第15話 続・ミサゴさんが撮りたい。(ミサゴほか)

 とある日、私は新聞の天気欄を見てみた。バードウォッチングに行く予定を立てようと、今週の天気を確認したかったからだ。


「今度はいつ晴れるかなー?」


 すると、なんということだ! 今週すべてに晴れマークがついているではないか!


「どうなってるんだ! ここは太平洋か!」


 一瞬よくわからないツッコミが出てきたが、なんのことはない。この地域にも、春がやってきたらしい。


 思えば、ストーブをつける機会も少なくなって、暖かくなった気がする。雪も、道の端に少したまっているのを見かけるが、ほとんど溶けている。


 先日は歩いていて、ウグイスのさえずりが聞こえた。


 それじゃあ、今日は遠出をして自転車で野鳥公園へ行ってこよう。


 冬の最中は、雪で自転車に乗れなかったため、野鳥公園へはしばらく行っていなかった。この前に参加した野鳥観察会以来だろうか。


 私は双眼鏡とカメラと図鑑をリュックに入れて、自転車にまたがり、家を出発した。


 自転車を走らせること、数十分――。


 野鳥公園に到着した私は、さっそく海辺の鳥たちを観察した。冬に比べれば、カモの数が少なくなった気がする。ハクチョウももういない。北へと旅立つ時季なのだろうか。それでも、手前にある波消し岩の周りに、数羽のカモがいた。


 海に浮かんでいたのは、ヒドリガモとコガモだ。


 ヒドリガモのオスは顔が茶色くて、体が灰色、尾が黒色をしている。額から頭にかけてオレンジ色の模様があるのが特徴で、私はモヒカンみたいだなと思っている。メスは全身茶色をしている。


 コガモは名前のとおり小さいカモで、オスは頭が茶色くて目の周りが緑色、体が白と黒の斑模様で、お尻にクリーム色の模様がある。メスは全体的に茶色をしている。


 波消し岩の上では、カルガモが羽を休めていた。


 カルガモはオスもメスも模様が変わらず、全体的に茶色っぽい。くちばしが黒くて、先が黄色いのが特徴だ。


 そんなカモたちを観察しながら、私はある鳥を待ち構えていた。


 その鳥は……そう! ミサゴである!


 今回こそは、ミサゴをカメラに収めたい。ミサゴ、飛んでこないかな? 来ないかな? ……と、思いながら探していた。


 けれども、なかなかミサゴが現れない。そろそろ帰ろうかな。そう思い始めた。


 その時だった!


「あれは……!?」


 海の向こうから、なにかがこちらに向かって飛んできていた。


 私はカメラを向け、その鳥をレンズに捉えて、ズームして、ピントを合わせた。


 白い腹面、長い翼。間違いない、ミサゴだ!


 さっそくシャッターを切り始める。けれどもミサゴはまだ遠くにいて、小さな姿しか映らない。


 レンズから離さないよう、手を固定しながらミサゴを追う。しだいにミサゴは、こちらに近づいてきた。


「よし、いいぞ。このまま、まっすぐ、まっすぐ来るんだ……!」


 と、心の中で思っていたら、ミサゴは急に方向を変えた。私の殺気(?)を感じてしまったのだろうか。視界の左側へと向かって行ってしまう。


「あぁっ、待ってよー!」


 なんとかシャッターを切りながら追い続けたものの、手がぶれたはずみでミサゴの姿がカメラから消えてしまう。そうこうしているうちに、ミサゴは海のかなたへと飛んでいってしまった。


 結局、今回もミサゴの迫力ある画像を撮ることはできなかった。けれども、最後に撮った画像は、今まで私が撮った中で一番良いものになったと思う。


 ミサゴを追い求める旅は、まだまだ続くのであった。



追伸

この時に撮ったヒドリガモがこちら。

https://twitter.com/miyakusa_h/status/1500751462183301120

カルガモがこちら。

https://twitter.com/miyakusa_h/status/1499977658347634690

ミサゴがこちら。

https://twitter.com/miyakusa_h/status/1500397591745335298

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