拳鬼と恐れられたモノ〜復讐を胸に成り上がる〜

第5話

SIDE：？？？

「発言よろしいでしょうか？」

「許可するわ。で、何？」

「罰で娼館送りなど今まで前例がありませんので、少し疑問に思ったのでお尋ねしたく思います」

「なるほど。確かに重い罪だと斬首が一般的、軽い罪だと奴隷送りが多いものね」

「はい。なので、このような罰にしたのには何か深い理由があるのではと」

「深い理由かと聞かれれば難しいのだけれど、あるお方に助言を頂いてね。とても素敵な内容だったわ！　助言を踏まえて皆で話し合った結果、娼館送りという新しい罰を試してみることにしたの」

「つまり、今回の結果を見て罰として良いと判断された場合には今後も同じ罰が実施されるわけですね」

「そうよ！　いつまでも凝り固まった思想ではいけないでしょ？　この国は新しい試みはどんどん実行する方針になるはずよ」

「素晴らしいことです！　我が国の発展の為、力になれることがありましたらいつでもご命令くださいませ」

「ええ！　頼りにしているわ」

「…………………。」

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

SIDE：？？？

「この国、なんて名前か忘れたがバカしかいねぇのか？　笑いを堪えるのに必死だったぜ！　クククク」

「デオスクーロイ王国ですよ。全く、しっかりしてくださいよね」

「変装から演技まで器用ですね〜　しかし、なんでこんな回りくどい事をしたんです？　直接俺たちが処理に行けばいいじゃないですか」

「まぁその方が早くて確実なんだろうがな、上からの指示には大人しく従っとけ」

「はぁ。報酬さえしっかり貰えたら俺はいいので」

「わかったら早く移動するぞ！　……っと、持たされた魔道具はちゃんと持ってるか？」

「えぇ。動作確認もしていつでも使えるようにしてありますよ」

「仕事はさっさと終わらすに限るからな！　今から動くぞ！」

「りょーかいです。まったく人使いが荒いんだから」

　そう言い残して彼らは闇の中に姿を消した。