第4話 今日も社畜(2)

「山田さん、明日も仕事ですか?」

「そうだよ」

「頑張ってくださいね」


 レジのパネルに写っているキャラが客を応援している。


「ありがとう。頑張るよ」


 山田と言われている男は、スマホを操作すると、スマホ決済で会計を済ませた。手持ちのエコバックに商品を入れると、コンビニを出て行った。


「次の方、どうぞ」


 俺の番が来たが、AIレジにはまだ抵抗があり、躊躇していると、別の店員のレジも丁度空いたので、俺はそっちに向かった。


 いつものように、ペットボトル飲料と炭水化物のコンビニ食。明日は休みのため、朝に食べるようにサンドイッチを買っている。


「レジ袋は必要ですか?」

「お願いします」

「1050円になります」


 会計を済ませると、店を出て、暗い夜道を家に向かって歩いて帰る。ワンルームで毎月5.5万円の家賃。職場にいることが多いから電気代とかは安いが、コンビニ代が結構高くついている。


(明日、ゴミ捨てしないとな……)


 台所に膨れ上がっているゴミ袋を横目に、部屋の奥へ行き、買ってきたばかりのご飯を取り出す。

 無意識に手がTVのリモコンを取って、電源を入れる。


「今日の、対談は今、話題になっているAIレジの開発者。高樹和明たかきかずきさんです」

「お願いします」

「お願いしまーす」

「これが、AIレジですね」

「そうです。菜月なつきねね。といいます」


 ジーンズにTシャツ姿の男性が、隣に置いているパネルに向かって声をかける。パネルの中には、駅のコンビニに設置されているパネルに写っているキャラと、同じ絵が出て動いていた。


「はーい。菜月ねねです」

「ねねさん。と呼んでもいいですか?」

「ありがとうございまーす」


 男性キャスターが、いくつか質問をしていく。高樹和明と紹介された男性の経歴や起業までの経緯。AIレジが誕生した話などが続く。

 コンビニ食を食べながら、TVの話題聞き流す。食べ終わるとプラスチック容器をナイロン袋に入れて、袋を閉じる。


 明日は休み。だから風呂も明日。

 PCを立ち上げて、俺はゲームを始めた。

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