第11話 探鳥会へ行こう2(オジロワシほか)
ある日のこと。新聞の地方欄を読んでいた私は、ひとつの記事に目がとまった。
『〇日、
以前と同じ団体が主催する探鳥会のようだ。そして、開催場所はあの野鳥公園ではないか。
これは行くしかない。私は早速、知人Bさんに連絡をした。Bさんもその日は空いているらしく、二人で今回のイベントも参加することにした。
探鳥会当日。Bさんの車に乗せてもらって野鳥公園に到着した。観察小屋の中には、すでに十人くらいの人たちがいた。まずは主催者のところへ行って、
「おはようございます。申し込みをした宮草です」
「おはようございます。以前の探鳥会にも、参加されてましたよね?」
おぉっ、主催者さんは私たちのことを覚えてくれていたらしい。
今回の探鳥会は、この観察小屋の中で二時間ほど野鳥を観察するのだそうだ。観察小屋から見える海辺には、越冬中のカモたちがたくさん浮いている……と思ったら、案外少ない。おかしいな、いつもはいっぱい見られるのに。ベテランさんの話によると、今日は天気が良いためにカモたちは食べ物を探しに行ってしまい、休憩場になっているこちらのほうにはいないのだとか。
それでも、遠くのほうには、オナガガモやオオバンやコハクチョウの群れがいた。近くにいたベテランのおじさんは、カモをフィールドスコープに捉えては、「ほら、これがオナガガモだよ」と私たちに見せてくれて、解説してくれた。
しばらくの間、話を聞いたり、鳥を見たりしていた私だったが、双眼鏡で辺りを見回していると、気になる鳥を発見した。その鳥は、
「あそこに鳥がいるんですけど、なんでしょう?」
ベテランのおじさんはフィールドスコープを向けて、しばらく鳥を見てから、一言。
「あれはトビだね」
「なんだ、トビですか」
トビでも個人的にはうれしいのだが、ベテランのおじさんはすぐにフィールドスコープの向きを変えて、別の鳥を観察し始めた。
それからしばらく経って、隣の隣で観察していた別のおじさんが声をあげた。
「あそこにとまっているの、オジロワシじゃない?」
言うや否や、フィールドスコープを持っているベテランたちが、一斉にレンズを鳥へ向ける。私がさっき見つけた、海縁の木のほうだ。近くにいたベテランのおじさんも、さきほど見たはずなのに、再びフィールドスコープを例の鳥へと向けた。
そして、一言。
「あれは、オジロワシの若鳥だね」
……。
さっき、トビって言いましたよね!?
なんて、ツッコむような真似はしません。ベテランおじさんの名誉にかけて、「えっ、オジロワシですか!?」と、初めて知ったかのように振る舞ってみせる自分。
「オジロワシはトビと違って、くちばしが黄色くて、足も黄色いんだ。ほら、スコープだとよく見えるから、確認してみて?」
……。
さっき、トビって言いましたよね?
なんて、ツッコむような真似はしません。優しく解説を始めたおじさんの話を熱心に聞き、フィールドスコープを覗かせてもらいながら、「へぇー!」「ほぉー!」と感嘆してみせる自分。
だれだって間違いはあると思います。私自身は初めてオジロワシを見られたので、それで満足です。
そんなこんなで、この後も、ミサゴが見られたり、ノスリが見られたり、タカの仲間が思いのほか観察できた。
また、カワセミも近くの波消し岩にとまってくれて、観察することができ、Bさんは初めて見たと感動していた。
あっという間に二時間が過ぎた。まだまだ見ていたいですが……と主催者が挨拶を始めた。観察できた鳥を総ざらいする「鳥あわせ」がおこなわれて、本日の探鳥会は終了となった。
「それではみなさん、本日はお疲れ様でした。最後に、宮……宮……宮さん、なにか感想はありますか?」
「……ん!? 私ですか!?」
今回もコメントを求められる。しかも名前は未だ覚えてもらえない。
最後はびっくりしたが、やはり探鳥会は楽しくて勉強になると思った。もう、主催団体に入会しようかな。まじめに考え中である。
追伸
・その時に撮ったオジロワシがこちら。遠いうえに後ろを向いていて、なんだかわからないですが……。
https://twitter.com/miyakusa_h/status/1487782147200937991
・その時に撮ったカワセミがこちら。
https://twitter.com/miyakusa_h/status/1487782798832267264
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