第22話 遠出をしよう。(イカルほか)

 行ってきました、友人とのバードウォッチング遠征!

 今回はその模様と、出会えた動物たちのことを書いていきます!


 朝、迎えに来てくれた友人の車に乗り込み、出発。車内で他愛のない話をして盛り上がりながら、一時間ほどで目的地に到着した。


 最初にやってきたのは、山の麓にあるお寺。


 神社仏閣巡りが趣味の友人が行きたがっていた場所である。なんでも、県内では有名であらたかなるお寺なのだとか。確かに、まるで京都にあるような大きなお寺で、荘厳なたたずまいだった。


 そこで参詣をした後、近くにあったパーキングエリアでお昼を食べて、再び車に乗り込み出発。


 山の道を上っていき、今度は山の中にあるお寺に到着。ここは、先ほど行ったお寺の本堂になるらしい。


 そこでお参りをして、おみくじを引いて、おみくじを引いたら指を切るという災難にも遭いつつ、お寺をまわっていると友人が木に向かって指をさした。


「あそこに鳥いるよ、なんだろう?」


 確かに友人が指差す境内の木には、鳥が何羽か群れでとまっている。私は双眼鏡を取りだして見た。大きさはムクドリくらいで、薄灰色のお腹に、黒い頭、黄色いくちばし。


「あれは、イカルだね」


 イカル。実はここで初めて見た。


 前々回紹介した、カワラヒワやシメと同じくアトリ科の鳥で、繁殖期以外は群れで生活をしているらしい。ぽってりとした体が可愛らしい鳥だった。


 その後、お寺の周りの林を散歩してみたが、残念ながらイカル以外の鳥に会うことはできなかった。けれども、山から見る絶景がとてもきれいだった。


「ごめん、友人……。ちょっとどっかでばんそうこう買ってきていいかな?」

「えっ、いいけど、……って!? 血だらけじゃん!?」


 そして車に戻る頃、おみくじで切った指の傷が思ったより深くて、私たちは急遽、パーキングエリアに戻って、売店でばんそうこうを購入。傷の手当てをしてから、次の目的地である森林公園に行くことにした。


 森林公園は、キャンプ場をはじめ、ゴルフやテニスなどのスポーツ施設やボート乗り場、レストランなどもある広大な森の公園らしい。


 私たちが最初にやってきたのは、動物園。ニホンジカやニホンザル、ホンドタヌキなど里山の動物が見られる小さな動物園のようだ。


 だが、しかし、駐車場に着いて、入り口の看板を見て固まった。


『閉館時間16:00』


「今、何時?」

「今、15:50」


 あと10分しかないじゃんっ!?


 というわけで、駆け足で動物園内を回ることに。なんとかシカとウサギは見ることができたが、係の人がやってきたので慌てて退散。


 残念でしたが、今度、ゆっくりまわりましょう。


 さて、再び車に乗り込んで、次はどこへ行こうかと道を走っていく。すると、ある看板を発見した。


『野鳥の小道』


 ここだ! と思って、近くに車を停め、友人と一緒に行くことに。


 看板には、U字のコースが描かれていて、中間地点には池があるらしい。片道六分ほどの道のりだそうだ。池にはカモや、もしかしたらカワセミがいるかもしれない。


 私たちはさっそく、山の中の散策路へと入っていった。時間も遅くなってしまったからか、周囲に人はだれもいない。ゆっくり散策できるぞと思っていた時、不意に道の端に鐘が置かれているのに気づく。


『通る前に鳴らしてください』


 鐘の隣には、そう書かれていた。


「なにこれ? なんで鳴らすのかな?」


 こんなの鳴らしたら、鳥に気づかれてしまうのでは?


「もしかして、クマ除けじゃない?」

「えっ……」


 とりあえず、鐘を鳴らして進む。クマ出てきたらどうしようとビビりながら進む。


 しかし、クマどころか、鳥の気配さえしない。なにも見ないまま、池に到着した。


 池には、数羽のカモが浮いていた。カルガモとマガモと、ヨシガモだろうか。それ以外はしんとしている。ちょっと寂しい光景だった。


 それから私たちは帰り道を歩いていった。今度は上り坂。階段をひたすら上っていく。鳥はいなかったうえに、正直、鳥を見るどころではなかった。


 そして、階段を上りきると、今度は展望台に到着した。良い眺めを堪能しながら一息ついていると、鳥の声が聞こえて、友人が声をあげる。


「あっ、鳥が飛んできたよ!」


 私はさっとカメラを向けた。眼下に次々と小鳥たちがやってきた。シジュウカラやホオジロやコゲラ。みんな近くまで来てくれて、とても観察がしやすかった。


「ここまで頑張ってのぼってきた甲斐があったね!」


 いや、最初からここで見ていれば良かったんじゃないのか?


 なにはともあれ、最後の最後で友人と鳥を見ることができて、嬉しい限りだった。


 こうして、私たちは帰路に着いたのだった。


 今回、イカルは初めて見たが、あとは地元でも見られる鳥で、残念ながら珍しい鳥には会えなかった。けれども、友人とプチ旅行が楽しめて、普段行かないような場所で鳥も見られた。楽しい思い出がひとつ増えて、とても充実した遠征だった。



追伸

その時に撮ったイカルがこちら。

https://twitter.com/miyakusa_h/status/1510478428541054976

シジュウカラがこちら。

https://twitter.com/miyakusa_h/status/1510228915356246021

ホオジロがこちら。オスとメスが撮れました。

https://twitter.com/miyakusa_h/status/1509855985602469892

コゲラがこちら。

https://twitter.com/miyakusa_h/status/1510229317027913732

動物園で見たシカとウサギがこちら。

https://twitter.com/miyakusa_h/status/1510506154757005317

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