第39話 ペンギンだぁー(違います)!(ゴイサギほか)

 六月に入って、最初のバードウォッチングに出掛けた。


 朝は苦手のためいつもは午後に行っているのだが、今回は早起きしたので午前中に行ってみた。場所はいつもの田んぼ道コースだ。


 田んぼ道に差し掛かると、草の茂った休耕田のほうから声が聞こえてきた。


「ギョギョシ、ギョギョシ」


 オオヨシキリだ。


 第31話でも紹介したが、オオヨシキリは夏にやってくる渡り鳥だ。川縁や休耕田のアシ原などにいて、特徴的な声でさえずっている。姿はスズメよりも少し大きく、全体的に薄茶色っぽい色をしている。


 草の中から声がして、見られないかと思っていたが、よく見ると草の上を時折鳥が飛び回っている。カメラを向けながら探していると、運良く草のてっぺんでさえずっているオオヨシキリを見つけた。ちょっと遠くて小さかったが、その姿を撮ることができた。


 オオヨシキリが撮れて、さらに道を進んでいく。水が張られて小さな稲の植えられた田んぼには、相変わらずアオサギがたくさんいた。獲物を探しているのだろう。田んぼの中を歩き回っていた。


 ふと視線を斜め前へ向ける。田んぼのあぜに、なにか鳥っぽいものがいた。


「ん……? あれは、鳥?」


 田んぼにはところどころパイプのような物が突き出ている。それをよく鳥と見間違えてしまうのだが、今回もそうじゃないかと思った。それだけ見つけたなにかは、物のように動かなかった。


 よくよーく見ると、なんだか鳥っぽい気がした。私はカメラを向けて、その鳥っぽいものをズームしてみた。


 大きさはカラスよりも少し大きいくらい。白いお腹に、青みがかった黒い翼。足は黄色くて、目は赤い。


「ペンギンだぁーっ!」(違います。)


 自称ペンギンの本名はゴイサギという。よく見るアオサギと比べればずっと小さくて、首も短い。夜行性のサギで、夜、活発に活動する。日中はなかなか会えないと思っていたが、午前中に出掛けたのが良かったのか、こんなところで会えるとはラッキーだった。


 しかもよく見ると、隣にもう一羽いた。こちらは体を水平に傾けている。……ペンギンっぽくない。


 ちなみに私はゴイサギのことをペンギンだと思っている。首が短くて、お腹も白くて、ずんぐりしている。まっすぐに立つと、ペンギンっぽく見えないだろうか。試しに知人に、写真を送ってみた。


「ペンギン撮れたよー」


 しばらくの沈黙の後。


「こんな飛びそうなペンギンいません」


 あっけなく見破られました。


「ゴイサギっていいます」


「詐欺だったか」


 ゴイサギは悪くありません!


 私はペンギンっぽいと思うのだが……。ペンギンに見えるよね? えっ、見えない?



追伸

撮ったオオヨシキリがこちら。

https://twitter.com/miyakusa_h/status/1534142149456850944

ゴイサギがこちら。

https://twitter.com/miyakusa_h/status/1534088962477674497

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