繋がれたものがたり

……彼女に会いたいと呟くだけで胸がめつけられる。

苦しいのに、気持ちが良い。それは痛みではなく、快楽かいらくから来ているものだった。

 いているわけでもないのに、官能的かんのうな気持ちが抑えられない。

会えるだけで良かった。そして、別の思いが現れた。

 心の片隅にふさいでいたことが溢れだしそうだ。

 身体からだを重ねた経験けいけん人並ひとなみ以上にあるし、好きな子もいた。

 でも、彼女に対する思いはそれをはるかにえていた。

  好きだからみ出せない。

 愛してるから不安になる。

  彼女の周りには沢山の人がいた。

 みんなから愛されている。

『アタシ』は彼女にとって特別ではない。

 特別だったときもあった。

 少し離れただけで、彼女の隣にアタシはいなかった。

彼女にとってアタシは親友でそれ以上になることはできなかった。

今でも親友なのかわからない。

会わなくなってもうすぐ五年だ。

アタシから連絡先をったのだから自業自得じごうじとくだった。


 きっと素敵な人がこの後に現れるに違いないわ。

 また、お花畑の世界へ彼女といけるのが楽しめでしょうがないわ!

 ああ。次の彼女はどんな女の子かしらひょっとしたら男の子かもしれないわね。

 生きているってなんて素敵なのかしら! 

 アタシは眠りについたとき夢の中でお花畑を歩いたわ。

 その隣には誰か素敵な人がいたの! 

 顔はわからなかったけど素敵な人ということだけはわかったわ。

 これは吉夢ね!

 間違いないわ! だってとても幸せなんですもの!

                    2110年7月20日









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る