第23話 完・ミサゴさんが撮りたい。(ミサゴ)

 このエッセイで以前から私は、ミサゴが撮りたいと言っていた。


 野鳥公園へ行って何度も見つけているのだが、すぐに遠くへ飛んでいってしまう。撮れたとしても、遠すぎてなかなか上手くいかない。


「ミサゴ、撮りたいなー」


 カメラを手にして、はや二ヶ月。ミサゴの勇姿が撮れることを夢見つつ、バードウォッチングをしていた。


 そして、出会いは突然訪れたのだ!


 それは、いつもの田んぼ道コースでバードウォッチングをしている時だった。


 季節はすっかり春になり、静かだった田園には農家さんがやってきてトラクターを動かしていた。田んぼにはカラスが集まり、頭上にはチョウゲンボウが飛んでいた。


 チョウゲンボウとはすっかり顔なじみになったのだが、私は怪しい人物と認識されてしまったのか、見つけるとすぐに遠くにいってしまう。しょっちゅうカメラを向けているから、嫌われてしまったのかな。けれどもたまに、突然近くまでやってきてホバリングしていくことがある。私はからかわれているのか?


 その後も、モズやカワラヒワに出会って観察しながら、川沿いを歩き、帰り道へと差し掛かった。鳥はいたけれども、今日はあんまりカメラで撮れなかったなーと思いつつ、舗装された道路を歩いていく。


 その時、ふと顔を上げると、鳥が一羽、飛んでいるのが見えた。


「あれは、トビ?」


 青空の下、弧を描きながら悠然と飛んでいる。最初はトビかと思った。けれども腹面がなんだか白っぽい。


「トビじゃない! たぶん」


 私はカメラを頭上に構えた。けれどもなかなか画面に鳥の姿が入らない。焦れったさを堪えながら、画面の中で鳥を探す。


 なんとか鳥の姿を捉え、一度だけシャッターを押した。


 その鳥はその後すぐに林の向こうに飛んでいってしまった。しばらく待っていたが、もう戻ってはこなかった。


 私はカメラに入った画像をその場で確認してみた。そこには青空の中で、翼を大きく広げて飛ぶ鳥の姿が残っていた。白っぽい腹面に、長めの翼。間違いない。


「ミサゴだー!」


 今回の画像は、かなり近くで撮れた。幸いにも、ほとんどぶれていない。


 これはもう、撮れたと言ってもいいのではないだろうか。


 ずっと撮りたかったミサゴ、ついに撮れました!


 それにしても、海沿いでも川沿いでもない普通の道で、どうしてミサゴに会えたのか。なんであんなところで飛んでいたのか。やはりバードウォッチングはなにが起こるかわからない。ゆえに楽しくてやめられないのである。



追伸

その時に撮ったミサゴがこちら。

https://twitter.com/miyakusa_h/status/1512703681514262531

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