第42話 魔法画の店2 楽し気な幻獣の白い竜たち

魔法画に描かれていた白い竜が 絵から抜け出し

アーシュさんこと小竜さんを連れて店の外へ飛び出したワン!


なんと連られて、同じ絵に描かれていた天馬や聖獣達まで飛び出した!


大騒ぎになる通りの人達

追いかけるわん子にエイルさん


白い竜や聖獣は子竜(アーシュ)さんの周りを嬉しげに踊るように回る


「ありゃ! 魔法の封印が解けてしまったようじゃ」と年寄りの声

メガネをかけた、人サイズのトカゲさんだった。ワン!」 


「ドラゴンじゃ失礼な!」


「失礼しました。ワン!」


「まあ、わしらは珍しい種でな。 わずかしかおらん!

この街にいるのは 今は、ワシと王宮のセルト将軍ぐらいかの」

と一言 続けて

「セルト将軍の妹殿ナーリン殿は

連れ子の血のつながらん兄妹で人間なのじゃが、大変仲良くて….と

まあ、そんな話は今はどうでもよい!」


マスター! と先程のうさぎ耳の店の女の子

あ!じゃあ 貴方が店の店主で、魔法画の絵の先生?


うなずくトカゲさん じゃない 人型ドラゴンのおじいさん!


「あの小竜さんだが…似ておるのお~! えっ?誰にですか?

姿かたちというより、感じというかムードがちょっと

昔、ワシが描いた

絵の中の赤い子竜に似ておるのじゃ」


「10年以上前 わしが王宮に出入りしてた頃、王子・・

あ、いやその、ある男の子をモデルに 赤い子供の竜の絵を描いたのじゃ」


「大変な事情を抱えてての

王妃・・おっと・・その、ある人に疎まれて、この国の為

隣国へ人質に連れていかれたのじゃ、しかも人身御供として

殺される予定という話じゃった。だが、彼はなかなかの強運の持ち主で

今は幸せに暮らしているようじゃ」


と長々と話した後 再び口を開く

「わしは、その後しばらくして、王宮勤めを引退

この店を開いたのじゃ!

ワシは最高傑作の絵、3枚を店の中心に飾った」


「半永久的な魔法画の大作!もちろん!非売品じゃ

その中の一枚があの白い竜たちの絵じゃ」


「3枚の中心に、白い竜たちの絵を置き あと1枚は白い白鳥の絵と・・

左右にそれぞれ、2枚の絵をかけておっての

それぞれの絵と大変仲よしだったのじゃ」


左に置いた絵。 赤い子竜の絵


「その絵(つまり、絵の中の赤い子竜さん)と大変仲がよく、店の酒をくすねては

皆で仲良く飲んでおったのじゃ! まったくあの時は困った」


「だが赤い子竜の絵は 先の戦の際、混乱しておった時、もう一枚の絵と共に行方知れずになってしまったじゃ!」


「白い竜たちは、赤い子竜の絵は無事だが、遠い所、おそらく敵の国に奪われて

魔法で封印されたので、もう逢えないと悲しんでおった」

「その赤い子竜の絵を想い起こさせる子竜に出会えて喜んでいるのじゃ」


白い竜たちが、魔法画の先生こと店主こと人型のトカ、

じゃない年寄りのドラゴンさんに話かける


ふんふんと話を聞いてる。 年寄りドラゴンさん!


「しばらく、小竜さんと遊びたいと言っておる」 

 エイルさんと顔をあわせる。

続けて眼鏡の年寄りドラゴンさんは続けた。


「小竜さんを連れて、遊びに行く、南の国のうまい酒を飲んでくる

あと、百年ほど、遊んでくる☆から、しばらく留守にするね….だそうじゃ」


「なんですてええ~ワンンン」パニックて、騒いでるワン子さんを横目に


竜人の魔法画家は眼鏡を掛け直し

エイルさんをじっと見る眼鏡の年寄りドラゴンさん ハッとする。

「あ....貴方は」と言いかけて


エイルさんは眼鏡の年寄りドラゴンさんを見ると 

慌てて口元に、人差し指を当て、(しっ、黙って とジェスチャーする。

そして、真剣な眼差しで、白い竜たちを見つめていた。

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