第2話 合体とは

 ――カーミィ・レ・バソリー。


 気がつくと、そう名乗った女に拾われていた。


 彼女は、無造作な長い黒髪に、野性味のある美形のナイスバディ。

 齢は10代後半といったところだ。


 そんな人間の女が、何故俺なんかを?

 一瞬、元のイケメンに戻ったのかと錯覚を起こしたが違った。 


 カーミィは、マモノ使いの冒険者だった。


 仲間には、ハーピーとラミアがいた。


 仲間にどうだと誘いを受けたのだ。

 この俺にはもはや、断る理由などない。

 俺の生きてく場所は、ここにしかないだろう。

 ゴブリンの俺は、仲間になることを承諾した。


「名はあったりするのか?」とカーミィに問われて答えた。

丸山玉之丞まるやまたまのじょう



 カーミィたちと共に、ようやくこの世界の人で賑わう街に入ることができた。


 カーミィは、冒険者ギルドでクエストを受注すると、俺たちはダンジョンを探索することとなった。


 この世界の冒険者Lvの平均は40だそうだが、俺はLv1のゴブリン…………。


 まあ、俺なりに頑張って戦った。

 あまりに低Lvだったため、今日だけで、俺はLv10にまで上がっていた。


 その日カーミィは、身の丈三メートルはあろうか、デカブツのミノタウロスを仲間にすることに成功していた。

 ん? 4人パーティーが5人パーティーになってしまうが、この世界的には良いのだろう。

 まさか、ゲームじゃあるまいし。


 カーミィは、俺に向かって言った。

「タマジョー、あんたとハーピーが使えないな。もういらんか」

 えっ……。


「けど、あたしは、無駄に捨てたりはしないよ」

 まさか、食うとかか!?


「合体だ」

 な、なんだソレ?


「あんたとハーピーを合体させ、一歩強力な魔物をつくり出す。マモノ使いでも我が一族だけに伝わる秘奥義だ」

「合体……?」


「どっちが〝攻め〟でも〝受け〟でもかまわん。合体したら、双方のスキルも引き継げる。

 肉体はひとつになるが、心は〝攻め〟の方の心となる」



 カーミィの用意した、大きな絨毯じゅうたんに描かれた魔法陣の上で、半ば悲壮な表情を浮かべるハーピーの顔に、少しそそられた。

 そんなハーピーLv30の凹に、俺の凸を挿す!

 …………合体した。



 かくて、俺は、ゴブリンよりは強く、かろうじてフツメンにはなった!


 背には翼があり、足には鉤爪があった。

 ハーピーのスキル、〈麻痺引っかき〉を引き継いでいた。 


 ああ、つくづく良かった! せめて、フツメンLv20にまでになれて。

 合体もえがった!

 カーミィには、感謝感激だ!


 ――と、思ったのも、ほんの束の間だった。


 

 翌日、カーミィは再びクエストを受注し、俺たちはまたもダンジョンに潜った。


 昨日よりは、多少マシに戦えていた。

 頑張ってLv28にまでは上げた。



 カーミィは、今度はサキュバスを仲間にするのに成功していた。  


 そして、俺に向かって冷酷にも言ってのけるのだった……。


「あんたはまだ、もひとつ使えんな。更に合体が必要だ。そうだな…………ここは思い切って、ミノタウロスと合体させるか」


 ま、マジか!

 バッキバキマッチョの牛頭の…………デカブツLv60のダンナと!?  


 ほ、ほほほ掘るのも掘られるのも、嫌過ぎるぅぅぅ!!

 我が人生、最大のぴ、ぴぴピーンチ! 

 エマージェンシーぃぃぃ!


「ど、ど、どどどうか、ご主人さまカーミィさま、それだけはお許しを〜〜〜ッッッ! ご勘弁くださあああいッッッ!」

 とカーミィに追いすがって、泣きついた。


「フフ……あたしのマモノ使いスキル〈従属〉で幾らでも大人しくさせられるが、タマジョー、おまえの苦悶に歪ませた顔を拝むのもまた、一興だな」


 も、もしや、ドS!? てか、腐女子!?


 ――――ん!?


 その時だった。

 俺は、ひらめいてしまったのだ――。

  


 俺は、カーミィをそのまま、合体用魔法陣へと引きずり込んでやった。


「カーミィさま、俺と合体しよう! 嫌なら強引にでも!」

「な、なんだと!? ならばマモノ使いスキル〈従属〉で……」


 抗うカーミィに対し、俺はハーピーのスキルだったもの〈麻痺引っかき〉で先手を打った。   


 カーミィの凹を探し当てると、彼女は鍛え抜かれた素晴らしいボディをビクンと反応させ、くねらせたまらん!

 

 では、俺の凸を、参る!  

 …………合体した!



 超えがった! つくづく良い声で泣いてたなあ。



 カーミィと合体したことで、俺の姿は、元の少しイケメンくらいにはなったんじゃなかろうか?


 ちょっと、腰のラインが色っぽくなってしまい、オッパイまで出来てしまったが…………。 

 まあ、良かろう。


 カーミィの魔物を使役するスキル〈従属〉や、合体させるスキルも引き継いだぞ。よし!


 ミノタウロスのダンナに、ラミアにサキュバスよ。

 これからは、俺が新たなマモノ使いのご主人さまだ!

 コンゴトモヨロシク……。

 うえ〜〜〜い!


 今後は、そうだな、美女魔物ばかりのハーレムパーティーにしてやるぞ!

 合体に合体を繰り返して、ゆくゆくは女神級の魔物をつくり出してやろう! ンフフフ。


 俺自身も、そんな女神との合体を楽しむのだ!  

 うっひょ!


 ……ん? いやまて…………。


 俺がこれ以上、美女魔物と合体したら…………俺は、完全に女体化してしまうのでは? 

 まさか、チンコ消失…………。


 そ、それ以前にだ……女神級の魔物をつくり出すには、

美女魔物×美女魔物――という合体を繰り返さねばならん。


 ど、どうやって…………?

 考えてみれば……。

 女同士の合体は、凹と凹だろ。凸な部位が無いじゃないか…………。



 あああああ、その辺、カーミィに詳しく聞いておくんだったあああ!

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