繋がれたものがたり2

 ……彼女に会いたいと呟くだけで胸がめつけられる。

苦しいのに、気持ちが良い。それは痛みではなく、快楽かいらくから来ているものだった。

 いているわけでもないのに、官能的かんのうな気持ちが抑えられない。

会えるだけで良かった。そして、別の思いが現れた。

 心の片隅にふさいでいたことが溢れだしそうだ。

 身体からだを重ねた経験けいけん人並ひとなみ以上にあるし、好きな子もいた。

 でも、彼女に対する思いはそれをはるかにえていた。

  好きだからみ出せない。

 愛してるから不安になる。

  彼女の周りには沢山の人がいた。

 みんなから愛されている。

『アタシ』は彼女にとって特別ではない。

 特別だったときもあった。

 少し離れただけで、彼女の隣にアタシはいなかった。

彼女にとってアタシは親友でそれ以上になることはできなかった。

今でも親友なのかわからない。

会わなくなってもうすぐ五年だ。

アタシから連絡先をったのだから自業自得じごうじとくだった。


 きっと素敵な人がこの後に現れるに違いないわ。

 またお花畑の世界へ彼女といけるのが楽しめでしょうがないわ!

 ああ。次の彼女はどんな女の子かしらひょっとしたら男の子かもしれないわね。

 生きているってなんて素敵なのかしら! 

 アタシは眠りについたとき夢の中でお花畑を歩いたわ。

 その隣には誰か素敵な人がいたの! 

 顔はわからなかったけど素敵な人ということだけはわかったわ。

 これは吉夢ね!

 間違いないわ! だってとても幸せなんですもの!


 しかし、その幸せはながくは続かなかった。

 まさか、宇宙の支配者『大地獄大帝だいじごくたいてい』が地球を支配するなんて思わなかったからだ。

 アタシは大地獄大帝だいじごくたいていと戦うために地球防衛隊ちきゅうぼうえいたいへと入隊した!

 地獄大帝じごくたいてい配下はいか地獄戦争部隊じごくせんそうぶたい』との交戦中こうせんちゅう、謎の光のたまがアタシの手の中に入っていた。

 なんとアタシは宇宙の勇者『スペースソルジャー』だったのだ。

 アタシは光の球が導くように宇宙を股に駆けた。

 そこで地獄大帝じごくたいていはもちろん、宇宙の支配者にだってなれる『スペースエナジーソード』を手に入れ、地獄大帝じごくたいてい勇敢ゆうかんにも戦った。

 仲間たちは次々とやぶれ、アタシ一人になったけど、光の球がさらに光出し、アタシのつばさになってくれたの!

 アタシは翼でちゅうを飛び、地獄大帝目掛けてスペースエナジーソードを振りかざし、地獄大帝を真っ二つにしたわ!

 そして宇宙の歴史は一度幕を閉じ、宇宙はまたゼロからスタートしたってわけ!

                           

                            2210年7月20日

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