第14話:幻想の中のK ──。
一年以上、待ってくださってありがとうございました!!
ハッピーサンタ
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私は生まれてきてからこれまで、親から些細なことで沢山怒鳴られてきたり、時に理不尽な暴力を受けてきた。そんな環境で育ったからか、私は小さな頃からとても自分というものに自信が持てなかった。
当然、そんな人間が家の外に出たところでうまくいくはずがない。
学校では、幼稚園から高校まで全ていじめられてきた。通っていた塾でもいじめられたし、教師ですら、いじめる生徒に加担する場合もあり、学校全体から集団リンチを受けることも日常茶飯事だった。もちろん、皆が皆、私をいじめてきたわけではない。中には止めようとしてくれた人も、かばおうとしてくれた人もいた。でも私はそんな人たちの手も含めて、全部振り払ってしまっていた。何故ならその時、既に私の精神はかなり追い詰められておかしくなってしまっており、完全に人間不信に陥っていたからだ。
結果、いじめてこない第三者からも、暗くて卑屈でとても関わりにくい奴というレッテルが貼られてしまい、ずっと孤独に生きていく結果となった。
恋人はいないし、友達もいない。それどころか、本来頼れるはずの周りの大人は敵で、自分の味方になってくれるはずだった優しい人すらも、あろうことか私は敵に変えてしまっていた。
元々仲良くなかった父と母が離婚した後、私は母に引き取られた。母はとある企業のエリートで、私はお金に困ることはなかった。しかし、ありのままの自分では母に受け入れてもらえるはずもなく、私は心の声を無視してこの地獄を生きるしかなかった。
家での理不尽な心と身体の暴力を避けるために、学校という地獄に私は飛び込んだ。
この地獄から逃れられる選択肢はなかった……ないと思っていた。
しかし、あの日、あの場所で、孤独の逃げ道の先あの夕日を観て気が付いた。
「死ねば良かったんだ……」
本当は知ってた。でも怖かった。……今でも十分怖いよ。だけど、このままこの生き地獄を続けるのはもっと嫌だ。とっても怖い、そして何よりも恐ろしい。
今でさえ、とても地獄なのに、親は教師は『今が一番、これから人生は辛くなっていくから、この青春を楽しめ』などと冷たい息で吹きかけてくる。そして、それを周りの自分と同い年の人たちは何の疑問もなく受け入れて、実際にその大人の言う通りになってしまっている。
まあ、それも今日で全部、これで終わりだ。
「バイバイ、私……」
私は不変の生きる盾を、革命の死の矛で貫こうとした――。
「自分に優しくなれなくて、いったい誰がお前を抱きしめてやれるんだよ……なあ、日野」
その声が真空状態の世界に、響き渡ったとき、私は夢から目覚めたのだった。
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