第14話美味しいけど…

かつお節ご飯を見ていると小さな器にふくとまる用のご飯もよそってかつお節をパラパラとかける。


「え!ふく達もこれを食べるんですか!?」


充は驚いているとゼンさんが意外そうな顔をする。


「飯と言えばこれだろ?」


「え…」


充は嫌な予感に失礼しますと棚を見るとびっしりとかつお節が入っていた。


「まさかおかずってこれだけ?それにふく達に人のご飯は良くないんじゃ」


「ふくとまるはまだ子猫だが猫又の子だぞ。普通の飯も食える。それにこれよりも美味い飯があるか?」


ゼンさんはかつお節ご飯を美味そうにかきこんだ。


確かに美味しいがずっとこれだと物足りない気がする。


しかし出されたものだからと充はありがたく頂くことにした。


ふくとまるもガツガツと美味しそうにご飯を食べている。



「ふー、ご馳走様!」


ゼンさんが満足そうに空の器を置いてお腹を叩く。


「ご馳走様でした」


充も手を合わせてお礼をいう。


「これからは充がふく達の飯を用意してやれよ」


「は、はい…」


充は曖昧に返事をする。


「なんだ?なんか言いたそうだな」


「えっと…もう少し違うものを食べさせても大丈夫ですか?」


「違うもの?これ以外って事か?」


ゼンさんが空の器を見せた。


「はい、なんでも食べれるならもっと美味いもんを食わしてやりたくて」


充はふくとまるの喉を撫でると嬉しそうにゴロゴロと二匹は目を細めた。


「そりゃ楽しみだ、これよりも美味いもんが食えるってことだろ?」


「いや、そんなに凄いもんは作れませんが…これでも小さい頃から自炊はしてたので料理は得意です」


「じゃあ俺から寅吉さんに言っておく、なにか必要なものがあるなら言ってくれ」


「じゃあ早速!」


充はゼンさんに欲しい食材を頼んだ。


ゼンさんが欲しい食材を伝えてくれてる間に充は屋敷の中を探索する事にした。


「ふく、まる俺は少し屋敷の中を見て回ってくる。お前達は好きに遊んでな」


二匹に声をかけて充がまずは一階をと歩き出す。


「おっと!」


すると足元にスルッとふく達が絡まってきて倒れそうになる。


「お、おい、なんだよ!」


歩くとすぐ側を一緒に歩き出した。


「一緒に行きたいのか?」


「「にゃー」」


「わかったよ」


充は苦笑して三人で屋敷の中を見て回ることにした。


まずはキッチンを過ぎた先に行ってみる、ガラス戸をノックしてみる。


反応が無いので声をかけて引き戸を引いた。


「失礼します…」


そっと覗き込むと下ではふくとまるも同じように覗き込んでいた。


「あっここは洗面所かな」


鏡の前に手洗い場がありさらに奥に続く部屋があった。


ふく達が先に歩き出したのであとをついて行くとその先は風呂場になっていた。


「ここは風呂か、広いなー!」


充は嬉しそうに風呂場を覗く、さすがにこの時間に入っている人は居ないようだ。


人が5、6人は優に入れそうな浴槽は木で出来ていていい香りがした。


「これなら足が伸ばせるな、それどころか泳げるかも」


充はなんだかワクワクしてきた。


「ふく達も一緒に入るか!?」


冗談でそう言うとふく達は嫌だと言うように慌てて風呂場から逃げ出した。

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