣持さん。」
俺は剣持の右手を動かし、持たせたナイフで剣持の首を切った。
シャッ………
ドサッ
完全に生き絶えた草津莉英香と剣持藍那。
血塗れの振袖姿で、刺し傷だらけの顔面を便器に突っ込んでいる草津。
汚い液体で下半身を濡らし、目をひん剥いて倒れている剣持。右の手元には剣持の指紋がくっきりと着いたナイフがある。
俺は、偽造してきた『剣持の遺書』を剣持のそばに置き、女子トイレを出た。
…殺処分を終えた俺は、隣の男子トイレに誰もいないことを確認して入り、置いておいた清掃用カートの中に隠しておいた清掃員の服装に着替えた。そして、返り血のついた女装セットを清掃用カートの奥底に隠した。それから、俺はカートを押しながらトイレを後にした。
最初の復讐を終えた俺は、証拠隠滅の為、草津に送った大量の画像を送信撤回で削除し、その後速やかに退勤した。
…家に着くと、早速返り血のついた服を洗い、ゴミ袋に入れ、沢山の生ゴミでカモフラージュした。
あの成人式で使われている会館は、古い建物で、セキュリティも甘いという事を、数ヶ月前から下見の為、アルバイトを始めて知った。(田舎とはいえもっと警備体制整えとくべきだとは思ったが。逆に助かった。)
あのトイレの近くに監視カメラは無く、俺が男子トイレと女子トイレを行き来したことも当然誰にもわからない。(まあ、部外者が入ってこなかったのは運が良かったからだが)
『金魚の糞掃除した』
と、俺は華菜未さんにメッセージを送った。
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